暗号化とは

暗号化は、情報やデータを、権限を持つ者以外には解読できない形式(暗号文)に変換する処理のことであり、通信途中の盗聴やデータの不正利用を防ぎ、機密性(Confidentiality)や完全性(Integrity)といった情報セキュリティの基本要件を確保するための、主要なデータ保護技術のことです。

暗号化の概要と情報セキュリティにおける役割

暗号化(Encryption)は、平文(Plaintext、元の情報)を特定の暗号アルゴリズムと鍵(Key)を用いて、意味のない文字列やデータ形式である暗号文(Ciphertext)に変換するプロセスを指します。この暗号文を元の平文に戻す処理を復号(Decryption)と呼びます。

暗号化の主要な目的は、情報が第三者の手に渡ったとしても、その内容を読み取られることを防ぐ機密性の確保にあります。特に、インターネットを経由するデータ通信や、サーバー、ストレージに保管される機密データを保護するために不可欠です。

  • 機密性(Confidentiality): 許可されたユーザーのみがデータにアクセスし、内容を理解できるようにすること。
  • 完全性(Integrity): データが通信中や保管中に改ざんされていないことを保証すること(暗号化と併せてハッシュ関数やデジタル署名が用いられる)。
  • 認証(Authentication): データの発信元が正当であることを確認すること。

主な目的は、情報の安全性を技術的に担保し、信頼性の高いシステムとサービスを構築することです。

暗号方式の主要な分類

暗号化に用いられる方式は、復号に使う鍵の種類によって大きく二つに分類されます。

1. 共通鍵暗号方式(Symmetric-key Cryptography)

暗号化と復号に同一の鍵を用いる方式です。

  • 特徴:
    • 高速性: 処理速度が速いため、大容量のデータを短時間で暗号化するのに適しています。
    • 鍵の共有問題: 通信を行う両者(送信者と受信者)が、事前に安全な方法で共通の鍵を共有する必要があります。この鍵配送問題が、この方式の最大の課題です。
  • アルゴリズムの例: AES(Advanced Encryption Standard)、DES(Data Encryption Standard、現在では非推奨)。

2. 公開鍵暗号方式(Public-key Cryptography)

暗号化と復号に異なる二つの鍵(鍵ペア)を用いる方式です。

  • 鍵ペアの構成:
    • 公開鍵(Public Key): 広く公開され、誰もが利用できる鍵。データの暗号化、またはデジタル署名の検証に使用されます。
    • 秘密鍵(Private Key): 鍵の所有者のみが厳重に保管する鍵。データの復号、またはデジタル署名の生成に使用されます。
  • 特徴:
    • 鍵配送の解決: 送信者は受信者の公開鍵を使って暗号化するため、秘密鍵を安全に送る必要がなく、鍵配送問題を解決します。
    • 低速性: 共通鍵暗号方式に比べて処理が遅いという欠点があります。
  • アルゴリズムの例: RSA、ECC(Elliptic Curve Cryptography、楕円曲線暗号)。

複合的な暗号化技術の利用

実際の安全な通信(例:SSL/TLS)では、これら二つの方式の利点を組み合わせたハイブリッド暗号方式が用いられます。

  1. 公開鍵暗号の利用: まず、公開鍵暗号を使用して、共通鍵自体を安全に交換します。
  2. 共通鍵暗号の利用: その後、安全に確立された共通鍵を使用して、大量のデータ通信を高速に暗号化・復号します。

このハイブリッド方式により、公開鍵暗号の安全な鍵交換能力と、共通鍵暗号の高速なデータ処理能力の両方を享受できます。

また、暗号化の強度を示す指標の一つとして、鍵長(Key Length)が用いられます。鍵長が長いほど、解読に必要な計算量(総当たり攻撃にかかる時間)が指数関数的に増大し、セキュリティが向上します。

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