フラグメンテーションとは

フラグメンテーションは、コンピュータの記憶装置(RAMやストレージ)において、使用可能な領域が細切れになり、全体としては十分な容量があるにもかかわらず、連続した一続きの空間として利用できなくなっている状態のことです。

これは、データの保存と削除を繰り返す過程で発生する現象であり、メモリの利用効率を低下させるだけでなく、データの読み書き速度を著しく減衰させるなど、システム全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす要因となります。

フラグメンテーションの種類とメカニズム

フラグメンテーションは、その発生場所や状態によって、大きく「外部フラグメンテーション」と「内部フラグメンテーション」、そして「ファイルシステムの断片化」に分類されます。

1. 外部フラグメンテーション(メモリの断片化)

主記憶装置(RAM)において、動的なメモリ割り当てと解放を繰り返すことで発生します。

  • 発生要因: さまざまなサイズのデータがメモリ上に配置され、その一部が解放されると、使用中の領域の間に小さな空き領域が点在するようになります。
  • 影響: 合計の空き容量は十分であっても、新たに大きなデータを配置しようとした際、連続した空き領域が見つからず、メモリ不足エラーを引き起こすことがあります。

2. 内部フラグメンテーション

固定サイズのブロック(ページやセクタ)単位でメモリを割り当てる際に発生します。

  • 発生要因: データのサイズが割り当てられた最小単位(ブロックサイズ)に満たない場合、そのブロック内の余った空間は利用されず、無駄な領域となります。
  • 影響: 物理的なメモリ容量が実際よりも早期に枯渇する原因となります。

3. ファイルシステムの断片化(ストレージの断片化)

ハードディスクドライブ(HDD)などの補助記憶装置において、一つのファイルが物理的に不連続な場所に分割されて保存される状態を指します。

  • 発生要因: 空き領域が細分化されている状態で大きなファイルを保存しようとすると、OSはファイルを分割して点在する空き領域に流し込みます。
  • 影響: 特に物理的な駆動部を持つHDDにおいて、磁気ヘッドの移動(シーク)回数が増大し、データの読み込み時間が飛躍的に増加します。

発生による弊害

フラグメンテーションが進行したシステムでは、以下のような具体的な問題が発生します。

  1. システム速度の低下: ストレージにおける断片化は、OSの起動時間やアプリケーションのレスポンスを著しく悪化させます。
  2. リソースの浪費: 内部フラグメンテーションが蓄積すると、実際のデータ量よりもはるかに多くのメモリを消費することになります。
  3. 書き込み寿命への影響: ソリッドステートドライブ(SSD)においては、断片化自体による速度低下は限定的ですが、頻繁な書き込み箇所の分散は管理テーブルの複雑化を招きます。

対策と解消手法

フラグメンテーションを解消または防止するために、ITシステムではいくつかの技術的アプローチが採用されています。

1. デフラグメンテーション(デフラグ)

ストレージにおいて、分割されたファイルを再配置して連続させる処理です。空き領域を一箇所にまとめることで、将来的な断片化の抑制も図ります。

2. メモリ・コンパクション(記憶領域の集約)

外部フラグメンテーションを解消するために、使用中のメモリ領域を一方に詰め、大きな連続した空き領域を生成する操作です。ただし、この処理中はプロセスの実行を一時停止させる必要があるため、高度な制御が求められます。

3. ガベージコレクション

JavaやPythonなどのプログラミング言語実行環境において、不要になったメモリ領域を自動的に解放し、同時に領域の整理を行う仕組みです。

4. ベストフィット・アルゴリズム

メモリ割り当て時に、要求されたサイズに最も近い空き領域を選択することで、残る空き領域が極端に小さくなることを防ぐ戦略です。効率を評価する際、利用効率 E は以下のような指標で検討されることがあります。

E = \frac{\sum \text{使用中の領域}}{\text{全メモリ領域}}

現代のOSでは、これらのプロセスがバックグラウンドで自動的に行われるよう設計されていますが、大規模なデータベースやリアルタイム性が求められるシステム設計においては、依然としてフラグメンテーションの制御が性能維持の鍵となります。

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