インシデントとは

インシデント(Incident)とは?情報システムやサービスにおいて、計画外の事象が発生し、通常業務の遂行やサービスの提供に中断、品質低下、またはそのリスクを引き起こす可能性のある出来事のことです。

インシデント(Incident)は、情報技術(IT)サービスマネジメントの文脈において、予期せず発生し、ITサービスの中断、機能低下、品質劣化、またはそれらを引き起こす可能性のあるあらゆる事象を指します。これには、ハードウェア障害、ソフトウェアの不具合、ネットワークの停止、セキュリティ侵害、人的ミスなど、多岐にわたる原因によるものが含まれます。インシデント管理は、これらの事象を迅速に検知、対応し、影響を最小限に抑え、早期にサービスを復旧させるためのプロセスです。

インシデント の基本的な概念

インシデントは、計画された変更や通常の運用とは異なる、突発的な出来事として認識されます。その影響範囲は、単一のユーザーに限定されるものから、組織全体の業務に及ぶものまで様々です。インシデントの発生は、ビジネス継続性や生産性に直接的な悪影響を与える可能性があるため、迅速かつ適切な対応が求められます。

インシデント管理の目的は、以下の通りです。

  • ITサービスを可能な限り迅速に復旧させ、業務の中断時間を最小限に抑えること。
  • ユーザーへの影響を軽減し、ビジネスの継続性を確保すること。
  • インシデントの根本原因を特定し、再発防止策を講じること。
  • インシデントの発生状況、対応状況、解決状況を記録し、分析に役立てること。

インシデント の種類

インシデントは、その性質や影響度によって様々な種類に分類されます。

  • 重大インシデント(Major Incident): 業務に重大な影響を与え、広範囲のユーザーに影響が及ぶインシデント。通常、特別な対応プロセスと高い優先度が適用されます。
  • 軽微なインシデント(Minor Incident): 特定のユーザーまたは少数のユーザーにのみ影響を与えるインシデントで、業務への影響は比較的小さいもの。
  • サービス中断(Service Outage): ITサービスが完全に利用不能になった状態。
  • パフォーマンス低下(Performance Degradation): ITサービスの応答速度が遅くなるなど、性能が低下した状態。
  • 機能不全(Functional Failure): ITサービスの一部の機能が正常に動作しない状態。
  • 情報セキュリティインシデント(Information Security Incident): 情報の機密性、完全性、可用性を脅かす可能性のある事象(不正アクセス、マルウェア感染、情報漏洩など)。

インシデント管理 のプロセス

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)などのフレームワークでは、インシデント管理は明確なプロセスとして定義されています。一般的なインシデント管理のプロセスは以下の通りです。

  1. 識別と記録(Identification and Logging): ユーザーからの報告、監視システムのアラートなどにより、インシデントを検知し、内容、発生日時、影響範囲などを記録します。
  2. 分類(Categorization): インシデントの種類や影響度に基づいて分類し、適切な優先度と対応チームを決定します。
  3. 優先度付け(Prioritization): インシデントの業務への影響度と緊急度に基づいて優先度を決定し、対応の順序を決定します。
  4. 診断(Diagnosis): インシデントの原因を特定するための調査を行います。
  5. 解決(Resolution): インシデントの根本的な原因を取り除き、サービスを正常な状態に戻します。恒久的な解決策が困難な場合は、一時的な回避策(Workaround)を適用することもあります。
  6. 復旧(Recovery): 影響を受けたシステムやサービスを元の状態に戻し、ユーザーが通常業務を再開できるようにします。
  7. クローズ(Closure): インシデントの解決と復旧を確認し、記録を完了させます。必要に応じて、ユーザーへの確認や承諾を得ます。

インシデント管理 における重要な要素

効果的なインシデント管理を実現するためには、以下の要素が重要となります。

  • 明確な手順と役割: インシデント対応の手順を明確に定義し、各担当者の役割と責任を明確にします。
  • 適切なツールと技術: ヘルプデスクシステム、監視ツール、リモートアクセスツールなど、インシデント管理を支援する適切なツールと技術を導入します。
  • コミュニケーション: ユーザー、技術チーム、関係者間での迅速かつ効果的なコミュニケーションを確保します。
  • 知識ベース: 過去のインシデントとその解決策を記録した知識ベースを構築し、早期解決を支援します。
  • 継続的な改善: インシデントの発生状況や対応状況を分析し、プロセスや手順の改善を図ります。

インシデントは、情報システムやサービスの安定運用を脅かす予期せぬ事象であり、その影響を最小限に抑えるための適切な管理が不可欠です。迅速な対応と根本原因の究明、そして再発防止策の実施を通じて、ITサービスの信頼性と可用性を高めることが、インシデント管理の重要な目的となります。

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