クライアントサイドとは

クライアントサイドは、WebサイトやWebアプリケーションにおいて、ユーザーが直接操作するWebブラウザやアプリケーション上で処理が実行される側のことです。

クライアントサイドの概要

クライアントサイド(Client-side)とは、Webサービスやアプリケーションを構成する二つの主要な要素のうち、ユーザーの手元にあるデバイス(PC、スマートフォン、タブレットなど)上で動作する部分を指します。これに対し、データの保存や複雑な処理、他のシステムとの連携などを行うのは、サーバー上で動作する「サーバーサイド」です。

クライアントサイドの処理は、主にWebブラウザに搭載されたJavaScriptエンジンによって実行され、HTMLやCSSと連携して、ユーザーインターフェースの表示、ユーザー入力の受け付け、リアルタイムなデータの更新などを担当します。

クライアントサイドの主な技術と役割

1. HTML (HyperText Markup Language)

Webページの骨格を定義するマークアップ言語です。テキスト、画像、リンクなどのコンテンツの構造を記述します。

2. CSS (Cascading Style Sheets)

Webページの見た目やデザインを定義するスタイルシート言語です。色、フォント、レイアウトなどを指定し、HTMLで定義されたコンテンツを視覚的に整えます。

3. JavaScript

クライアントサイドで動作するプログラミング言語です。ユーザーの操作に応じた動的なコンテンツの表示、入力フォームの検証、サーバーとの非同期通信(Ajaxなど)など、Webページにインタラクティブな機能を追加します。

クライアントサイドの主な役割

  • ユーザーインターフェース(UI)の描画: Webページやアプリケーションの画面をユーザーに表示します。
  • ユーザー入力の受付と処理: ボタンクリック、フォーム入力、マウス操作などのユーザーからのアクションを受け付け、それに応じた処理を行います。
  • 動的なコンテンツ表示: サーバーからのデータを受信し、ページの一部を更新したり、アニメーションを表示したりするなど、動的なコンテンツを生成します。
  • 入力値の事前検証: フォーム送信前に、入力されたデータが正しい形式であるか(例: メールアドレスの形式、必須項目の入力など)をクライアントサイドで検証し、サーバーへの不要な負荷を軽減したり、ユーザー体験を向上させたりします。
  • オフライン機能: サービスワーカーなどの技術により、ネットワーク接続がない状態でも一部の機能を提供したり、コンテンツをキャッシュしたりします。

クライアントサイドの利点と課題

利点

  • 応答性の向上: サーバーとの通信を介さずにクライアント側で処理が完結するため、ユーザー操作に対する応答が高速になり、快適なユーザー体験を提供できます。
  • サーバー負荷の軽減: 単純な入力検証やUIの動的な変更など、サーバー側で行う必要のない処理をクライアント側で実行することで、サーバーの負荷を軽減できます。
  • 開発の柔軟性: 最新のWeb技術やフレームワークを活用することで、リッチで複雑なユーザーインターフェースを効率的に開発できます。

課題

  • セキュリティリスク: クライアントサイドのコードはユーザーのブラウザ上で実行されるため、改ざんや解析が比較的容易です。重要な情報や認証処理は、安全なサーバーサイドで処理する必要があります。
  • ブラウザ間の互換性: 各Webブラウザの実装や解釈の違いにより、同じコードでも表示や動作が異なる場合があります。そのため、複数のブラウザでのテスト(クロスブラウザテスト)が不可欠です。
  • パフォーマンス: クライアント側のデバイス性能やネットワーク環境によって、表示速度や処理速度が影響を受ける可能性があります。複雑なJavaScriptや大量の画像は、低スペックのデバイスで動作が重くなることがあります。
  • SEOの課題: かつては、JavaScriptで動的に生成されるコンテンツは検索エンジンのクローラーに認識されにくいという課題がありましたが、現代の検索エンジンは改善されています。

クライアントサイドとサーバーサイドの連携

現代のWebアプリケーションは、クライアントサイドとサーバーサイドが密接に連携することで成り立っています。クライアントサイドがユーザーインターフェースを提供し、ユーザーの操作に応じてサーバーサイドと通信し、必要なデータを取得したり、処理結果を送信したりします。例えば、オンラインショッピングでは、商品の閲覧やカートへの追加はクライアントサイドで処理され、注文確定や決済などの重要な処理はサーバーサイドで行われる、といった具合です。

これにより、それぞれの得意分野を活かし、高速でインタラクティブなユーザー体験と、安全で信頼性の高いシステムの両立が図られています。

関連用語

エンタープライズアプリケーションアーキテクチャパターン | 今更聞けないIT用語集
ロードバランシング | 今更聞けないIT用語集
ソフトウェアエンジニアリング

お問い合わせ

システム開発・アプリ開発に関するご相談がございましたら、APPSWINGBYまでお気軽にご連絡ください。

APPSWINGBYの

ソリューション

APPSWINGBYのセキュリティサービスについて、詳しくは以下のメニューからお進みください。

システム開発

既存事業のDXによる新規開発、既存業務システムの引継ぎ・機能追加、表計算ソフトによる管理からの卒業等々、様々なWebシステムの開発を行っています。

iOS/Androidアプリ開発

既存事業のDXによるアプリの新規開発から既存アプリの改修・機能追加まで様々なアプリ開発における様々な課題・問題を解決しています。


リファクタリング

他のベンダーが開発したウェブサービスやアプリの不具合改修やソースコードの最適化、また、クラウド移行によってランニングコストが大幅にあがってしまったシステムのリアーキテクチャなどの行っています。