【次世代バックオフィス変革】シャドーITを味方に

【次世代バックオフィス変革】シャドーITを味方に

2025年も残すところあと半月となりましたが、企業の情報システム部、とりわけバックオフィス部門では生成AIの急速な浸透により大きな転機を迎えています。その理由は、利便性と効率性を求めてSaaSや生成AIを使い始める一方で、システムの統制が失われる「シャドーIT」が急増している為です。

本記事では、リスクを最小限に抑えながら、AIの力を最大限に活かすバックオフィス変革の戦略を解説します。

では、さっそくはじめていきましょう!

シャドーITの時代:課題と機会

生成AIの急速な普及により、企業のIT環境は大きな転換点を迎えています。

かつてのIT統制は、システム部門が一元管理する「ホワイトIT」を前提としていましたが、現在はその想定が根本的に変わろうとしています。特にバックオフィス部門では、ChatGPTやその他の生成AIツールが現場レベルで急速に導入され、従来のガバナンス体制では把握しきれない状況が生まれています。

この新しい時代に、企業が適応できるかどうかは、競争力を左右する重要な要素となっています。

生成AI時代に加速する「見えない利用」

現場主導の生成AI導入がもたらす光と影

近年、企業内での生成AIの利用実態は急速に変化しています。

従来であれば、新しいツールやシステムの導入は経営層の承認を経てIT部門が管理下で行うものでしたが、成AIの登場により、この常識が覆されつつあります。

スマートフォンの普及拡大の時にも同じような現象が起きましたが、現場の業務担当者が個人の判断でChatGPTやGoogle Gemini、その他の生成AIサービスを利用し始めるという現象が急増しているのです。

これは一見すると、業務効率化につながる肯定的な側面があります。

実際の例を見てみましょう。

ある大手製造業では、営業企画部門の担当者が独自にChatGPTを導入し、提案資料の作成時間を40%削減することに成功しました。人事部門では給与計算の複雑な規則説明をAIに生成させることで、新入社員の研修期間を短縮しました。経理部門では、複雑な決算書の作成プロセスをAIに補助させることで、月次決算の完了日を1週間早めることができた事例もあります。

しかし、この「現場主導」の動きには、大きな課題も伴っています。

企業として把握していない、コントロール下にないツールが業務に組み込まれているという現実です。

これが「シャドーIT」の本質です。

経営層やIT部門が知らないうちに、機密情報が外部のクラウドサービスに入力されているかもしれません。

複数の部門が同じような生成AIツールを個別に契約していて、コストが重複しているかもしれません。

セキュリティ基準を満たさないサービスが業務に使われているかもしれません。

こうした「見えない利用」は、企業にとって予測不可能なリスクをもたらすのです。

以下のデータは、2024年に実施された企業のIT部門への調査から得られたものです。

課題認識率説明
シャドーITの存在を認識している68%自社内で管理外のツールが使われていることを把握
セキュリティリスクを懸念82%情報漏洩や不正アクセスへの不安
コスト増大の問題を経験54%重複投資や管理コストの増加
ガバナンス強化の必要性を認識76%統制と利便性のバランスを取る必要があると実感
シャドーITの認識調査

このデータから明らかなことは、IT部門の大多数が課題を認識していながらも、対応策を講じるのに苦慮しているという現実です。理由は、対応が単純ではないからです。

従来のIT統制では対応しきれない新しい課題

従来のIT統制モデルは、大型システムの導入と運用を前提として設計されていました。

例えば、新しい会計システムやERP導入の際には、以下のようなプロセスが標準的でした。

  • 経営層による予算承認と意思決定
  • IT部門による要件定義とベンダー選定
  • セキュリティとコンプライアンスの事前審査
  • 段階的な導入と運用開始後のサポート

このプロセスは、大規模で予測可能な投資に対しては、確実に機能してきました。

しかし生成AIツールの普及には、このモデルが通用しません。理由は三つあります。

第一に、ツールの導入障壁が極めて低いということです。多くの生成AIサービスは無料、または低額で個人が利用開始できます。承認プロセスを待つ必要がなく、現場の判断で即座に使用開始できるのです。

第二に、利用部門が広範囲に分散しており、IT部門が一元的に把握することが技術的に困難です。従来のシステムであれば、ネットワークのトラフィック監視や利用ログの一元管理が可能でしたが、外部のクラウドベースのサービスについてはそれが難しいのです。

第三に、ビジネス側からの要望が強く、完全に禁止することが現実的ではないという点です。現場は生成AIのメリットを理解し、活用したいと考えています。IT部門が「ダメ」と言うだけでは、シャドーIT化がさらに加速するだけなのです。

このような新しい課題に対応するには、従来の「統制と禁止」中心のアプローチから、「統制と活用」の両立を目指すアプローチへの転換が不可欠となっています。

言い換えれば、シャドーITを悪とみなすのではなく、その存在を認識しながら、適切に管理し、ビジネス価値を引き出す戦略的アプローチが求められるということです。

次のセクションでは、この課題がバックオフィス部門で何をもたらすのか、そして企業が取るべき対策は何かについて、より詳しく掘り下げていきます。

APPSWINGBYは、最先端の技術の活用と、お客様のビジネスに最適な形で実装する専門知識を有しております。AI開発から既存の業務システムへの統合などの他、リファクタリング、リアーキテクチャ、DevOps環境の構築、ハイブリッドクラウド環境の構築、システムアーキテクチャの再設計からソースコードに潜むセキュリティ脆弱性の改修の他、テクノロジーコンサルティングサービスなど提供しています。

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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

ご支援業種

情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
Webシステム開発からアプリ開発、AI導入、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトまで幅広く携わる。
C, C++, C#, JavaScript, TypeScript, Go, Python, PHP, Java などに精通し、Vue.js, React, Angular, Flutterを活用した開発経験を持つ。
特にGoのシンプルさと高パフォーマンスを好み、マイクロサービス開発やリファクタリングに強みを持つ。
「レガシーと最新技術の橋渡し」をテーマに、エンジニアリングを通じて事業の成長を支えることに情熱を注いでいる。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップや東証プライム上場企業のR&D部門を経て、2019年5月より株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTO。
Webシステム開発からアプリ開発、AI導入、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトまで幅広く携わる。
C, C++, C#, JavaScript, TypeScript, Go, Python, PHP, Java などに精通し、Vue.js, React, Angular, Flutterを活用した開発経験を持つ。
特にGoのシンプルさと高パフォーマンスを好み、マイクロサービス開発やリファクタリングに強みを持つ。
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