PSDとは

PSDは、画像編集ソフトウェアAdobe Photoshopによって作成された、レイヤー、チャンネル、パス、テキスト、効果などの編集情報を含むネイティブなファイル形式であり、画像を構成するすべての要素を非破壊的に保持し、後から自由に再編集できる形式のことです。

PSDの概要と非破壊編集の重要性

PSD(Photoshop Document、フォトショップドキュメント)は、ビットマップ画像編集の業界標準ソフトウェアであるAdobe Photoshopのためにアドビシステムズ社が開発した、独自の画像ファイルフォーマットです。

JPEGやPNGなどの一般的な画像形式が、編集作業の最終段階でレイヤー情報を統合し、データ量を削減した最終的な画像(ラスタライズされた画像)を保存するのに対し、PSDファイルは編集過程のすべての情報を保持しています。

これにより、デザイナーやクリエイターは、ファイルを再度開いた際に、テキストの内容を変更したり、特定のレイヤーの描画モードを調整したり、適用したフィルタ効果を変更したりといった、非破壊的な再編集をいつでも行うことができます。この特性が、PSDをプロフェッショナルなグラフィックデザインやデジタルアート制作における必須の形式としています。

主な目的は、画像コンテンツを構成するすべての要素を完全に分離・保持し、複雑で多岐にわたる編集作業の柔軟性・再利用性を最大限に高めることです。

PSDファイルの構造と保存される主要情報

PSDファイルは、バイナリ形式で構成されており、複雑な構造を持つことで、Photoshopの多様な機能に対応しています。

1. レイヤー構造(Layers)

PSDの最も重要な要素であり、画像を構成する個々の要素(描画、テキスト、調整レイヤー、シェイプなど)を積み重ねて管理します。各レイヤーは、その表示/非表示の状態、不透明度、描画モード(乗算、スクリーンなど)、およびマスク情報を含んでおり、これらのパラメータは独立して編集可能です。

2. チャンネル(Channels)

標準的なカラー情報(RGBやCMYK)チャンネルに加え、アルファチャンネル(透明度情報)やスポットカラーチャンネルなど、画像を構成する色や透明度に関する詳細な情報が保存されます。

3. ベクター情報(Vector Data)

Photoshop内で作成されたテキストシェイプ(図形)などの要素は、ビットマップ情報ではなく、数学的な曲線で定義されるベクター形式で保存されます。これにより、品質を損なうことなくサイズや形状を拡大縮小・変更することが可能です。

4. 調整情報(Adjustment Layers)

画像の色調や明るさを調整するために使用される調整レイヤー(例:トーンカーブ、レベル補正、色相・彩度)は、元のピクセル情報に直接変更を加えず、その調整情報のみが保存されます。この非破壊的なアプローチは、編集の柔軟性を高める上で非常に重要です。

PSD形式の課題と互換性

1. ファイルサイズの増大

編集情報をすべて保持するため、特に多くのレイヤーや高解像度の画像を含むPSDファイルは、JPEGやPNGといった最終出力形式と比較してファイルサイズが非常に大きくなります。

2. 互換性とPSB形式

PSD形式は、最大 30,000 x 30,000 ピクセルの画像をサポートしています。これを超える超巨大な画像や、2GBを超えるファイルサイズの画像を扱う場合、PhotoshopはPSB(Photoshop Big)形式という拡張形式を使用します。

3. 他ソフトウェアとの互換性

PSDはアドビのネイティブ形式ですが、その普及度の高さから、Corel Painter、Affinity Photo、GIMPなどのサードパーティ製画像編集ソフトウェアの多くが、限定的ではありますがPSDファイルの読み込みと一部のレイヤー情報の編集に対応しています。これにより、クリエイティブワークフローにおける異なるツール間の連携が可能となっています。

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