テストケースとは

テストケース(Test Case)とは、特定の機能や要件が正しく動作するかを検証するために、入力、期待される結果、実行手順などを具体的に記述したもの。

テストケース(Test Case)は、ソフトウェアテストにおいて、特定の機能や要件が正しく動作するかを検証するために、実行手順、テストデータ、入力条件、そして期待される結果などを具体的に記述した一連の操作の集合です。これは、テストを体系的かつ再現可能に実施し、ソフトウェアの品質を客観的に評価するための基本的な単位となります。

テストケース の基本的な概念

テストケースは、ソフトウェアが特定の入力に対して、どのように振る舞うべきかを明確に定義します。これにより、テスト担当者は一貫した方法でテストを実行でき、開発者は報告された問題(バグ)を容易に再現・修正できます。

主要な構成要素は以下の通りです。

  1. テストケースID: 各テストケースを一意に識別するための番号やコード。管理の効率化と追跡可能性を確保します。
  2. テスト対象の機能/要件: このテストケースが検証する特定の機能、モジュール、または要件。トレーサビリティ(追跡可能性)を確保するために、要件定義書や設計書との紐付けが行われます。
  3. 前提条件(Preconditions): テストケースを実行する前に満たされているべきシステムの状態やデータ条件。例:ユーザーがログイン済みであること、特定のデータがデータベースに存在すること。
  4. テスト手順(Test Steps): テストを実行するために必要な具体的な操作のステップバイステップな記述。明確で簡潔な指示が求められます。例:
    1. ログイン画面にアクセスする。
    2. ユーザー名「testuser」、パスワード「password」を入力する。
    3. 「ログイン」ボタンをクリックする。
  5. テストデータ(Test Data): テスト手順で入力として使用される具体的なデータ。これにより、異なるシナリオでの動作検証が可能になります。例:ユーザー名、パスワード、商品コード、数量など。
  6. 期待される結果(Expected Result): テスト手順とテストデータが与えられた場合に、システムがどのように応答すべきかという、正しい振る舞いの記述。画面表示の変更、データベースの更新、エラーメッセージの表示、計算結果の正確性などが含まれます。
    • 例:
      • ログイン成功後、ダッシュボード画面が表示されること。
      • データベースのユーザーテーブルに新規レコードが追加されること。
      • 商品の合計金額が

 ( \text{単価} \times \text{数量} )

として正確に計算されること。

  1. 結果(Actual Result)と合否(Pass/Fail): テスト実行後に、実際に得られた結果と、期待される結果を比較して、テストの合否を判断します。不一致があれば不合格(Fail)となり、バグとして報告されます。

テストケース の重要性

テストケースは、ソフトウェア開発ライフサイクルにおける品質保証の基盤として極めて重要な役割を果たします。

  • 体系的なテストの実現: テスト活動を計画的かつ体系的に実施するためのロードマップとなります。
  • 品質の客観的評価: 期待される結果と比較することで、ソフトウェアの品質を客観的に評価し、バグの有無を明確に判断できます。
  • バグの早期発見: 設計段階やコーディング段階でテストケースを作成することで、実装前の論理的な欠陥を発見し、手戻りコストを削減できます。
  • 再現性の確保: テスト手順とデータが明確に定義されているため、誰がいつ実行しても同じ結果が得られる(または同じバグが再現される)ことを保証します。
  • 進捗管理とカバレッジ測定: テストケースの消化状況を追跡することで、テストの進捗状況を管理し、テストカバレッジ(テストがカバーしている範囲)を測定できます。
  • 知識の蓄積と共有: テストケースは、システムの機能や振る舞いに関する貴重なドキュメントとなり、チーム内で知識を共有し、将来のテストや改修に役立てることができます。
  • 回帰テストの効率化: ソフトウェアの変更後も、既存のテストケースを再実行する回帰テストにより、変更が既存機能に悪影響を与えていないことを効率的に確認できます。

テストケース の作成と管理

テストケースの作成は、通常、要件定義書、設計書、ユーザーシナリオ、ユーザーインターフェース(UI)のモックアップなどに基づいて行われます。効率的なテストケースの作成には、同値分割、境界値分析、状態遷移テスト、エラー推測などのテスト設計技法が用いられます。

テストケースは、テスト管理ツール(例:Jira、TestLink、Azure DevOps)を用いて管理されることが一般的です。これにより、テストケースのバージョン管理、実行履歴の記録、進捗レポートの生成などが容易になります。

テストケースは、特定の機能や要件が正しく動作するかを検証するために、入力、期待される結果、実行手順などを具体的に記述した、ソフトウェアテストにおける基本的な単位です。テストケースID、テスト対象、前提条件、テスト手順、テストデータ、期待される結果といった要素で構成され、体系的なテストの実現、品質の客観的評価、バグの早期発見、再現性の確保、進捗管理、知識共有に不可欠な役割を果たします。その適切な作成と管理は、ソフトウェアの品質を向上させ、開発プロジェクトの成功に大きく貢献します。。

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