未来のサービスは『賢く』作る:初期投資を抑え、成長に合わせてスケールする開発戦略

1. はじめに:新規事業・サービス開発、その「初期投資」の壁を越えるには?

新規事業や新規サービスの立ち上げは、企業の成長戦略において不可欠な要素です。しかし、その実現には常に「初期投資の壁」が立ちはだかります。特に、現代のデジタルサービス開発においては、その壁の高さが増しているのが現状です。

新規事業開発における一般的な課題と障壁

新規事業開発には、様々な課題と障壁が存在します。

市場の不確実性、競合の激化、そして何よりも開発コストと運用コストの高騰が挙げられます。例えば、新サービスを企画しても、そのアイデアを形にするための開発リソースが不足していたり、多額の開発予算を確保することが難しいケースは少なくありません。

また、既存のビジネスプロセスとの整合性や、新しい技術へのキャッチアップも大きな課題となり得ます。これらの障壁が、多くの企業が新規事業への投資をためらったり、途中で断念したりする要因となっているのです。

クラウドコストと開発コストの現状

近年、クラウドサービスの普及により、インフラ調達のハードルは下がりました。しかし、その一方で、クラウドサービスの利用料が企業のITコストに占める割合は年々増加傾向にあります。

米国のソフトウェア会社が2024年に調査したクラウドレポートによると、多くの企業がクラウド支出の最適化を最大の課題と認識しており、実際に「クラウドコストの無駄遣い」を実感している企業も少なくありません。

クラウドコストの増加

AWSやGCP、Azureといったパブリッククラウドサービスは、利用量に応じた従量課金制が基本です。

初期段階では低コストに見えても、サービスの規模が拡大するにつれて、データ転送量、ストレージ容量、コンピューティングリソースの利用が増え、予期せぬ高額な請求が発生することがあります。

特に、ピーク時のアクセス増に対応するためのリソース確保や、テスト環境の維持など、見えにくいコストも少なくありません

開発コスト

高度な機能を搭載したSaaSサービスの開発には、専門的な知識を持つエンジニアの確保や、最新の開発ツールの導入が不可欠です。これにより、人件費やソフトウェアライセンス費用が増大し、開発プロジェクト全体のコストを押し上げます。

こうした開発コストの増大を受けて、日本企業の間では一時期、ベトナム等のソフトウェア開発企業にソフトウェアの開発を外注する「オフショア開発」が注目を集めましたが、実際にオフショア開発を導入してみると、様々な問題が顕在化しました。

現地の言語と日本語の通訳役を担うはずのブリッジエンジニアの日本語能力が不十分であったり、現地の開発エンジニアのスキルレベルが期待を大きく下回っていたりするケースが相次ぎました。さらに、当初予定していた開発期限を迎えても一向にサービスが完成しないラボ契約の落とし穴などの問題も多くの企業のプロジェクトで発生しました。

こうした課題の蓄積により、この10年程で多くの日本企業がオフショア開発そのものを敬遠する傾向が見られるようになりましたが、国内は国内で上記したようなコストの認識のギャップがあり、特に事業が起動に乗る前の新規事業のように将来の収益が不確実なプロジェクトにおいて、予算が十分ではない企業にとって、大きな財政的プレッシャーを与えている状況が続いています。

2. スモールスタート戦略の真価:なぜ今、初期投資を抑えるべきなのか

現代のビジネス環境は、かつてないほどの速さで変化しています。このような時代において、新規事業やサービス開発に莫大な初期投資を行うことは、大きなリスクを伴います。だからこそ、「スモールスタート戦略」の真価が問われているのです。

市場の変化と不確実性:アジャイルなサービス提供の重要性

現代の市場は、常に変化し、その予測は困難を極めます。顧客のニーズは多様化し、競合は新たなサービスを次々と投入してきます。このような不確実性の高い環境で、数年がかりで完璧なサービスを開発しようとするアプローチは、もはや時代遅れと言えるでしょう。

むしろ重要なのは、「アジャイルなサービス提供です。

これは、短期間で最小限の機能を持つサービスを市場に投入し、顧客からのフィードバックを素早く取り入れながら、 iteratively(反復的に)改善していく手法を指します。これにより、市場のニーズとのズレを最小限に抑え、手戻りを減らし、結果的に開発期間とコストを最適化することが可能になります。

例えば、新しいチャットボットサービスを開発する際、いきなり多機能なAIを搭載しようとするのではなく、まずはQ&A機能に特化したシンプルなバージョンをリリースし、ユーザーの反応を見ながら徐々に機能を追加していくといったアプローチがこれに該当します。この柔軟性こそが、不確実な市場で成功するための鍵となるのです。

MVP(Minimum Viable Product)開発と早期市場投入のメリット

スモールスタート戦略の中核をなすのが、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)開発です。

MVPとは、顧客に価値を提供できる最小限の機能を備えた製品のことで、これを早期に市場に投入することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 市場適合性の迅速な検証: サービスが本当に市場で受け入れられるかを、低コストで迅速に検証できます。高額な投資をしてからニーズがないと判明するリスクを回避できるのです。
  • 顧客からの早期フィードバック獲得: 実際にサービスを利用する顧客から直接的なフィードバックを得ることで、机上の空論ではない、現実的な改善点を見つけ出すことができます。これは、サービスの品質向上と顧客満足度向上に直結します。
  • 開発リスクの低減: 全ての機能を一度に開発するのではなく、段階的に開発を進めるため、開発途中で仕様変更が生じた際の影響を最小限に抑えられます。
  • 投資効率の最大化: 無駄な機能開発を避け、本当に必要な機能にリソースを集中することで、投資対効果を最大化できます。

例えば、Dropboxは、初期段階で同期機能に特化したMVPを公開し、そのシンプルな機能がユーザーに受け入れられるかを確認しました。この早期の市場投入とフィードバックの活用が、今日のDropboxの成功に繋がった一因と言えるでしょう。

「低リスク・高リターン」を実現する開発アプローチとは

APPSWINGBYが提案するスモールスタート戦略は、まさにこの「低リスク・高リターン」を実現するための開発アプローチです。

これは、単に開発コストを削減するだけでなく、事業全体の成功確率を高めることを目的としています。

従来の開発手法では、多額の初期投資と長い開発期間を要し、サービスが市場投入された時点ですでに時代遅れになってしまうリスクがありました。しかし、私達の戦略では、以下のような特徴を持つことで、このリスクを大幅に低減します。

  1. 固定費中心のインフラ選択: 高額な従量課金型のクラウドサービスに過度に依存せず、月額固定料金のレンタルサーバーなどを活用することで、運用コストの予測可能性を高め、予算オーバーのリスクを抑制します。
  1. 特定の「秘策」による開発効率の向上: 詳細を伏せておりますが、特定の技術要素やプラットフォームを組み合わせることで、開発期間を短縮し、限られたリソースで高品質なサービスを構築することが可能です。これにより、市場投入までの時間を劇的に短縮し、競合優位性を確立することができます。
  1. 成長に応じた柔軟な拡張性: 初期はコンパクトな構成でスタートしつつも、将来的なユーザー数増加や機能追加にも柔軟に対応できるアーキテクチャ設計を重視します。これにより、事業の成長フェーズに合わせて無理なくスケールアップしていくことが可能です。

APPSWINGBYは、最先端のサービス開発技術とお客様のビジネスに最適な形で実装する専門知識を有しております。貴社がこの技術革新の波に乗り遅れることなく、競争優位性を確立できるようスモールスタート&スケール開発サービスを提供いたします。もし、新規事業を企画されており、サービスの新規開発において初期投資を抑えつつ、成長に合わせてスケールする開発戦略などにご興味がありましたら、APPSWINGBYまで、お気軽にご相談ください。

関連サービス:ソフトウエアエンジニアリング

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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

ご支援業種

情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
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動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
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