シングルスレッドとは
シングルスレッドとは、プログラムがタスクを実行する際に、メインの処理の流れ（スレッド）が一つしかない状態を指します。
コンピュータのCPUは、この一つのスレッドを順次実行していきます。
例えば、一般的なプログラミング言語で記述されたシンプルなプログラムは、通常シングルスレッドで動作します。この方式では、ある処理が完了するまで次の処理を開始することができません。
シングルスレッドのメリットとデメリット
メリット
- 実装の容易さ: 複数の処理が同時に実行されることによる同期の問題（データの不整合など）を考慮する必要がないため、プログラムの設計やデバッグが比較的簡単です。
- リソースの管理が容易: 一つのスレッドで動作するため、メモリやCPUなどのリソース管理がシンプルになります。
デメリット
- 処理能力の限界: 一度に一つの処理しか実行できないため、複数のタスクを同時に処理する必要がある場合、性能上のボトルネックとなる可能性があります。特に、I/O処理（ファイルの読み書きやネットワーク通信など）のように時間がかかる処理が発生すると、その間、プログラム全体が停止してしまうことがあります。
- ユーザー体験の低下: グラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を持つアプリケーションの場合、時間のかかる処理を実行中に画面がフリーズしたように見え、ユーザーに不便を感じさせることがあります。
マルチスレッドとの比較
シングルスレッドに対し、マルチスレッドは一つのプログラム内で複数のスレッドを同時に実行する方式です。これにより、CPUのコアを有効活用し、複数のタスクを並行して処理できるようになります。
例えば、ウェブブラウザは、ウェブページの表示と同時にファイルのダウンロードを行うなど、マルチスレッドの恩恵を受けています。
現代の多くのアプリケーションやOSは、より効率的な処理と応答性の高いユーザー体験を提供するために、マルチスレッドやマルチプロセスといった並行処理の技術を採用しています。しかし、シングルスレッドは、そのシンプルさから、特定の用途や小規模なプログラムにおいては依然として有効な選択肢です。
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