データ圧縮とは

データ圧縮は、デジタルデータのサイズを削減し、ストレージ容量の節約やデータ転送速度の向上を図る技術のことです。

データ圧縮の概要と目的

データ圧縮(Data Compression)は、情報量を損なうことなく、またはごくわずかな損失で、デジタルデータの表現に必要なビット数を減らす技術です。私たちは日常生活で意識することなく、様々な形でデータ圧縮の恩恵を受けています。例えば、Webページ上の画像、ダウンロードするソフトウェア、ストリーミング配信される動画や音楽などは、ほとんどの場合、圧縮されています。

データ圧縮の主な目的は以下の通りです。

  • ストレージ容量の節約: データファイルやデータベースのサイズを小さくすることで、ディスクスペースの使用量を削減します。
  • データ転送速度の向上: ネットワーク経由で送信されるデータの量を減らすことで、転送時間を短縮し、帯域幅の消費を抑えます。
  • コスト削減: ストレージやネットワーク帯域幅のコストを削減できます。
  • パフォーマンス向上: データアクセスや処理の効率が向上する場合があります。

データ圧縮の主な種類

データ圧縮には、大きく分けて「可逆圧縮」と「非可逆圧縮」の2種類があります。

1. 可逆圧縮(Lossless Compression)

可逆圧縮は、圧縮されたデータを完全に元の状態に復元できる圧縮方式です。圧縮前のデータと復元後のデータは完全に一致します。

特徴
  • 情報損失なし: データが完全に保持されるため、テキストファイル、プログラムコード、データベース、医療画像など、データの完全性が不可欠な場合に用いられます。
  • 圧縮率: 非可逆圧縮に比べて圧縮率は低い傾向にあります。
代表的なアルゴリズムとファイル形式
  • ZIP: 複数のファイルをまとめて圧縮する一般的な形式。
  • PNG (Portable Network Graphics): 主にWebで利用される画像形式で、色数の少ないイラストやロゴの圧縮に適しています。
  • GIF (Graphics Interchange Format): アニメーションにも対応した画像形式。
  • FLAC (Free Lossless Audio Codec): 音声データを音質劣化なく圧縮する形式。
仕組み

冗長な情報を排除することで圧縮を実現します。例えば、同じデータが連続するパターン(例: “AAAAA”)を、「Aが5回」という短い記述に置き換えたり、頻出するデータのパターンをより短いコードで表現したりします(ハフマン符号化、LZ77/LZ78など)。

例えば、ある文字列が「AAAAABBBCCCDD」だったとします。これを可逆圧縮の一つであるランレングス符号化で表現すると、「A5B3C3D2」のように、文字とその連続回数で表現できます。この表現から元の文字列を完全に復元できます。

2. 非可逆圧縮(Lossy Compression)

非可逆圧縮は、圧縮の過程で一部のデータを破棄するため、完全に元の状態に復元することができない圧縮方式です。人間の知覚(視覚や聴覚)が認識しにくい情報を削除することで、高い圧縮率を実現します。

特徴
  • 情報損失あり: 圧縮前のデータとは厳密には一致しません。しかし、多くの場合はその品質劣化がほとんど知覚できないレベルに抑えられます。
  • 高圧縮率: 可逆圧縮よりも大幅にファイルサイズを小さくできます。
  • 用途: 主に画像、音声、動画データなど、わずかな品質劣化が許容されるメディアデータに用いられます。
代表的なアルゴリズムとファイル形式
  • JPEG (Joint Photographic Experts Group): 写真などの複雑な色合いを持つ画像の圧縮に広く用いられます。
  • MP3 (MPEG-1 Audio Layer 3): 音声データの圧縮に用いられ、CD品質の音源を大幅にファイルサイズを小さくできます。
  • MPEG (Moving Picture Experts Group): 動画データの圧縮に用いられる規格で、MP4などが代表的です。
  • AAC (Advanced Audio Coding): MP3よりも高音質で効率の良い音声圧縮形式。
仕組み

人間の知覚特性を利用し、重要度の低い情報や冗長な情報を積極的に削除します。例えば、画像では隣り合う画素の色のわずかな違いを間引いたり、音声では聞き取りにくい高周波成分をカットしたりします。

データ圧縮の応用例

データ圧縮は、現代のデジタル環境のあらゆる場面で利用されています。

  • インターネット: Webページの読み込み速度向上、動画ストリーミングの安定化。
  • クラウドストレージ: 保存コストの削減、アップロード・ダウンロード時間の短縮。
  • モバイルデバイス: アプリケーションサイズやメディアファイルの容量削減。
  • データベース: データ格納効率の向上、I/O性能の改善。
  • 通信: 無線通信や衛星通信など、帯域幅が限られる環境での効率的なデータ転送。

データ圧縮は、限られたリソースの中で膨大なデジタル情報を効率的に扱い、私たちの生活を豊かにするために不可欠な技術です。

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