アーキテクチャ

アーキテクチャとは、建築学、建築物、建築構造、建築構成、建築様式などのことですが、IT業界においては、「コンピュータやソフトウエアの構成」「システム構成」のことをアーキテクチャと呼んでいます。

(IT業界の)つまり、アーキテクチャ(Architecture)とは、システムや構造物の全体的な設計、構成、およびその構成要素間の関係性を定義するものです。

ソフトウエアやシステムが複雑した現代では、「ソフトウエアアーキテクチャ」「システムアーキテクチャ」「コンピュータアーキテクチャ」「ネットワークアーキテクチャ」といった呼び方で、対象ごとに呼び方を分けて読んでいます。

アーキテクチャ(Architecture)は、単に「設計図」や「構造」を指すだけでなく、システムや構造物を構成する要素、それらの要素間の相互作用、そしてそれらを統制する原則やガイドラインの集合体を意味します。

これは、複雑なシステムを構築する際の全体的な枠組みであり、個々の部品や機能がどのように連携し、全体としていかに目的を達成するかを定義します。コンピュータサイエンス、情報システム、建築、都市計画など、多様な分野で用いられる概念ですが、その本質は「全体最適化」と「構造化された設計」にあります。

アーキテクチャ の基本的な概念

アーキテクチャは、システムを設計・構築する上での「青写真」のような役割を果たします。単なる機能要件のリストアップに留まらず、システムの性能、信頼性、拡張性、保守性、セキュリティ、コストといった非機能要件にも深く関わります。

主要な構成要素は以下の通りです。

  1. 要素(Components): システムを構成する個々の部品やモジュール、機能単位です。
    • : ソフトウェアにおけるデータベース、アプリケーションサーバー、API、ユーザーインターフェースモジュール。建築における柱、梁、壁、屋根。
  2. 関係性(Relationships): 要素間がどのように相互作用し、情報を交換し、依存し合うかを示す構造です。
    • : ソフトウェアにおけるクライアント・サーバー関係、データフロー、API呼び出し。建築における構造的な荷重伝達、配管経路。
  3. 原則とガイドライン(Principles & Guidelines): アーキテクチャを設計する上で従うべき基本的な考え方や制約条件です。これにより、設計の一貫性が保たれ、長期的なシステムの健全性が確保されます。
    • : ソフトウェアにおけるモジュール性、疎結合、高凝集、セキュリティポリシー。建築における耐震基準、環境規制、美的原則。

アーキテクチャは、初期の設計段階からシステムのライフサイクル全体を通じて進化し、変更される可能性があります。良いアーキテクチャは、将来の変化や拡張に柔軟に対応できる「適応性」と「持続可能性」を兼ね備えています。

各分野における アーキテクチャ

アーキテクチャの概念は、適用される分野によって具体的な意味合いや焦点が異なります。

  1. 情報システム・ソフトウェアアーキテクチャ(Software Architecture): ソフトウェアシステムの高レベルな構造を定義します。システムのコンポーネント、それらの外部特性、およびそれらの相互関係を記述します。システムのパフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティ、保守性、再利用性などに大きな影響を与えます。
    • :
      • モノリシックアーキテクチャ: 全ての機能が一つのアプリケーションとして構築される。
      • マイクロサービスアーキテクチャ: 各機能が独立した小さなサービスとして構築され、APIを介して連携する。
      • レイヤードアーキテクチャ: プレゼンテーション層、ビジネスロジック層、データアクセス層のように、機能を階層的に分割する。
      • クライアント・サーバーアーキテクチャ: クライアントがサーバーにリクエストを送り、サーバーがそれに応答する。
  2. エンタープライズアーキテクチャ(Enterprise Architecture, EA): 企業全体の情報システム、ビジネスプロセス、組織構造、技術基盤などを統合的に設計・管理する枠組みです。ビジネス戦略とIT戦略を整合させ、企業全体の最適化を目指します。
    • 構成要素: ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、テクノロジーアーキテクチャ。
  3. ハードウェアアーキテクチャ(Hardware Architecture): コンピュータシステムやデバイスを構成する物理的なコンポーネント(CPU、メモリ、ストレージ、I/Oデバイスなど)の配置、接続、およびそれらの相互作用を定義します。
    • : フォン・ノイマン型アーキテクチャ、並列処理アーキテクチャ。
  4. ネットワークアーキテクチャ(Network Architecture): ネットワークシステムの構成要素(ルーター、スイッチ、サーバー、クライアントなど)と、それらがどのように接続され、通信プロトコルがどのように機能するかを定義します。
    • : TCP/IPモデル、OSI参照モデル。
  5. 建築アーキテクチャ(Architectural Design): 建物や都市空間の機能性、安全性、耐久性、美的側面、環境適合性などを考慮した設計と構造。

アーキテクチャ の重要性

  • 複雑性の管理: 大規模で複雑なシステムを、管理しやすいサブシステムやコンポーネントに分解し、全体を理解しやすくします。
  • コミュニケーションの共通言語: 開発者、ステークホルダー、ビジネスサイドなど、異なる立場の人々がシステムの全体像を共通理解するための枠組みを提供します。
  • 品質特性の確保: 性能、信頼性、セキュリティ、保守性、拡張性といった非機能要件を設計段階で考慮し、システム全体の品質を保証します。
  • リスクの低減: 設計段階で潜在的な問題を特定し、早期に対処することで、開発後半での手戻りや大規模な障害のリスクを低減します。
  • 効率的な開発と運用: 明確な設計指針があることで、開発チームの生産性が向上し、後の運用・保守フェーズも効率的に行えます。

アーキテクチャは、システムや構造物の全体的な設計、構成、およびその構成要素間の関係性を定義するものです。単なる部品の集合ではなく、要素、関係性、そしてそれらを統制する原則やガイドラインの集合体として、システムの複雑性を管理し、性能、信頼性、拡張性、保守性といった非機能要件を含む品質特性を確保するための「青写真」の役割を果たします。ソフトウェア、エンタープライズ、ハードウェア、ネットワーク、建築など、多様な分野でその重要性が認識されており、持続可能で高品質なシステムを構築するための不可欠なプロセスです。

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