シャドーITとは

シャドーITは、組織のIT部門や情報システム部門の承認を得ずに、従業員が個人的な判断で導入・利用するIT機器やサービスのことです。

シャドーITの概要と背景

シャドーITは、従業員が業務の効率化や利便性向上を目的として、クラウドサービス(ファイル共有、メッセージング、プロジェクト管理ツールなど)、個人所有のデバイス(スマートフォン、タブレット、USBメモリなど)、あるいは未承認のソフトウェアなどを利用することがこれに該当します。

企業の正規な情報システム管理体制の枠外で利用されるため、「影(シャドー)」のITと呼ばれ、スマートフォンの普及やクラウドサービスの台頭により、近年、シャドーITの利用は増加傾向にあります。

シャドーITが発生する主な理由

シャドーITが発生する背景には、いくつかの要因が考えられます。

  • 利便性の追求: 従業員が、正規のITシステムでは提供されない機能や、より使いやすいと感じるサービスを求めて個人的に導入するケースです。例えば、特定の機能に特化したSaaSツールなどが挙げられます。
  • 迅速な導入へのニーズ: IT部門への申請や承認プロセスに時間がかかるため、業務をスピーディーに進めたい従業員が、独断でサービスを使い始めることがあります。
  • BYOD(Bring Your Own Device)の普及: 個人所有のデバイスを業務に利用する傾向が広がる中で、そのデバイスにインストールされるアプリケーションや保存されるデータが、組織の管理下から外れやすくなります。
  • ITリテラシーの向上: 従業員個人のITリテラシーが向上し、自分でサービスを選定・導入できるようになったことも一因です。

シャドーITがもたらすリスク

シャドーITは、業務効率化の側面がある一方で、組織にとって深刻なセキュリティリスクや管理上の課題を引き起こす可能性があります。

  1. 情報漏洩のリスク: 承認されていないクラウドサービスに機密情報や個人情報がアップロードされた場合、そのサービスのセキュリティが不十分であれば、情報漏洩につながる危険性があります。また、個人のデバイスの紛失や盗難によっても情報が流出する可能性があります。
  2. セキュリティ対策の不備: 正規のITシステムには、ウイルス対策、不正アクセス対策、データ暗号化などのセキュリティ対策が施されていますが、シャドーITではこれらの対策が講じられていないことが多く、マルウェア感染や不正アクセスなどの温床となる可能性があります。
  3. コンプライアンス違反: 企業のセキュリティポリシーや、個人情報保護法、GDPRなどの規制に準拠していないサービスを利用することで、法的な問題や社会的信用の失墜につながる可能性があります。
  4. データ管理の複雑化: 複数のサービスにデータが分散して保存されるため、データの整合性の維持や、必要な情報の特定、バックアップ、廃棄などの管理が困難になります。
  5. システム障害時の対応困難: シャドーITで利用されているシステムやサービスに障害が発生した場合、IT部門がその存在や内容を把握していないため、適切な復旧対応が遅れる可能性があります。
  6. コストの重複: 複数の部門や個人が類似のサービスを個別に契約することで、組織全体として無駄なコストが発生する可能性があります。

シャドーITへの対応策

シャドーITのリスクを軽減し、適切に管理するためには、単に利用を禁止するだけでなく、従業員のニーズを理解し、建設的なアプローチを取ることが重要です。

  1. 実態の把握と可視化: まず、組織内でどのようなシャドーITが利用されているのかを把握することが第一歩です。ツールを用いたモニタリングや、従業員へのアンケート調査などが有効です。
  2. 明確なポリシーの策定と周知: シャドーITに関する明確なルールやガイドラインを策定し、そのリスクと組織としての立場を従業員に周知徹底します。どのようなサービスが許可され、どのようなサービスが禁止されるのかを明確にします。
  3. 代替策の提供と利便性の向上: 従業員がシャドーITに手を出す理由を理解し、正規のITシステムで同等以上の利便性や機能を提供できるかを検討します。例えば、安全性が確認されたクラウドサービスを正式に導入する、申請プロセスを簡素化するなどの対応が考えられます。
  4. セキュリティ教育の強化: シャドーITの危険性について、具体的な事例を交えながら従業員に継続的に教育し、セキュリティ意識の向上を図ります。
  5. CASB(Cloud Access Security Broker)の導入: クラウドサービスの利用状況を可視化し、セキュリティポリシーの適用、データ保護、脅威防御などを行うクラウドセキュリティソリューションの導入も有効な手段です。
  6. コミュニケーションの促進: IT部門と従業員との間で、IT利用に関するニーズや課題についてオープンに議論できる環境を構築することで、シャドーITが発生する前に問題を解決できる可能性が高まります。

シャドーITは、現代の働き方において避けられない側面も持ち合わせていますが、適切な管理と対策を講じることで、そのリスクを最小限に抑え、従業員の生産性向上とセキュリティの両立を目指すことが可能です。

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