ネットワーク機能仮想化とは

ネットワーク機能仮想化は、ルーターやファイアウォールなどのネットワーク機器が持つ機能を、ソフトウェアとして仮想化し、汎用サーバー上で実行する技術のことです。

ネットワーク機能仮想化の概要と目的

ネットワーク機能仮想化(Network Functions Virtualization: NFV)は、これまでのネットワークが、特定の機能ごとに専用のハードウェア(アプライアンス)を必要としていたのに対し、その機能をソフトウェア化(仮想化)するアプローチです。これにより、ハードウェアとソフトウェアの依存関係を切り離し、ネットワークの構築や運用をより柔軟かつ効率的に行うことができます。

NFVの主な目的は、ネットワークサービスの提供にかかる時間、コスト、そして複雑性を削減することにあります。専用機器の代わりに汎用サーバー上でソフトウェアを動かすため、ハードウェアの調達コストを抑えられるだけでなく、機能の追加や変更もソフトウェアの設定変更だけで済むようになります。

ネットワーク機能仮想化の構成要素

NFVは、主に以下の3つの構成要素から成り立っています。

  1. VNF(Virtual Network Function)
    • 仮想化されたネットワーク機能そのものを指します。
    • : 仮想ルーター、仮想ファイアウォール、仮想ロードバランサーなど。
    • VNFは、汎用サーバー上で動作する仮想マシン(VM)やコンテナとして実装されます。
  2. NFVI(NFV Infrastructure)
    • VNFが動作するための基盤となるインフラストラクチャです。
    • 汎用サーバー、ストレージ、ネットワークなどの物理的なハードウェアと、それらを仮想化するためのハイパーバイザーなどで構成されます。
  3. NFV-MANO(Management and Orchestration)
    • VNFのデプロイ、管理、監視、オーケストレーション(自動化された調整)を行うためのフレームワークです。
    • 新しいVNFの起動、リソースの割り当て、障害発生時の復旧などを一元的に管理します。

これらの要素が連携することで、ネットワーク機能を柔軟に組み合わせて、必要なサービスを迅速に展開できるようになります。

ネットワーク機能仮想化の利点

NFVを導入することで、以下のような多くのメリットが得られます。

  • コスト削減
    • 専用ハードウェアの調達費用を削減できるだけでなく、汎用ハードウェアを利用することで、ハードウェアのライフサイクルに縛られず、より効率的な投資が可能になります。
  • 柔軟性と迅速性
    • 新しいサービスを立ち上げる際、物理的な機器を設置する代わりに、ソフトウェアをデプロイするだけで済むため、サービスの提供時間を大幅に短縮できます。
    • サービスの需要に応じて、VNFのリソース(CPUやメモリ)を動的に増減させることが容易になります。
  • 運用効率の向上
    • NFV-MANOによって、ネットワークの管理や運用が自動化されるため、人為的なミスの削減や、運用の複雑性を低減できます。
  • イノベーションの加速
    • ネットワーク機能をソフトウェアとして開発・テストできるようになるため、新しい技術やサービスを市場に投入するサイクルが短縮されます。

ネットワーク機能仮想化の応用分野

NFVは、通信事業者を中心に、様々な分野で活用されています。

  • 通信事業者
    • モバイルコアネットワークやブロードバンドネットワークの機能を仮想化し、サービスの柔軟性とコスト効率を向上させています。
  • 企業ネットワーク
    • 支店やリモートオフィス向けに、仮想ルーターや仮想ファイアウォールをクラウド上で提供することで、集中管理されたネットワークインフラを構築します。
  • クラウドサービス
    • クラウドプロバイダーが提供する様々なネットワークサービス(VPN、ロードバランシングなど)の多くは、NFV技術を基盤としています。

NFVは、SDN(Software Defined Network)と並び、現代のネットワークをソフトウェアによって柔軟に定義・制御する「ソフトウェア化」の流れを象徴する重要な技術です。

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