CMOSとは

CMOSは、半導体集積回路の一種である相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)の略称のことであり、特にパーソナルコンピュータ(PC)において、システム時刻やブート設定などの基本的な情報を保持するために利用される、低消費電力の揮発性メモリチップのことです。

CMOSの概要と役割

CMOSという用語は、一般的に二つの意味で使われます。一つは半導体デバイスの構造を指す技術的な用語であり、もう一つは、PCのマザーボードに搭載されている「CMOSメモリ(またはCMOS RAM)」を指します。IT用語として言及される場合、後者のPCの不揮発性メモリの役割を指すことがほとんどです。

CMOSメモリは、システムが電源をオフにした後でも設定情報(ファームウェア設定)を保持し続けるために使用されます。ただし、厳密にはCMOSメモリ自体は揮発性(電源が供給されないとデータを失う)であるため、マザーボード上のCMOSバッテリー(ボタン電池)によって、ごくわずかな電力を常に供給され続けることで、データを維持しています。

主な目的は、システム時刻(リアルタイムクロック、RTC)や、BIOS/UEFIの設定値など、コンピュータの起動と基本的な動作に不可欠な情報を電源が切れても保持し、常に正しい設定で起動できるようにすることです。

CMOSメモリに格納される情報

CMOSメモリは容量が非常に小さい(通常は数百バイト程度)ですが、システムにとって非常に重要な設定情報が格納されています。

  • リアルタイムクロック(RTC): 現在の日付と時刻。OSが起動していない間も、正確な時刻を維持します。
  • 起動順序(ブートオーダー): OSをロードするために最初にアクセスすべきデバイスの順序(例:ハードディスク、SSD、USB、光学ドライブなど)。
  • ハードウェア設定: 搭載されているCPU、メモリ容量、ストレージデバイス(HDD/SSD)、内蔵コントローラの有効/無効設定など。
  • パスワード: BIOS/UEFIレベルの起動パスワードやセットアップパスワード。

これらの設定情報は、システム起動時にBIOSまたはUEFIによって読み込まれ、ハードウェアの初期設定に使用されます。ユーザーは、PCの起動時に特定のキー(例:Delete、F2など)を押すことで、BIOS/UEFIセットアップ画面に入り、CMOSの設定値を変更することができます。

CMOSの技術的側面(半導体技術)

CMOSは、半導体技術としては、集積回路の製造プロセスにおいて、P型MOSFET(p-channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)とN型MOSFET(n-channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を組み合わせて使用する設計手法を指します。

1. 低消費電力の特性

CMOS回路の最大の特徴は、消費電力が極めて低いことです。

  • CMOS回路では、トランジスタが「オン」または「オフ」の安定状態にあるとき、2つのトランジスタが相補的に動作するため、一方のトランジスタは完全にオフになり、回路を貫通する直流電流(スタティック電流)がほとんど流れません。
  • 電流が流れるのは、回路の状態が変化する瞬間(スイッチング時)のみです。

これにより、CMOSで構成されたメモリチップは、非常に小さなCMOSバッテリーの電力だけで長期間にわたってデータを保持することが可能となっています。現代のCPUやGPU、ほとんどのロジックICも、この低消費電力特性を持つCMOS技術に基づいて製造されています。

関連用語

BIOS | 今更聞けないIT用語集
UEFI | 今更聞けないIT用語集
ITアドバイザリー/情報技術支援

お問い合わせ

システム開発・アプリ開発に関するご相談がございましたら、APPSWINGBYまでお気軽にご連絡ください。

APPSWINGBYの

ソリューション

APPSWINGBYのセキュリティサービスについて、詳しくは以下のメニューからお進みください。

システム開発

既存事業のDXによる新規開発、既存業務システムの引継ぎ・機能追加、表計算ソフトによる管理からの卒業等々、様々なWebシステムの開発を行っています。

iOS/Androidアプリ開発

既存事業のDXによるアプリの新規開発から既存アプリの改修・機能追加まで様々なアプリ開発における様々な課題・問題を解決しています。


リファクタリング

他のベンダーが開発したウェブサービスやアプリの不具合改修やソースコードの最適化、また、クラウド移行によってランニングコストが大幅にあがってしまったシステムのリアーキテクチャなどの行っています。