サービス開発の仮説検証に有効なプロトタイプ開発
アフターコロナ、加速する企業のDX
私たちは今、かつて経験したことのない変化に直面しています。2020年4月16日に政府が特別措置法に基づく緊急事態宣言を全都道府県に拡大し、外出自粛要請を行った結果、新型コロナウイルス感染拡大防止を前提とした「新しい生活様式」を政府や自治体から繰り返し求められ、企業ではテレワークが急速に普及することになりました。緊急事態宣言から1年以上が過ぎ、やっとワクチン接種が開始されましたが、感染拡大の勢いは収まる気配はありません。「もはやコロナ渦前の世界に戻ることはない」と言われている昨今、企業のDX(digital transformation)は急務の課題となり、負の遺産とつつあるコロナ渦以前の多くの事業モデルを断ち切る構造改革と新しい領域への戦略的投資が企業の存続と成長に必要不可欠となりました。
今、企業はニューノーマルな時代において、新しい生活様式、新しい働き方を前提としたトレンドの変化に素早く対応することができ耐久力ある事業が喫緊に必要とされ、様々な形態の企業がニューノーマルな時代に適応したビジネスを模索しています。
「不確実性」という潜在的なリスクをヘッジするPoCとプロトタイプ開発
企業がDXを目指し、新たなビジネスの創出や既存のプロダクトにネットサービスを付加し、価値をあげることは企業におって最早必要不可欠なものとなりました。しかし、新規事業・新規サービスの立ち上げや新たな機能には必ず「不確実性」という潜在的なリスクが潜んでいます。その不確実性を少しでも減らす取り組みは以前から行われてきました。それがPoC(Proof of Concept)と呼ばれる概念実証とプロトタイプ開発です。
事業の構想・プランニングから開発プロジェクトの実行に移る前段階に、事業構想の検証を行う手段としての”PoC(Proof of Concept)”、簡易的につくられた検証用のプログラムを実際に操作し、検証を行う”プロトタイプ開発”についてご紹介します。
PoCとは
PoC(ピーオーシーまたはポック)は、”Proof of concept”の略で、日本語では”概念実証”と訳されています。
PoCでは、一般的に、コンセプトや方向性が決まる前段階の「概念」や「理論」、「手法」、「アイディア」などの実証実験として行い、それらの効果・効用、具体性、実現性の検証として行われ、経営・投資判断などの材料、根拠を利用されます。
PoCは、サービスの実現に向けて動き出した中で行われる「プロトタイプ」と”検証する行為”は非常に似ていますが、検証の結果を必要とする人々が異なる他、検証を行うフェーズが異なります。PoCは前述した通り、事業の構想やプランが固まった後に行われるのに対し、プロトタイプはプロダクション環境の開発、つまり、ウェブサービスやアプリケーションの開発工程に入る直前に、簡易的なサービスを模擬として開発し、各担当者や仮想ユーザーに操作してもらいながら様々な視点から検証を行い、ズレを修正します。
PoCは、プロトタイプが必要されるよりも前の「事業構想・企画の検証」。模擬アプリを簡易的に開発し、実際に触ってみて、確かめるのが「プロトタイプ開発」となります。
PoCの”次の工程”として行うプロトタイプ開発
体験し検証するプロトタイプ開発
PoCが概念検証として、事業構想・企画フェーズで実効性を確認する作業として非常に有効な行為であることは前述した通りですが、PoCの次にやるべきことは、”プロトタイプを開発し、開発しようとしているウェブサービスやアプリケーションを実際に触ってみて、検証する「プロトタイプ開発」です。
プロトタイプ開発とは
プロトタイプ(英:prototype)とは、新しいサービスや新機能、新製品の検証や試験、量産前の問題点の洗い出しなどの目的につくられる試作品です。
実際に開発するウェブサービスやアプリケーションを簡易的に操作できる程度の模擬プログラムを組み、各担当者や模擬ユーザーが操作し、体験できるものをつくるることによって、頭の中で想像していたものと実際に触ってみた感覚・体験とのギャップ、ズレを見つけ出し、それらのズレを修正していくことが”プロトタイプを開発する大きな目的”となります。
リスクをヘッジするプロトタイプ開発
近年、国内で行われるITサービス開発プロジェクトでも、プロトタイプを開発し、各担当者間の認識のズレ、ユーザビリティの確認等を検証し、新規サービス開発が潜在的に抱える様々なリスクをヘッジしようというケースが増えてきました。
これまでの従来までのシステム開発プロジェクトでは、”プロトタイプ開発と検証”そのものの工程がないことが多く、RFI、RFP、ご契約、設計と工程が進み、ワイヤーフレーム、モック、開発が順番に作業スケジュールとして組まれることが大半でした。
開発をベンダーに発注している段階で、すでにウェブサービスやアプリケーションのUIデザインを含むすべての仕様が決まっているといった前提でプロジェクトがスタートする為、仕様書に書かれた仕様が本当に成果につながるのかは実際にサービスがリリースされるまで誰もわからない上に、誰も経験したことはありませんでした。
この伝統的な受発注形態は、システム開発を外部ベンダーに発注し、納品する形態としては、曖昧な仕様によるトラブルを可能な限り避けることができる、仕様を決めた側の責任を明確にできるなど、取引上のリスクを減らす契約形態としてはとても優れた契約形態のひとつです。システムのリプレース、アップデートプロジェクトにとってはベストな契約形態ですし、確実なプロジェクトの進め方と言えるでしょう。
一方で、ウェブやアプリケーションの利用者がどのように操作するのか、どのように感じるのか、サービス提供者側の意図はそのサービスに確実に反映されているのかなど実際にサービスをローンチし、サービスを稼働してみなければ見えてこないものが多いような新サービスの開発プロジェクトの場合、サービスを提供し、結果を残さなければならない側の人々にとって、「プロトタイプ開発」は、新規事業、サービスが潜在的に抱える見えない不確実性やリスクをできるだけ排除するアプローチは、とても有効な手段となることは間違いないでしょう。
UXを意識したプロトタイプ開発
ウェブサービスやアプリケーションの開発を行うプロジェクトでは、必ず利用者が使うデバイスの種類が複数あることを意識しておかなければなりません。デバイスの差異から生まれるユーザビリティ、UX(User Experience)の違いを予め把握し、「プロトタイプ開発」によって、当初描いていたプランと実際に操作した際の感覚やUX等のズレを把握し、できるだけ早く修正しておくことが重要となります。
UX (ユーザーエクスペリエンス:User eXperience)とは
ユーザーエクスペリエンス(User eXperience)とは、「ユーザーがウェブサービスやスマートフォンアプリケーション等を得られる体験」のことです。
テクノロジーの変化、生活様式の変化によって、人々の意識や行動は大きく変化し、ユーザーがモノの購入から体験を求める方向でニーズが大きく変化したと言われ、サービスを開発する上で大変重要されているのがUX(User Experience)、消費者の体験と言われています。
APPSWINGBYのプロトタイプ開発
APPSWINGBYの開発者達は、これまで様々なウェブアプリケーションやAndroid/iOSアプリ、ソフトウエア製品のプロトタイプを開発してきました。ローカル環境に仮想のマイクロサービス環境を構築し、プロトタイプを開発することは日常茶飯事ですが、過去には、リアルタイムで大量のデータを処理しなければならないソフトウエア製品開発の前工程として、仮想の環境と共に模擬操作が可能なプロトタイプアプリケーションを開発したこともありました。
APPSWINGBYのプロトタイプ開発は、ウェブサービスやスマートフォンアプリの開発の予定で、新サービスが抱える様々なリスクを減らしたい、各担当者の認識のズレをしっかりと修正した上で本サービスの開発をより確実に進めたいといったニーズをお持ちの企業様に最適なサービスです。
プロトタイプ開発のご要望がありましたら、お気軽にAPPSWINGBYまでご相談ください。
この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数
監修
株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。