SQNRとは

SQNRは、信号処理やデータ通信の分野において、元の信号の強さと、量子化プロセスによって生じた雑音(量子化誤差)の強さとの比率を表す指標のことです。

正式名称をSignal-to-Quantization Noise Ratio(信号対量子化雑音比)と呼び、アナログ信号をデジタル信号に変換する際の品質を定量的に評価するために用いられます。この値が高いほど、元の信号に対する雑音の影響が少なく、再現性の高い高品質なデジタルデータであることを示します。

SQNRの概念と重要性

アナログ信号をデジタル化する際には、連続的な値を不連続な段階値に近似する量子化という工程が行われます。このとき、元の値と近似値の間に生じる微小な差が量子化雑音となります。

1. デジタル化の品質尺度

SQNRは、音声や画像のデジタル化において、どの程度の精度で情報が保持されているかをデシベル(dB)単位で表します。オーディオ機器のスペックや、画像・動画圧縮アルゴリズムの性能比較において極めて重要な指標となります。

2. ダイナミックレンジとの関係

SQNRは、システムが扱える最大信号と最小の量子化誤差の比率であるため、システムのダイナミックレンジと密接に関係しています。量子化ビット数が増えるほど、表現可能な階調が細かくなり、SQNRの値は向上します。

SQNRの数学的定義と計算

SQNRは、信号の電力

P_{signal}

と量子化雑音の電力

P_{noise}

の比として定義されます。

基本的な定義式

電力比を対数スケールで表現するため、以下の式が用いられます。

SQNR = 10 \log_{10} \left( \frac{P_{signal}}{P_{noise}} \right)

量子化ビット数による理論限界

理想的なA/D変換器において、正弦波を入力とした場合の理論的な最大SQNRは、量子化ビット数を $n$ とすると、以下の簡便な近似式で計算されます。

SQNR \approx 6.02n + 1.76

この式は、量子化ビット数が1ビット増加するごとに、SQNRが約6dB(電力比で約4倍)改善することを意味しています。例えば、音楽CDで採用されている16ビット量子化の場合、理論上の最大SQNRは約98dBとなります。

SQNRに影響を与える要因

1. 量子化ビット数

前述の通り、ビット数はSQNRを決定する最大の要因です。高解像度オーディオ(ハイレゾ)などで24ビットが採用されるのは、SQNRを飛躍的に高めて微細な音のニュアンスを再現するためです。

2. 入力信号の振幅

SQNRの計算における信号電力は、システムの最大許容入力(フルスケール)を基準とすることが多いため、入力信号が極端に小さい場合、信号に対する雑音の割合が相対的に大きくなり、実効的なSQNRは低下します。

3. 量子化の手法

  • 一様量子化:全範囲を等間隔で量子化します。
  • 非一様量子化:信号の出現頻度や人間の知覚特性に合わせ、小さい信号付近を細かく量子化することで、聴感上のSQNRを改善します。

実務における留意点

システムの設計においてSQNRを最大化することは重要ですが、ビット数を増やすことはデータ量(通信帯域やストレージ容量)の増加を意味します。そのため、必要とされる品質とリソースのバランスを考慮して最適な量子化ビット数を選択することが、エンジニアリングにおける重要な判断基準となります。

また、実際の回路では量子化雑音以外にも熱雑音や回路由来のノイズが存在するため、これらを統合した指標であるSNR(信号対雑音比)やSINAD(信号対雑音および歪み比)と併せて評価が行われることが一般的です。

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