LLP 有限責任事業組合とは

APPSWINGBYでは、株式会社APPSWINGBYとフリーランスやギグワーカーの為の組織として新たに設立したアップスイングバイ有限責任事業組合の2つの体制で事業を行っています。

多様な働き方を実現するうえで、有限責任事業組合(日本版LLP)という制度は、もっと活用されていいのではと個人的に感じてきますが、残念ながら有限責任事業組合(日本版LLP)については、世の中的に非常に知名度が低く、まったくと言っていい程知られていませんので、有限責任事業組合という制度についてご紹介していきます。

有限責任事業組合(LLP)とは

有限責任事業組合とは、2005年4月27日に「有限責任事業組合契約に関する法律」(「日本版LLP法」)によって成立、同年8月1日に施行された組織です。

有限責任事業組合は、英名では「Limited Liability Partnership」と表記されることから、LLPと略され、LLPの略語がそのまま「日本版LLP法」といった形で使われていますので、有限責任事業組合という呼び方よりもLLPという呼び方のほうがもしかすると知っているという方も多いのかもしれません。

この記事でも、有限責任事業組合はLLPと表示することにします。

同じ時期(2006年5月1日施行)に、施行されている合同会社(通称、LLC: Limited Liability Company)は、アップルや西友などの大企業が合同会社(LLC)に移行したことだとからLLCという法人形態については、世間的にも認知されているのではないでしょうか。

LLPはどのような組織か?

LLPと一般的に広く利用されている株式会社についての違いについてご紹介していきます。LLPと株式会社の違いは色々とあるのですが、大きな違いが3つありますので、ひとつひとつご紹介していきます。

何を中心に組織をつくっているか

まず、ひとつめは「何を中心に組織をつくっているか」という点です。

株式を発行して事業を営む組織をつくのが株式会社です。つまり、「お金を出資している人=出資者」が、出資の比率に応じて、事業から生み出される利益の利益配分を決めているのが株式会社です。ざっくりとした言い方をすると「お金を中心として事業体をつくる」のが株式会社となります。

一方で、LLPはお金ではなく「人を中心に」事業組織をつくります。極端な例を出して例を挙げますと、「スキルや経験はあるが事業を立ち上げる為の多額の資金がない人」と「スキルや経験はないが出資するお金を持っている人」が共同で事業を行う組織を設立し、事業で生み出された利益の配分比率や権限については、組織内部の独自のルールで自由に決定することができるのがLLPになります。

法人格

二つめの違いは、法人格の有無です。株式会社のことを法人と呼ぶことがあります。これは法律上、人ではないが人格が認められていて、権利や義務の主体とのなることをができる資格を持っている為、株式会社などの組織・団体を法人と呼ばれます。一方で、LLPは株式会社と同様に、営利を目的としている組織・団体ですが、株式会社とは異なり、法人格を有していません。

法人格を持っていない広く知られている団体としましては、PTA、漁業組合等の組合、社団、財団(社団法人・財団法人は法人化してまるのでここには当てはまりません。)、その他にも互助会、ボランティア団体など様々な団体が法人格を有していないとして設立されています。

余談ですが、法人格を有していない団地で、非営利として活動している団体のことを、「Non Profit Organization」、略称で「NPO(エヌ・ピー・オー)と呼んでいます。

課税方式

三つ目の違いは、課税方式が株式会社とLLPでは違うという点です。株式会社や合同会社などの所謂「法人」には、「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「地方法人税」「消費税」など様々な税金を支払う義務が課せられています。一方で、LLPは前述しました通り、法人格を有していませんので、法人にかかる税金の仕組みがありません。その代わり、LLPでは「構成員課税」と呼ばれる課税制度に沿って税金を支払う制度になっています。

LLPの構成員課税とは

構成員課税とは、別名で「パススルー課税」と呼ばれる課税制度で、株式会社の場合は事業等によって得られた利益に対して、法人税が課税されますが、構成員課税(パススルー課税)では、LLPで出た利益は、各組合員に対してその利益を配分し、その後、各組合員は個人で確定申告を行い、納税することになります。つまり、LLP自体で納税することがなく、LLPによって配分された利益は、直接、組合員の所得となり、組合員の所得として課税されることになります。

株式会社や合同会社では、法人であげた利益に対し、法人税がかかり、法人の従業員に対し支払われた給与には、所得税や社会保障(税)が支払われた給与の額に応じて課税されます。また、株主への配当金に対しても、約20%程の税金が課税されることから、二重課税という指摘もありますが、LLPでは、直接個人の所得に対する課税になりますので、各個人の利益(所得)が大きくないスタートアップ等にとっても、個人にとっても節税効果の大きいに制度になっています。