ジオブロックとは

ジオブロックは、インターネットを通じて提供されるコンテンツやサービスへのアクセスを、利用者の地理的な位置情報に基づいて制限または制御する技術のことであり、著作権やライセンス契約、地域ごとの規制、価格戦略などのビジネス上または法的な理由に基づき、特定の国や地域からのアクセスを遮断またはコンテンツの内容を調整するための、コンテンツ配信における地理的制限手段のことです。

ジオブロックの概要と技術的仕組み

ジオブロック(Geo-Blocking)は、デジタルコンテンツ配信、電子商取引、オンラインサービスなど、インターネットを利用する幅広い分野で活用されています。この技術は、ユーザーがどこからアクセスしているかを特定し、その情報に基づいてアクセス可否を判断します。

1. 位置情報の特定方法

ジオブロックを実行するために、システムはユーザーの正確な地理的位置を推定します。主な特定方法は以下の通りです。

  • IPアドレスの参照: 最も一般的な方法で、アクセス元のIPアドレスがどの国や地域に割り当てられているかを、IPアドレスと地理情報をマッピングしたデータベース(GeoIPデータベースなど)を参照して特定します。
  • GPS/Wi-Fi/モバイルデータ: スマートフォンなどのモバイルデバイスの場合、GPSやWi-Fiアクセスポイント、モバイル基地局の情報など、より高精度な位置情報が利用されることがあります。
  • 決済情報: ECサイトなどでは、ユーザーが使用するクレジットカードや請求先の住所情報も、地理的制限の判断材料とされることがあります。

2. ブロックの形態

ジオブロックには、単にアクセスを拒否するだけでなく、いくつかの形態があります。

  • 完全なアクセス拒否: 特定の国からの接続を完全に遮断し、サービス全体を利用させない(例:「このコンテンツはお住まいの地域では視聴できません」)。
  • コンテンツの差別化: 地域によって提供するコンテンツの内容やラインナップを変更する(例:映画の公開権利に基づき、特定の地域でのみ配信を行う)。
  • 価格差の適用: 地域に応じて提供価格を変える(ジオプライシング)。

ジオブロックの主な理由と法的背景

ジオブロックは、単なる技術的な制限ではなく、ビジネス戦略や法的な義務を遂行するための手段として用いられます。

1. 著作権とライセンス契約

映画、音楽、スポーツ中継などのコンテンツは、多くの場合、国や地域ごとに個別に放映権や配信ライセンスが契約されます。

  • 理由: コンテンツ所有者は、地域ごとのライセンス契約を保護し、他の地域でのライセンス価格や販売戦略に影響が及ばないようにするためにジオブロックを義務付けます。

2. 地域ごとの法規制

オンラインギャンブルや特定の金融サービスなど、国や地域によってサービス提供が法律で厳しく規制されている場合、該当地域からのアクセスを遮断する必要があります。

  • 理由: 法令を遵守し、企業が不必要な法的リスクを負うことを回避するためです。

3. 価格戦略と流通管理

電子商取引やソフトウェア販売において、地域ごとの購買力や市場状況に応じて価格設定を変えるために使用されます。

  • 理由: 地域間で発生しうる価格競争や不正な転売を抑制し、収益を最大化するためです。

ジオブロックへの対処(VPNの利用)

ジオブロックは、ユーザーのIPアドレスに基づいているため、利用者はVPN(Virtual Private Network)プロキシサーバーを使用して、自身の実際の地理的位置を偽装することが可能です。

  • VPNの仕組み: VPNサービスを利用すると、ユーザーのインターネットトラフィックは、選択したVPNサーバー(例:米国)を経由してルーティングされます。これにより、コンテンツ提供者側からは、VPNサーバーのIPアドレスがアクセス元として認識され、ジオブロックを回避できる場合があります。
  • 対策と課題: コンテンツ提供者側も、既知のVPNプロバイダのIPアドレスリストをブロックするなどして、ジオブロックの回避に対抗する試みを常に行っています。このため、VPNによるジオブロック回避は、常に成功するとは限りません。

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