オーバーヘッド
オーバーヘッドは、あるタスクを実行する際に、そのタスク自体の処理に直接関係しない、付随的に発生する追加的な処理やコストのことです。
オーバーヘッドの概要と目的
オーバーヘッド(Overhead)は、コンピュータシステムやネットワークにおいて、目的の作業を達成するために間接的に必要となる負荷を指します。例えるなら、宅配便で商品を運ぶ際に、商品そのものの重さ(本来のタスク)に加えて、梱包材や段ボールの重さ、伝票を書く作業時間(オーバーヘッド)が発生するようなものです。
この概念は、システムの設計や性能評価において非常に重要です。なぜなら、オーバーヘッドが大きいと、たとえ個々のタスクが高速に処理されても、全体としてのパフォーマンスが低下してしまうからです。主な目的は、オーバーヘッドを最小限に抑え、システムの効率を最大化することにあります。
オーバーヘッドの具体的な例
オーバーヘッドは、様々なコンピューティングの層で発生します。
1. プロセッサ(CPU)におけるオーバーヘッド
- コンテキストスイッチ:
- OSが複数のタスクを切り替えて処理する際に発生するオーバーヘッドです。現在のタスクの状態(レジスタ値など)を保存し、次のタスクの状態を読み込むのに必要な時間と計算リソースを指します。この頻度が高いと、CPUはタスクの切り替えばかりに時間を費やし、本来の処理が進まなくなります。
- 関数呼び出し:
- 関数を呼び出すたびに、引数をスタックにプッシュしたり、リターンアドレスを保存したりする処理が発生します。これにより、小さな関数を何度も呼び出すと、そのたびにオーバーヘッドが生じ、プログラム全体の実行速度に影響を与えることがあります。
2. メモリとストレージにおけるオーバーヘッド
- 仮想メモリ:
- 物理メモリが不足すると、OSはハードディスクを仮想メモリとして使用し、メモリ上のデータをディスクに書き出します(ページングまたはスワッピング)。ディスクへのアクセスはメモリに比べて非常に遅いため、これが大きなオーバーヘッドとなります。
- ファイルシステムのメタデータ:
- ハードディスクにファイルを保存する際、ファイルの内容(データ)だけでなく、ファイル名、作成日時、サイズ、アクセス権限などの情報(メタデータ)も保存されます。このメタデータを管理するための領域や処理もオーバーヘッドの一部です。
3. ネットワークにおけるオーバーヘッド
- プロトコルヘッダー:
- ネットワークを介してデータを送信する際、データ本体(ペイロード)に加えて、宛先IPアドレス、送信元ポート番号、シーケンス番号などの情報を持つヘッダーが付加されます。このヘッダーデータもオーバーヘッドであり、ネットワークの帯域幅を消費します。
- 暗号化・復号化:
- 通信のセキュリティを確保するためにデータを暗号化・復号化するプロセスは、CPUリソースと時間を消費します。これはセキュリティ上の必要な処理ですが、パフォーマンスの観点ではオーバーヘッドと見なされます。
オーバーヘッドの評価
システムの性能を評価する際には、オーバーヘッドを考慮に入れることが重要です。
オーバーヘッドを最小限に抑えることは、より高速で効率的なシステムを構築するための鍵となります。システム設計者は、このバランスを考慮しながら、性能と機能のトレードオフを慎重に判断する必要があります。
関連用語

ご相談・お問い合わせはこちら
APPSWINGBYのミッションは、アプリでビジネスを加速し、
お客様とともにビジネスの成功と未来を形作ること。
私達は、ITテクノロジーを活用し、様々なサービスを提供することで、
より良い社会創りに貢献していきます。
T関する疑問等、小さなことでも遠慮なくお問合せください。3営業日以内にご返答致します。

ご相談・お問合せはこちら
APPSWINGBYのミッションは、アプリでビジネスを加速し、お客様とともにビジネスの成功と未来を形作ること。
私達は、ITテクノロジーを活用し、様々なサービスを提供することで、より良い社会創りに貢献していきます。
IT関する疑問等、小さなことでも遠慮なくお問合せください。3営業日以内にご返答させて頂きます。
APPSWINGBYの
ソリューション
APPSWINGBYのセキュリティサービスについて、詳しくは以下のメニューからお進みください。
システム開発
既存事業のDXによる新規開発、既存業務システムの引継ぎ・機能追加、表計算ソフトによる管理からの卒業等々、様々なWebシステムの開発を行っています。
iOS/Androidアプリ開発
既存事業のDXによるアプリの新規開発から既存アプリの改修・機能追加まで様々なアプリ開発における様々な課題・問題を解決しています。
リファクタリング
他のベンダーが開発したウェブサービスやアプリの不具合改修やソースコードの最適化、また、クラウド移行によってランニングコストが大幅にあがってしまったシステムのリアーキテクチャなどの行っています。
お問い合わせ・ご相談
「システム構築時から大分時間が経過しているのでセキュリティ対策の状況が不安がある」「脆弱性診断を受けたい」「サイバーセキュリティ対策に不安がある。」など、サイバーセキュリティ対策・情報漏えい対策についてのご質問・ご相談などございましたら、何でもお気軽にお問い合わせください。
