カテゴリカルデータとは

カテゴリカルデータ(Categorical Data)は、統計学やデータ分析において、数値で表現される量的データとは異なり、質的な特性や属性を表すデータです。これらのデータは、明確に区別できるいくつかの離散的なカテゴリやグループに分類され、順序の有無や数値演算の可否によってさらに細分化されます。

カテゴリカルデータは、アンケートの回答、製品の種類、地理的な地域、性別など、様々な形で現れ、データの特性を理解し、適切な分析手法を選択する上で重要な役割を果たします。

カテゴリカルデータ の基本概念

カテゴリカルデータの主な特徴は、その値が数値としての大小関係や間隔を持つのではなく、所属するカテゴリを示すラベルや名前であるという点です。例えば、「赤、青、黄」という色のデータや、「犬、猫、鳥」という動物の種類のデータは、カテゴリカルデータに該当します。これらの値に対して、平均値を計算したり、大小を比較したりすることは一般的に意味を持ちません。

カテゴリカルデータ の種類

カテゴリカルデータは、カテゴリ間に順序関係があるかどうかによって、主に以下の2種類に分類されます。

  1. 名義尺度(Nominal Scale): カテゴリ間に順序関係がなく、単に区別するためだけのラベルを持つデータです。例としては、性別(男性、女性、その他)、血液型(A型、B型、O型、AB型)、国籍、製品の種類(タイプA、タイプB、タイプC)などが挙げられます。これらのカテゴリには順序がなく、「男性 < 女性」や「A型 + B型 = AB型」といった演算は意味を持ちません。
  2. 順序尺度(Ordinal Scale): カテゴリ間に順序関係が存在するものの、カテゴリ間の間隔が一定ではないデータです。例としては、アンケートの回答(非常に不満、不満、普通、満足、非常に満足)、学力評価(A、B、C、D、E)、商品の評価(低、中、高)などが挙げられます。これらのカテゴリには順序がありますが、「満足」と「非常に満足」の間隔が、「不満」と「普通」の間隔と同じであるとは限りません。したがって、これらの値に対して数値演算を行うことは慎重であるべきです。

カテゴリカルデータ の分析

カテゴリカルデータを分析する際には、量的データとは異なる手法が用いられます。主な分析方法としては以下のようなものがあります。

  • 頻度分析: 各カテゴリに属するデータの出現回数や割合を計算し、データの分布を把握します。
  • クロス集計: 複数のカテゴリカル変数間の関連性を分析するために、分割表(クロス集計表)を作成し、各カテゴリの組み合わせにおける頻度を調べます。
  • 適合度の検定: 観測されたカテゴリカルデータの分布が、理論的な分布や期待される分布と一致するかどうかを統計的に検定します(例:カイ二乗適合度検定)。
  • 独立性の検定: 複数のカテゴリカル変数間に統計的な関連性があるかどうかを検定します(例:カイ二乗独立性検定)。
  • 可視化: 棒グラフ、円グラフなどを用いて、カテゴリカルデータの分布や構成を視覚的に表現します。

カテゴリカルデータ の機械学習における扱い

機械学習モデルは通常、数値データを入力として扱うため、カテゴリカルデータをそのまま入力することはできません。したがって、カテゴリカルデータを数値に変換する前処理が必要となります。代表的な変換手法としては以下のようなものがあります。

  • One-Hotエンコーディング: 各カテゴリを独立したバイナリ(0または1)の列で表現します。例えば、「赤、青、黄」という色のデータは、[1, 0, 0]、[0, 1, 0]、[0, 0, 1] のように表現されます。
  • ラベルエンコーディング: 各カテゴリに一意の整数を割り当てます。順序尺度データに対して用いられることがありますが、名義尺度データに適用すると、モデルがカテゴリ間に不要な順序関係を学習してしまう可能性があるため注意が必要です。
  • ターゲットエンコーディング: 目的変数の情報を用いてカテゴリカル変数を数値に変換します。例えば、あるカテゴリにおける目的変数の平均値や確率をそのカテゴリの数値表現として用います。

カテゴリカルデータは、質的な情報を表し、名義尺度と順序尺度に分類されます。その分析には、頻度分析やクロス集計、適合度・独立性の検定などが用いられ、機械学習においてはOne-Hotエンコーディングやラベルエンコーディングなどの数値化処理が必要です。データの種類を正しく理解し、適切な分析手法と前処理を適用することが、意味のある洞察を得るために不可欠です。

関連用語

データ分析 | 今更聞けないIT用語集
機械学習 | 今更聞けないIT用語集
AIソリューション

お問い合わせ

システム開発・アプリ開発に関するご相談がございましたら、APPSWINGBYまでお気軽にご連絡ください。

APPSWINGBYの

ソリューション

APPSWINGBYのセキュリティサービスについて、詳しくは以下のメニューからお進みください。

システム開発

既存事業のDXによる新規開発、既存業務システムの引継ぎ・機能追加、表計算ソフトによる管理からの卒業等々、様々なWebシステムの開発を行っています。

iOS/Androidアプリ開発

既存事業のDXによるアプリの新規開発から既存アプリの改修・機能追加まで様々なアプリ開発における様々な課題・問題を解決しています。


リファクタリング

他のベンダーが開発したウェブサービスやアプリの不具合改修やソースコードの最適化、また、クラウド移行によってランニングコストが大幅にあがってしまったシステムのリアーキテクチャなどの行っています。