シンプロビジョニングとは

シンプロビジョニングは、ストレージ管理において物理的な容量をあらかじめすべて割り当てるのではなく、データの書き込み要求に応じて必要な分だけを仮想的に割り当てる技術のことです。

リソースの効率的な活用を目的としており、仮想化環境やクラウドストレージ、エンタープライズ向けのストレージエリアネットワーク(SAN)などで広く採用されています。

シンプロビジョニングの基本概念

従来のストレージ管理手法(ファットプロビジョニング)では、将来的なデータの増加を見越して、最初から物理的なディスク領域を固定的に確保していました。しかし、この方法では実際に使用されていない「予約済みだが空いている領域」が発生し、投資効率が悪くなるという課題がありました。

シンプロビジョニングは、この課題を解決するために「物理容量」と「仮想容量(ホスト側から見える容量)」を切り離して管理します。

仕組みと動作プロセス

シンプロビジョニングを導入したシステムでは、サーバー(ホスト)に対して、実際の物理容量よりも大きな容量があるかのように見せかけることができます。

1. 仮想ボリュームの作成

管理者は、物理的に存在するディスク容量に関わらず、必要とされる最大容量を仮想的なボリュームとして定義します。

2. オンデマンド割り当て

ホストからデータの書き込みが発生した際、ストレージコントローラは物理的な共通プール(ストレージプール)から、そのデータ量に見合う最小単位のブロックを切り出して割り当てます。

3. ストレージプールの共有

複数のサーバーが単一の物理ストレージプールを共有するため、個々のサーバーで発生する「空き領域」の無駄を排除し、全体の利用率を極限まで高めることができます。

導入のメリットとリスク管理

メリット

  • 投資コスト(CAPEX)の削減:初期段階で大量の物理ディスクを購入する必要がなく、必要に応じて後から物理ディスクを追加する「ジャストインタイム」な拡張が可能です。
  • 運用の柔軟性:ボリュームの拡張作業が容易になり、急なデータ増加にも柔軟に対応できます。
  • 消費電力の抑制:物理的なドライブ数を抑えられるため、データセンターの電力消費や冷却コストを低減できます。

リスクと注意点

シンプロビジョニングにおいて最も注意すべきは「物理容量の枯渇」です。仮想容量の合計が物理容量を超えている状態(オーバーサブスクリプション)で、すべてのホストが同時に書き込みを行うと、物理的な空き領域が不足し、システム全体が停止する恐れがあります。

物理容量を

C_{physical}

、仮想的に割り当てた全ボリュームの合計を

V_{total}

とすると、オーバーサブスクリプションの状態は以下の不等式で表されます。

V_{total} > C_{physical}

このため、管理者は物理プールの消費状況を常に監視し、閾値を超えた場合にアラートを発信するなどの適切なキャパシティプランニングを行う必要があります。

効率性の評価

シンプロビジョニングによるストレージの節約効果は、実際の使用量

U_{actual}

と仮想割り当て量

V_{total}

の比率で評価されます。ストレージ利用効率を $E$ とすると、以下のように定義できます。

E = \frac{U_{actual}}{V_{total}}

ファットプロビジョニングではこの値が低くなりがちですが、シンプロビジョニングを適切に運用することで、リソースの無駄を最小限に抑え、1に近い効率を維持することが可能となります。

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