システム開発の見積もり依頼の抑えておきたいポイント

システム開発の見積もりとは?基礎知識と種類を解説

システム開発の見積もりとは?基礎知識と種類を解説
システム開発の見積もりとは?基礎知識と種類を解説

システム開発を外部に依頼する際、必ずと言っていいほど必要になるのが「見積もり」です。しかし、見積もりといってもその種類や内容、構成要素は多岐に渡り、初めてシステム開発を発注する企業にとっては分かりにくい部分も多いのではないでしょうか。

この記事では、はじめてシステム開発の発注をお考えの企業・ご担当者様向けに、システム開発の見積もりに関する基礎知識と種類、構成要素について詳しく解説してます。見積もりの内容を理解することで、開発会社との交渉をスムーズに進め、プロジェクトを成功に導くための第一歩を踏み出すことができますので、是非、ご参考にしてみてください。

見積もりの種類

システム開発の見積もりは、その精度や目的によって様々ですが、良く使われる見積りの種類についてご紹介します。

概算見積もり

開発内容や要件が確定していない段階で、費用をざっくり計算して作成したのが「概算見積もり」です。

開発内容や要件が確定している訳ではありませんので、開発したいシステムが凡そどれくらいの金額感なのかを知ることを目的とすることが多いのが概算見積もりです。概算はあくまで概算ですので、正式な見積ではありませんので、正式に発注を検討する場合には、別途、「正式見積」を依頼する必要があります。

超概算見積もり

似たような見積に「超概算見積もり」というのもあり、「超概算見積もり」は打合せなどの場で、担当者が「百万単位なのか、千万単位なのか、」といった金額の感覚的な確認をしたい場合に「超概算見積もりですが・・・」といった使い方をされるのが「超概算見積もり」です。

た段階で作成される、より詳細な見積もりです。機能一覧や画面設計書、スケジュールなどの詳細な資料に基づいて作成されるため、概算見積もりよりも精度が高いのが特徴です。

詳細見積もりは、開発会社との契約を結ぶ際や、プロジェクトの進捗管理に利用されます。ただし、開発途中で仕様変更が発生した場合には、見積もり内容も変更される可能性があります。

正式見積もり

正式見積書は、システム開発に必要なすべての工程の工数を算出し、正確な見積金額とした見積書です。正式見積書で出した金額が、正式な発注(額)となり、発注書や契約書に記載されます。IT業界ではあまり耳にする機会はないのですが、お客様の業界によっては正式見積書のことを「確定見積書」と言う場合もあります。

見積もりの構成要素

システム開発の見積もりは、主に以下の4つの要素で構成されます。

人件費

システム開発に携わるエンジニアやプロジェクトマネージャーなどの人件費です。人件費は、設計企画や開発期間、またその工程に必要な人数、また、工程の要求レベルによってアサインする技術者のスキルレベルによって単価が替わり、設計企画や開発期間(つまり人件費)の金額が変動します。

基本的なプログラミングしかできない数年の経験しかない開発者と高度な技術を熟知し高度な設計やプログラミングができる熟練の開発者では、人件費が大きく異なります。

開発費用

上記しました人件費も「開発費」として記されることがほとんどではありますが、開発費の中には人件費の他にも、システム開発に必要なソフトウェアやハードウェア、ライセンス費用などが含まれる場合があります。よって、システムの開発規模や使用するソフトウエアや外部サービスによって金額が変動する場合があります。

保守・運用費用

通常、システム開発を行う場合は、システム開発終了後の保守や運用費用については別見積として見積ることがほとんどです。

システム開発を行うイニシャルコストと保守・運用を行うらインニングコストは別に見積を作成するのが一般的です。一緒にすることはほとんどありません。

システムリリース後の運用・保守にかかる費用は、ソフトウエアやハードウエアの年間の保守費用などとシステム監視、運用メンテナンス、緊急対応などを行う運用管理費用に分けられます。年間にかかる”保守”費用は、システム開発費(イニシャル)の凡そ15%程度が一般的な相場となります。

その他費用

上記の他に、契約形態にもよるのですが、サーバーのレンタル費用や現状調査費、資料作成費用など要件に応じて別途見積もりが必要なものがあります。

あとから追加✖2とならないように、必要な機能、求めるサービス、レベル感などを予めまとめておくことが重要です。適切な見積もりは、プロジェクトをスムーズに進める第一歩となります。

システム開発を成功に導く見積もり依頼!準備段階で押さえるべき4つのポイント

システム開発を成功に導く見積もり依頼!準備段階で押さえるべき4つのポイント

システム開発を外部ベンダーに依頼する際、見積もりは重要な判断材料となります。しかし、闇雲に見積もりを依頼しても、期待通りの結果を得られない可能性があります。

スムーズな開発と満足のいく成果物のためには、見積もり依頼前にしっかりと準備を進めることが大切です。このパートでは、システム開発を成功に導くための見積もり依頼前の準備について、4つのポイントに絞って解説します。

見積もり依頼前の準備

システム開発の目的を明確にすることは、プロジェクト成功の第一歩です。

  • どんなシステムを作りたいのか?
    • 業務効率化、売上向上、顧客満足度向上など、システム開発の目的を具体的に定めます
  • システムに求める機能は?
    • ユーザー登録、商品検索、決済機能など、システムに搭載したい機能を洗い出します
  • 対象ユーザーは?
    • システムを利用するユーザー(ユーザー数、B2C向けのアプリであれば、年齢、性別、職業など)を明確にしましょう
  • 利用シーンは?
    • ーザーがシステムをどのように利用するのか、具体的なシーンを想定しましょう

これらの情報を整理することで、開発会社に見積もりを依頼する際に、より具体的な要望を伝えることができます。

必要な機能一覧の作成

システムに求める機能を洗い出した上で、必須機能とあれば嬉しい機能に分けます

開発費用が予算を超えてしまう場合なども想定して優先順位をつけておくことも検討します。優先順位をつけることで、予算やスケジュールに合わせて、開発範囲を調整しやすくなります。また、開発会社との認識齟齬を防ぐためにも、必要な機能一覧を文書化しておくことをおすすめします。

スケジュールと予算の検討

開発完了の希望時期と予算の上限を検討しましょう。

スケジュールは、開発期間だけでなく、テスト期間やリリース後の運用期間も考慮する必要があります。また、予算は、開発費用だけでなく、運用・保守費用やライセンス費用なども含めて検討が必要です。もし、わからない場合は、ベンダーに提案してもらうのがベストな選択肢となるでしょう。

過去の開発実績の確認(もしあれば)

過去のシステム開発で発生した問題点や改善したい点を洗い出し、開発ベンダーに伝えることも大事なポイントです。過去の経験を共有することで、開発会社はより具体的な提案を行うことができます。また、過去の失敗を繰り返さないためにも、発注側・受注側共に教訓を活かすことでスムーズにプロジェクトを進めることができるようになります。

PFPとは?

PFPとは?

PFPとは?

RFP(Request for Proposal)とは、システム開発会社に具体的な提案を依頼するための書類です。RFPを作成することで、開発会社から比較検討可能な提案を得ることができます。

RFPは、開発会社にとって、システム開発におけるニーズや要望を理解するための重要な情報源となります。RFPの内容が具体的かつ詳細であればあるほど、開発会社はより精度の高い見積もりや提案を行うことができます。

RFPの目的と内容

RFPの主な目的は、

  • 開発会社に自社の要件を正確に伝えること
  • 複数の開発会社から比較可能な提案を得ること
  • 開発会社を選定するための判断材料を得ること

です。

RFPには、以下の内容を記載することが一般的です。

  • 会社概要
  • システム開発の背景・目的
  • システムの概要・要件
  • スケジュール
  • 予算
  • その他(質問事項など)
RFP作成のポイント

RFPを作成する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • 具体的に記載する: 抽象的な表現は避け、具体的な数値や事例などを交えて記載することが重要です。
  • 網羅的に記載する: 開発会社が提案しやすいように、必要な情報を網羅的に記載しましょう。
  • 質問事項を盛り込む: 開発会社に確認したいことや疑問点があれば、質問事項として盛り込みましょう

見積書の内容確認

見積書の内容確認

開発会社から見積書を受け取ったら、以下の項目を必ず確認しましょう。

内訳の確認
  • 人件費、開発費用、運用・保守費用など、費用の内訳が明確に記載されているか確認しましょう。
  • 不明な点があれば、ベンダーに説明してもらうことで、不明点を解消します。
支払い条件の確認
  • 支払い方法(一括払い、分割払いなど)や支払いサイトを確認しましょう。
納期の確認
  • 開発完了時期や各工程の納期が明確に記載されているか確認します。
  • 万が一のスケジュール遅延についてのスケジュールのバッファなど余裕をもったスケジュールになっているのかなどについても確認します。
修正・変更対応の確認
  • 仕様変更や追加開発が発生した場合の対応について確認しましょう。
  • 修正・変更にかかる費用や期間についても明確にしておきましょう。

見積もり後の注意点

最安値だけで判断しない

複数の見積もりを比較する際、どうしても価格に目が行きがちです。しかし、システム開発は決して安い買い物ではありません。安易に最安値のベンダーを選んでしまうと、後々大きな問題に発展する可能性があります。

余談ですが、、、

オフショアで有名な某国に発注し、日本サイドと現地エンジニアの間の通訳してくれるブリッジエンジニアをプロジェクト体制の中に配置したにもかかわらず、実際の打合せの場では上手く言葉を聴き取れなかったり、オフショア開発会社のブリッジエンジニアがシステム開発の要求を理解できず、曖昧な仕様のなんとなく稼働するだけのシステム(アプリ)を開発されてしまった。。。安い開発費用に引かれて発注したが大失敗だった。。という話をよく耳にします。

技術力や実績の確認

価格だけでなく、ベンダーの技術力や専門分野をしっかりと確認しましょう。

  • 技術力: ベンダーが保有する技術や資格、開発言語などを確認し、自社のシステム開発に適した技術力を持っているか、しっかりと確認することが重要です。
  • 専門分野: ベンダーが得意とする分野や業界を確認し、自社のビジネスに精通しているか、専門的な知識やノウハウを持っているかを見極めましょう。
  • 実績: 過去の開発事例や実績年数を確認し、自社が求めるシステム開発の経験があるか、実績は十分かを見極めましょう。

例えば、ECサイトの開発を依頼する場合、ECサイト構築の実績が豊富で、最新のセキュリティ対策やマーケティングノウハウを持つベンダーを選ぶことが重要です。

開発体制の確認

開発体制も重要な確認ポイントです。

  • 担当者: プロジェクトマネージャーやエンジニアなど、誰が担当するのかも重要なポイントです。特にPM(プロジェクトマネージャー)はプロジェクトの命運を握る要となる存在ですので、PMがしっかりと技術力と知識のあることが重要です。マネジメント(管理)だけではなく、プログラミングやアーキテクチャ、技術の選択等々について開発者をリードすることができる程の知識と経験があることが望ましいのは言うまでもありません。
  • チーム体制: 開発チームの人数や役割分担、コミュニケーション方法などについて確認します。
  • サポート体制: 開発中や開発後のサポート体制を確認し、万が一トラブルが発生した場合でも迅速に対応してもらえるか確認しましょう。

まとめ|準備が成功の鍵を握る

見積もり依頼前の準備は、システム開発を成功に導くための重要なステップです。開発目的や要件を明確にし、必要な機能一覧を作成し、スケジュールと予算を検討することで、開発会社とのスムーズなコミュニケーションと、より精度の高い見積もりを実現できます。

システム開発の見積もりは、価格だけでなく、技術力や実績、専門分野、開発体制、サポート体制など、総合的に判断することが重要です。

また、過去の開発実績を振り返り、教訓を活かすことも、プロジェクト成功の鍵となります。これらの準備をしっかりと行い、最適な開発会社を選び、満足のいくシステム開発を実現しましょう。

システム開発にお困りではありませんか?

関連情報

ITピックアップ・ITトレンド
システム改修と事前準備、システム改修を実施する際の注意点
ITピックアップ・ITトレンド
システム開発とは
システム開発とは?成功への第一歩
APPSWINGBYシステム開発

この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY

株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

ご支援業種

情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

監修

APPSWINGBY CTO川嶋秀一

株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。