データパケットとは
データパケットは、コンピュータネットワーク上で情報を効率的かつ確実に伝送するために、送信されるデータ全体を一定のサイズに分割し、宛先情報やエラーチェック情報などの制御情報を付加してカプセル化(Packeting)した小さな単位のことであり、ネットワークにおけるルーティングや転送の基本単位として機能し、送信先まで個別に経路をたどって送られ、最終的に受信側で元のデータに復元される、パケット交換方式における情報伝達の基礎となる構造のことです。
データパケットの概要と構造
データパケット(Data Packet)は、インターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)など、ほぼすべての現代的なデジタル通信において使用される情報伝達の単位です。このパケットを細かく分割して送る方式は、パケット交換方式と呼ばれます。
1. パケット交換の利点
従来の通信方式(回線交換方式)が、通信開始から終了まで専用の回線を占有したのに対し、パケット交換方式には以下の利点があります。
- 効率性: 複数のユーザーが同じ通信回線を共有できるため、ネットワークの利用効率が向上します。
- 堅牢性: 個々のパケットが異なる経路をたどって目的地に到達できるため、途中の回線に障害が発生しても通信が途絶えにくいです。
2. データパケットの基本構造
データパケットは、大きく以下の3つの主要部分から構成されます。
| 構成要素 | 役割 | 含まれる情報(例) |
| ヘッダ(Header) | パケットの送受信に必要な制御情報。パケットの先頭に付加されます。 | 送信元/宛先IPアドレス、ポート番号、パケット番号、プロトコル種別、TTL(Time To Live)など。 |
| ペイロード(Payload) | 実際に伝送したいユーザーデータ本体。 | WebページのHTMLデータ、電子メールの本文、音声データなど。 |
| トレーラ(Trailer) | データ部の末尾に付加される制御情報。主にエラー検出に使用されます。 | CRC(巡回冗長検査)などのエラーチェックコード。 |
OSI参照モデルとパケットの呼称
データパケットは、通信プロトコルが階層化されたモデル(OSI参照モデルやTCP/IPモデル)において、層ごとに異なる名称で呼ばれることがあります。これは、各層で付加される制御情報(ヘッダやトレーラ)が異なるためです。
| OSI参照モデル層 | データ単位の名称 | 該当するプロトコル(例) |
| 第4層(トランスポート層) | セグメント(Segment) | TCP (Transmission Control Protocol) |
| 第3層(ネットワーク層) | パケット(Packet) | IP (Internet Protocol) |
| 第2層(データリンク層) | フレーム(Frame) | Ethernetなど |
一般的に「データパケット」という場合、第3層のIPパケットを指すことが多いですが、広義には第2層のフレームや第4層のセグメントを含め、分割された伝送単位全体を指します。
パケットの送受信プロセス
パケットは、送信元のアプリケーション層から最下層の物理層に向かって渡される際に、各層で対応するヘッダとトレーラが付加され、カプセル化されていきます。
- カプセル化(Encapsulation): アプリケーションデータがトランスポート層でセグメント化され、ネットワーク層でIPヘッダが付加されてパケット化され、データリンク層でフレーム化されます。
- ルーティング: ネットワーク層のルーターは、パケットヘッダの宛先IPアドレスを参照し、ネットワーク内の最適な経路を選択してパケットを次の中継機器へ転送します。
- 再構成(Reassembly): パケットが最終的な宛先に到達すると、受信側では、送信時とは逆の順序で各層のヘッダとトレーラが除去されます(非カプセル化)。
- 順序復元とエラーチェック: トランスポート層(TCPなど)では、パケットヘッダの順序番号を確認し、バラバラに届いたパケットを正しい順序に並べ替えます。また、トレーラやヘッダ情報を用いてエラーがないかを確認し、エラーがあれば再送要求を行います。
このパケット交換方式と階層化されたプロトコル処理により、インターネットは大規模かつ信頼性の高い通信インフラとして機能しています。
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