ソフトウェア定義データセンターとは

ソフトウェア定義データセンター(SDDC)は、データセンター内のサーバー、ストレージ、ネットワークといったすべてのインフラリソースが、ソフトウェアによって抽象化・仮想化され、集中管理されるアーキテクチャのことです。

ソフトウェア定義データセンター(SDDC)の概要

ソフトウェア定義データセンター(Software-Defined Data Center: SDDC)は、従来のハードウェア中心のデータセンターとは異なり、ITリソースのプロビジョニング、構成、運用、管理をソフトウェアによって自動化・一元化することを目指す概念です。

これにより、データセンター全体の運用効率と柔軟性が飛躍的に向上し、ビジネスの変化に迅速に対応できるIT基盤を構築することが可能になります。SDDCは、クラウドコンピューティングの進化形とも言え、物理的な制約から解放された、より俊敏でスケーラブルなインフラを実現します。

SDDCを構成する主要な要素

SDDCは、主に以下の「ソフトウェア定義」の要素によって構成されます。

1. ソフトウェア定義コンピューティング(Software-Defined Compute: SDC)

これは主にサーバー仮想化によって実現されます。物理サーバーのCPU、メモリなどのリソースを抽象化し、複数の仮想マシン(VM)として論理的に分割して利用します。これにより、ハードウェアに依存しない柔軟なリソースの割り当てや移動が可能になります。VMware vSphereやMicrosoft Hyper-Vなどが代表的な技術です。

2. ソフトウェア定義ストレージ(Software-Defined Storage: SDS)

複数のストレージデバイスを統合し、ソフトウェアによってストレージリソースを管理・提供する技術です。これにより、物理ストレージの種類や場所に依存せず、必要な容量や性能を柔軟に割り当てることができます。

データ保護、レプリケーション、階層化などもソフトウェアで制御されます。

3. ソフトウェア定義ネットワーク(Software-Defined Networking: SDN)

ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど)の制御層とデータ転送層を分離し、制御をソフトウェアで一元管理する技術です。これにより、ネットワーク構成の変更が容易になり、動的なネットワークポリシーの適用や、トラフィックの最適化が可能になります。

また、ネットワーク機能仮想化(NFV: Network Functions Virtualization)と組み合わせることで、ロードバランサーやファイアウォールといったネットワーク機能もソフトウェアとして仮想化し、汎用サーバー上で動作させることができます。

4. 統合管理と自動化

SDDCでは、これらのソフトウェア定義されたコンピューティング、ストレージ、ネットワークリソースを、単一の管理プラットフォームから統合的に制御し、自動化します。オーケストレーションツールや自動化スクリプトを用いて、リソースのプロビジョニング、デプロイ、監視、スケーリングなどを自動的に実行することで、運用負荷を大幅に削減し、ヒューマンエラーのリスクを低減します。

SDDCの主な利点

SDDCは、従来のデータセンターに比べて多くのメリットをもたらします。

  • 運用効率の向上: 手動での設定や管理が減り、多くのタスクが自動化されるため、IT部門の運用負担が軽減されます。
  • 迅速なサービス提供: 新しいITリソースやアプリケーションの展開が数分から数時間で可能になり、ビジネス要求への対応速度が向上します。
  • コスト削減: 物理ハードウェアの導入を最適化し、リソース利用率を高めることで、設備投資(CAPEX)と運用コスト(OPEX)の両方を削減できます。
  • 柔軟性と拡張性: ビジネスの成長や変化に応じて、リソースを柔軟に増減(スケールアウト/スケールアップ)させることが容易です。
  • 高可用性と災害対策: 仮想化されたリソースは物理ハードウェアから独立しているため、障害発生時の復旧が迅速に行え、災害対策(DR)の強化にもつながります。
  • セキュリティの強化: ソフトウェアによる一元的なポリシー管理と自動化された適用により、セキュリティレベルを向上させ、コンプライアンス要件への対応も容易になります。

SDDCの課題

SDDCの導入には多くのメリットがありますが、いくつかの課題も存在します。

  • 複雑な初期設計と移行: 既存のレガシーシステムからの移行や、SDDCアーキテクチャへの再設計には、高度な専門知識と時間が必要です。
  • ベンダー依存: 各コンポーネントの選定によっては、特定のベンダーに依存するリスクが生じる可能性があります。
  • スキルセットの変化: IT部門の担当者には、従来のハードウェア管理スキルに加え、ソフトウェア定義技術、クラウド技術、自動化ツールに関する新たなスキルセットが求められます。

SDDCは、企業のデジタルトランスフォーメーションを推進し、クラウドネイティブなアプローチへの移行を加速させる上で、不可欠なインフラ基盤として今後ますます重要性が高まるでしょう。

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