AIとSOAR連携で実現する高度防御 ~自動化が進むセキュリティオペレーション

近年、サイバーセキュリティの脅威は多様化・高度化し続けており、大企業や官公庁だけでなく、中堅規模の企業でも深刻な被害が報告されるようになってきました。特にAI(人工知能)やSOAR(Security Orchestration, Automation, and Response)といった自動化技術が注目を集めている背景には、攻撃の巧妙化と、それに対抗するためのリアルタイム対応ニーズの高まりがあります。本記事では、AIとSOARを組み合わせることで実現可能な「高度防御」と、その導入メリットについて解説します。また当社が提供するソフトウエアエンジニアリングサービスとの関連性や、どのように支援できるかについてもご紹介します。

急速に変化するセキュリティ脅威の現状

ランサムウェアやゼロデイ攻撃など、近年の主要サイバーの脅威

サイバー攻撃は年々高度化しており、中でもランサムウェア攻撃は大きな脅威の一つです。外部から侵入したマルウェアによりシステムやデータが暗号化され、復旧のために高額な身代金を要求される事例が相次いでいます。また、OSやソフトウェアの未知の脆弱性(ゼロデイ脆弱性)を突いた攻撃も増加傾向にあり、従来型のセキュリティ対策だけでは防ぎきれないケースが多発しています。

大企業を狙ったサプライチェーン攻撃の事例

一方、セキュリティが手厚い大企業を狙うために、取引先や関連企業など脆弱性のある企業を踏み台にして攻撃を拡大する「サプライチェーン攻撃」も深刻な問題です。IT業界に限らず、製造・物流・金融など幅広い業界でサプライチェーン攻撃の被害報告が相次いでおり、企業間連携におけるセキュリティリスクが無視できないレベルになっています。

これらの脅威に対処するには、攻撃の早期発見と封じ込めが重要です。しかし、既存の手動主体の監視や分析体制では、膨大なアラートへの対応が追いつかず、対応漏れや誤検知が起きやすいのが現状です。

AIとSOARの組み合わせが注目される理由

既存のセキュリティ対策における課題

来のセキュリティ対策は、主に署名(シグネチャ)ベースのウイルス対策ソフトやファイアウォール、IDS/IPSなどが中心でした。しかし、これらは既知の攻撃パターンを検知する仕組みであり、未知の攻撃には対応が後手になりがちです。また、SOC(Security Operations Center)要員によるアラート対応には、専門人材の確保と24時間体制での運用が必要ですが、近年のセキュリティ人材不足やコスト面から、その実現が困難になっています。

リアルタイム対応の重要性と人的リソースの限界

前述のランサムウェアやゼロデイ攻撃のように、高速化・複雑化した攻撃への最適解は「リアルタイム対応」です。攻撃を検知した瞬間に自動で防御策を取らないと、感染被害が拡大してしまう恐れがあります。ところが、人手による監視や手動対応では、アラートが大量発生した場合の優先度判断や分析スピードが追いつかず、重大なインシデントに発展してしまうリスクが高まります。

こうした課題を解決する切り札として、AIによる高度な異常検知や振る舞い解析と、SOARによるインシデント対応の自動化が注目されているのです。

SOARとは

SOARとは、Security Orchestration, Automation and Responseの略で、日本語では「セキュリティオーケストレーション、自動化、対応」と訳されます。

APPSWINGBYが公開している”今更聞けないIT用語集”にSOARの解説がありますので、SOARの詳細につきましてはこちらをご覧ください。

本記事で得られる知見と当社の取り組み

記事のゴール

本記事では、AI×SOARの連携によって実現される「高度防御」の全体像を俯瞰し、そのメリットや導入にあたってのポイントを整理します。具体的には、下記のような内容をカバーします。

  • AIを活用したセキュリティオペレーションの新しいアプローチ
  • SOARによる多段階対応フローの自動化と効率化
  • AIとSOARを連携させる際のアーキテクチャや運用上の注意点

これらを踏まえて、読者の皆様が自社環境でAI×SOARを導入する際のヒントや、ビジネスリスクを抑えつつ運用をスムーズにする方法をイメージできるようになることを目指します。

当社が提供するソフトウエアエンジニアリングサービスとの関連性

当社では、セキュリティの自動化を進める上で欠かせない以下のようなソフトウエアエンジニアリングサービスを提供しています。

  • システム開発リファクタリング
    既存システムやセキュリティツールを統合しやすい形へリファクタリングし、SOAR基盤との連携を円滑にします。クラウド環境やオンプレミス環境を問わず、柔軟な改修が可能です。
  • AIモデル開発・MLOps支援
    AIエンジニアが、膨大なログデータや脆弱性情報をもとにした機械学習モデルの設計・運用を支援します。MLOpsの導入によりモデルの品質を持続的に高め、攻撃手口の変化に迅速に適応できます。
  • コンサルティング&アーキテクチャ設計
    AI×SOAR導入に向けた要件定義からシステムアーキテクチャの設計、運用体制構築までをトータルでサポート。社内にセキュリティやAIの専門人材が不足していてもご安心いただけます。

今後の記事では、AIとSOARの具体的な連携手法や、どのようにシステム開発・運用を組み合わせていくのかをさらに詳細にご紹介します。貴社のセキュリティ強化のみならず、DXや新規事業拡大にも役立つ情報をお届けできれば幸いです。ぜひ、記事の続きや当社サービス内容をご確認いただき、少しでも興味をお持ちになりましたらお気軽にお問い合わせください。

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本記事の続編では、AI×SOAR連携の具体的な仕組みや成功事例、導入時の課題と解決策などをより深堀りして解説いたします。引き続きご覧いただき、最新のセキュリティオペレーション事情と当社が提供するソリューションの全貌をご理解いただければ幸いです。

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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY

株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

ご支援業種

情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

監修

APPSWINGBY CTO川嶋秀一

株式会社APPSWINGBY
CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。