リストアとは

リストアは、バックアップしておいたデータやシステムを、元の状態に戻すこと、または復旧させることです。

リストアの概要と目的

リストア（Restore）は、コンピュータシステムの運用において、データやシステムの状態を過去のある時点に戻す作業です。

これは、ハードウェアの故障、データの破損、人為的なミス、あるいはマルウェア感染など、様々な理由でデータが失われたり、システムが正常に動作しなくなった場合に不可欠なプロセスです。

リストアは、事前にバックアップ（データを複製して別の場所に保存する作業）を行っていることが前提となります。バックアップとリストアは、データ保護の二大原則として、セットで考えられるべきものです。

主な目的は、システムやデータを災害や障害から迅速に復旧させ、サービスの継続性を確保することです。

リストアの主要な種類

リストアは、復旧させる対象や範囲によって、いくつかの種類に分けられます。

1. ファイルレベル・リストア

• 概要:　特定のファイルやディレクトリ単位でデータを復元する最も一般的なリストア方法です。
• 動作:　ユーザーが誤って重要なファイルを削除してしまった場合や、特定のファイルが破損した場合に利用されます。

2. ベアメタル・リストア

• 概要:　OSやアプリケーション、設定情報を含めて、システムのすべてをまっさらな状態のハードウェアに復元するリストア方法です。
• 動作:　ハードウェアが完全に故障した場合や、システム全体がマルウェアに感染してリカバリーが必要な場合に利用されます。これにより、新しいハードウェア上でも、故障直前の状態を完全に再現できます。

3. データベース・リストア

• 概要:　データベース全体または特定のテーブルを、バックアップ時点の状態に戻す方法です。
• 動作:　データベースの破損や、誤ったデータ操作による論理的な破損が発生した場合に利用されます。

リストアプロセスと注意点

リストアは、単にデータを戻すだけでなく、復旧後のシステムの正常性を確保するために慎重に行う必要があります。

リストアプロセスのステップ

1. バックアップの特定:　どの時点のバックアップデータを使って復元するかを決定します。
2. 復旧先の準備:　データを復元するハードウェアやストレージを準備します。
3. リストアの実行:　バックアップデータから、データを復旧先に書き戻します。
4. 動作確認:　復元されたシステムやデータが、元の状態に戻っているか、正しく動作するかをテストします。

注意点

• リストア時間の把握:　リストアにかかる時間は、データの量やバックアップ方式によって大きく異なります。ビジネスの要件に合わせて、許容できるダウンタイムを事前に把握しておくことが重要です。
• リストアのテスト:　バックアップが正しく取れていても、リストアが失敗するケースは少なくありません。定期的にリストアテストを実施し、確実に復旧できることを確認しておくべきです。

リストアは、データの安全性を担保する最後の砦であり、その確実な実行は事業継続計画（BCP）の要となります。

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