テスト計画書とは

テスト計画書(Test Plan)とは、ソフトウェアテストの目的、範囲、アプローチ、資源、スケジュールなどを包括的に定義する公式ドキュメントのこと

テスト計画書(Test Plan)は、ソフトウェア開発ライフサイクルにおいて、ソフトウェアテスト活動の目的、範囲、アプローチ、必要な資源、およびスケジュールなどを包括的かつ体系的に定義する公式ドキュメントです。これは、テストプロセス全体のロードマップとして機能し、関係者間でテストの目標と戦略を共有し、テスト活動が効率的かつ効果的に実施されることを保証するための基盤となります。

テスト計画書 の基本的な概念

テスト計画書は、プロジェクトの初期段階で作成され、開発が進むにつれて必要に応じて更新されます。この文書は、テストの実施における「何を、なぜ、どのように、いつ、誰が、何で」を明確にすることで、テストチーム内外の全ての関係者にとって一貫した理解を促進します。

主要な構成要素は以下の通りです。

  1. テストの目的(Test Objectives): テスト活動が達成すべき具体的な目標。例:主要な機能の80%をカバーする、特定のセキュリティ脆弱性を特定する、性能要件を満たすことを検証する。
  2. テストの範囲(Test Scope): テストの対象となる機能、モジュール、システム範囲と、対象外とする範囲を明確に定義します。これにより、テスト活動の明確な境界線が設定されます。
  3. テストの対象(Items to be Tested): テスト対象となる特定のソフトウェア製品、バージョン、モジュール、ドキュメントなど。
  4. テストの戦略とアプローチ(Test Strategy / Approach): テストの種類(単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテスト、性能テスト、セキュリティテストなど)や、テストの実施方法(手動テスト、自動テスト)、回帰テストのアプローチなどを記述します。
  5. テストの完了基準と中断基準(Entry / Exit Criteria):
    • 開始基準(Entry Criteria): テストフェーズを開始するために満たされるべき条件。例:要件定義が承認されている、テスト環境が構築済みである、開発者の単体テストが完了している。
    • 終了基準(Exit Criteria): テストフェーズを終了するために満たされるべき条件。例:全ての高優先度バグが修正済みである、テストケースの実行率が95%以上である、回帰テストが成功している。
  6. 役割と責任(Roles and Responsibilities): テストチームのメンバーおよびその他の関係者の役割と責任を明確にします。
  7. テスト環境(Test Environment): テストを実行するために必要なハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク構成、テストデータなど、環境の詳細を記述します。
  8. テストツール(Test Tools): テストの計画、設計、実行、管理、報告に使用するツール(テスト管理ツール、自動テストツール、性能テストツールなど)を特定します。
  9. スケジュールと見積もり(Schedule and Estimation): テスト活動の開始日、終了日、マイルストーン、各テストフェーズの期間、必要な工数見積もりなどを定義します。
  10. リスクと対応策(Risks and Contingency Plans): テスト活動に影響を与えうる潜在的なリスク(例:環境の遅延、要件の変更、リソース不足)とそのリスクに対する対応策を記述します。
  11. 成果物(Deliverables): テスト計画書自体、テストケース、テストデータ、テストレポート、バグ報告書など、テストプロセスを通じて作成される成果物。

テスト計画書 の重要性

テスト計画書は、ソフトウェア開発プロジェクトにおける品質保証の要となるドキュメントであり、その重要性は多岐にわたります。

  • 共通理解の形成: 全てのプロジェクト関係者(開発者、プロジェクトマネージャー、品質保証チーム、顧客など)が、テストの目的、範囲、方法について共通の理解を持つことを保証します。
  • テストの効率化: テスト活動の計画と構造化を明確にすることで、テストプロセスの効率性を高め、無駄な作業を削減します。
  • 品質目標の明確化: システムが満たすべき品質レベルと、それを検証するための基準を具体的に定義します。
  • リスク管理: 潜在的な問題やリスクを事前に特定し、それらに対処するための計画を立てることで、プロジェクトの遅延や失敗のリスクを軽減します。
  • リソースの最適配分: 必要な人員、ツール、環境などのリソースを適切に見積もり、配分するための根拠となります。
  • 進捗管理と報告: テスト活動の進捗状況を監視し、定期的に報告するための基準を提供します。

テスト計画書 の作成時期と更新

テスト計画書は、プロジェクトの要件定義フェーズの完了後、または設計フェーズの初期段階で作成を開始するのが一般的です。これにより、開発フェーズが開始される前にテストの方向性が明確になり、早期からの品質意識が醸成されます。

プロジェクトの進行に伴い、要件の変更、設計の修正、予期せぬ問題の発生などがあった場合、テスト計画書もそれに合わせて定期的にレビューされ、更新される必要があります。これは、テスト活動が常に最新のプロジェクト状況に合致していることを保証するために不可欠です。

テスト計画書は、ソフトウェアテストの目的、範囲、アプローチ、必要な資源、およびスケジュールなどを包括的に定義する公式ドキュメントです。テストの目的、範囲、戦略、完了基準、役割、環境、ツール、スケジュール、リスク、成果物といった多様な要素で構成され、テスト活動の効率化、品質目標の明確化、リスク管理、リソース配分、進捗管理に不可欠な役割を果たします。プロジェクトの初期段階で作成され、継続的に更新されることで、ソフトウェアの品質を確保し、開発プロジェクトの成功に大きく貢献します。

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