オンプレミス(on-premises)

オンプレミス(on-premises)とは、システムを稼働させる為に必要なサーバーやネットワーク機器などを自社で保有し運用しているシステムのことです。

オンプレミス(On-premises)は、企業や組織が情報システムを構築・運用する際に、必要なサーバー、ストレージ、ネットワーク機器といったハードウェア、およびオペレーティングシステム、アプリケーションソフトウェアなどを、自社が所有・管理する施設(データセンターやオフィス内など)に設置し、自社で運用・管理する形態を指します。

これは、近年主流となっているクラウドコンピューティングサービスとは対照的なシステム導入・運用モデルです。

オンプレミス の基本的な概念

オンプレミス環境では、システムに必要な全ての物理的リソース(サーバー、ネットワーク機器、電源設備、空調など)と、それらを稼働させるためのソフトウェアライセンス、さらに運用・保守に必要な人員を、企業自身が用意し、維持管理します。

その核心的な要素は以下の通りです。

  1. 自社所有と管理: ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器、そして物理的な設置場所に至るまで、全てを企業が所有し、直接管理します。これにより、システムの構成や運用に関する自由度と制御権が最大限に確保されます。
  2. 物理的設置: サーバーラックやデータセンターなどの物理的な空間に機器を設置し、その場所で運用されます。
  3. 初期投資: システム構築の初期段階で、ハードウェアの購入、ソフトウェアライセンスの取得、設置工事、インフラ整備などに多額の費用が発生します。
  4. 運用・保守の責任: システム稼働後の電力供給、冷却、物理セキュリティ、ハードウェアの故障対応、ソフトウェアのアップデート、パッチ適用、データバックアップなど、全ての運用・保守業務を自社が担当します。

オンプレミス の利点

オンプレミス環境は、特定の要件を持つ企業にとって、いくつかの明確な利点を提供します。

  1. 高いセキュリティと制御性: システム全体を自社で物理的・論理的に管理できるため、セキュリティポリシーを柔軟に設定し、厳格なアクセス制御や監視体制を構築することが可能です。機密性の高いデータを扱う企業や、特定のセキュリティ要件を満たす必要がある場合に有利です。
  2. カスタマイズ性と柔軟性: ハードウェアやソフトウェアの構成を、自社の特定のビジネスニーズに合わせて完全にカスタマイズできます。標準的なクラウドサービスでは対応が難しい、非常に特殊な要件やレガシーシステムとの連携に対応しやすいです。
  3. データ主権とコンプライアンス: データが自社管理下の物理的な場所に存在するため、データ主権(データがどこに保管されているか)に関する厳格な法的・規制要件を満たす必要がある場合に適しています。
  4. ランニングコストの予測可能性: 初期投資は大きいものの、一度システムを構築してしまえば、長期的な運用における変動費は比較的予測しやすくなります(ただし、保守費用や電気代などの変動は存在します)。
  5. 低レイテンシ(低遅延): 社内ネットワーク内にシステムが構築されるため、利用拠点からのアクセスレイテンシを最小限に抑えることが可能です。これは、リアルタイム性が求められるアプリケーションや、データ処理速度が重要な業務において有利です。

オンプレミス の課題

一方で、オンプレミスには運用上のいくつかの課題が存在します。

  1. 高額な初期投資: ハードウェア、ソフトウェア、設置工事、空調、電源設備など、システム導入にかかる初期費用が非常に高額になる傾向があります。
  2. 拡張性の限界: ビジネスの成長や需要の変化に応じてシステムをスケールアウト(拡張)する際、新たなハードウェアの購入、設置、設定に時間とコストがかかり、柔軟性に欠けます。急な需要の増減に対応が難しい場合があります。
  3. 運用・保守の負担: システムの安定稼働を維持するための監視、メンテナンス、障害対応、セキュリティ対策、バージョンアップなど、多岐にわたる運用・保守業務に専門的な知識と人員が必要となり、運用コストが高くなりがちです。
  4. 災害対策の複雑さ: 単一拠点での運用では、地震、火災、停電などの災害によってシステム全体がダウンするリスクがあります。本格的な災害対策(DR: Disaster Recovery)を構築するには、遠隔地に複製システムを持つなど、さらに多大なコストと労力が必要です。
  5. 技術的陳腐化のリスク: 自社で購入したハードウェアやソフトウェアは、技術の進歩とともに陳腐化していくため、定期的なリプレイス(更新)が必要となり、その都度投資が発生します。

クラウドコンピューティングとの対比

オンプレミスは、クラウドコンピューティング(IaaS, PaaS, SaaS)が提供するサービスモデルと対照的な位置付けにあります。

特徴オンプレミスクラウドコンピューティング
所有・管理自社が全てを所有・管理サービスプロバイダーが所有・管理(利用者は従量課金)
初期費用高額低額またはゼロ
運用費用自社で全て負担(人件費、電気代など)従量課金、利用に応じて変動
拡張性困難、時間とコストがかかる容易、オンデマンドでスケール可能
セキュリティ自社で完全に制御、責任も全て負うプロバイダーと共同責任(責任共有モデル)
データ主権自社管理下の物理的場所プロバイダーのデータセンター(リージョン選択)
導入期間長い短い
クラウドコンピューティングとの対比

オンプレミスは、情報システムを構成するハードウェアやソフトウェアを、自社が管理する施設内に設置・運用する形態です。高いセキュリティと制御性、カスタマイズ性、データ主権の確保といった利点を持つ一方で、高額な初期投資、拡張性の限界、運用・保守の負担、災害対策の複雑さといった課題も抱えています。クラウドコンピューティングが普及する現代においても、特定のセキュリティ要件やレガシーシステムとの連携、あるいは法規制への対応といった理由から、依然として多くの企業で採用されています。システムの要件とビジネスニーズを慎重に評価し、最適なインフラストラクチャ戦略を選択することが重要です。

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