ITILとは

ITILは、ITサービスマネジメント(ITSM)における成功事例を体系的にまとめた、世界で最も広く普及している一連のガイドラインのことです。

これは、情報システムを単なる技術の集合体としてではなく、ビジネス価値を創出するための「サービス」として捉え、その構築、提供、改善に関するベストプラクティスを網羅しています。ITILを導入することで、組織はIT投資の最適化、サービス品質の向上、およびビジネスニーズの変化に対する柔軟な対応を実現することが可能になります。

ITILの変遷と中心的な概念

ITILは1980年代に英国政府によって初版が策定されて以来、技術の進化やビジネス環境の変化に合わせて改訂を繰り返してきました。現在は2019年にリリースされた「ITIL 4」が最新のフレームワークとして位置付けられています。

1. 価値の共創

ITIL 4の最大の特徴は、サービスプロバイダーが一方的にサービスを提供するのではなく、利用者(顧客)と共に価値を創り出す「価値の共創」に重点を置いている点です。

2. 4つの側面

サービスを適切に管理するために、ITILでは以下の4つの視点(ディメンション)から全体を俯瞰することを推奨しています。

  • 組織と人材
  • 情報と技術
  • パートナーとサプライヤー
  • バリューストリームとプロセス

ITIL 4の主要コンポーネント

ITIL 4では、従来の「プロセス」という概念を包含しつつ、より広範な「プラクティス」や「サービスバリューシステム」という枠組みを採用しています。

1. サービスバリューシステム (SVS)

組織のあらゆる構成要素と活動が連動し、価値を生み出すための仕組みを指します。これには、指針となる原則、ガバナンス、サービスバリューチェーン、プラクティス、継続的改善が含まれます。

2. サービスバリューチェーン (SVC)

具体的にサービスを提供するための活動モデルであり、以下の6つの活動で構成されます。

  • 計画
  • 改善
  • エンゲージ(関与)
  • デザインおよびトランジション(設計および移行)
  • 得る/構築する
  • 提供およびサポート

主要な管理プラクティス

ITILには全部で34のプラクティスが定義されていますが、実務において特に関連性の高いものは以下の通りです。

  • インシデント管理:中断されたITサービスを可能な限り迅速に正常な状態へ復旧させる。
  • 問題管理:インシデントの根本原因を特定し、再発を防止する。
  • 変更制御(変更管理):ITサービスへの変更を円滑かつ安全に実施し、リスクを最小化する。
  • サービスデスク:ユーザーとIT組織を繋ぐ単一の接触窓口として機能する。
  • サービスレベル管理:合意されたサービスレベル目標(SLO)を定義し、その達成度を監視する。

サービスレベルの達成率 A は、合意されたサービス提供時間

T_s

と、実際の停止時間

T_d

を用いて、一般的に以下の式で評価されます。

A = \frac{T_s - T_d}{T_s} \times 100

ITIL導入のメリットと課題

1. メリット

  • 共通言語の確立:IT部門内だけでなく、ビジネス部門との間で共通の用語を用いて対話が可能になります。
  • 効率性の向上:標準化された手順により、重複作業やミスが削減されます。
  • 顧客満足度の向上:ビジネスニーズに合致した安定的なサービス提供が可能になります。

2. 課題

ITILはあくまで「フレームワーク」であり、そのまま適用すれば成功する「ルール」ではありません。組織の規模や文化に合わせてカスタマイズする(アダプト・アンド・アドプト)姿勢が重要です。また、過度な文書化や形式主義に陥ると、かえって業務のスピードを損なう恐れがあるため、アジャイルやDevOpsといったモダンな手法との親和性を考慮した運用が求められます。

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