パケットロスとは

パケットロスは、ネットワーク通信において送信されたパケットの一部が目的地に到達せずに消失してしまう現象のことです。

パケット交換方式を採用している現代の通信インフラでは避けられない事象の一つですが、発生頻度が高まるとウェブサイトの表示遅延、動画の停止、音声の途切れといった通信品質の著しい低下を招きます。

パケットロスが発生する主な原因

パケットが消失する背景には、物理的な要因から論理的な制御によるものまで、多岐にわたる原因が存在します。

1. ネットワークの輻輳

通信経路上のルーターやスイッチにおいて、処理能力を超える大量のトラフィックが集中した際、一時的にデータを蓄えるバッファメモリが溢れます。この状態をバッファオーバーフローと呼び、溢れたパケットは破棄されます。これがパケットロスの最も一般的な原因です。

2. 伝送路の品質不良

無線LAN(Wi-Fi)における電波干渉や遮蔽物、あるいは物理的なLANケーブルの損傷やコネクタの接触不良により、信号にノイズが混入します。データの整合性が失われたパケットは、受信側で破棄されます。

3. ネットワーク機器の不具合

ルーターのフリーズ、設定ミス、あるいは古いファームウェアによる処理バグなどもパケットロスの要因となります。

パケットロスの測定と評価指標

パケットロスの程度は、パケットロス率(損失率)という指標で評価されます。

送信した全パケット数を

P_{sent}

、目的地に正しく到達したパケット数を

P_{received}

とすると、パケットロス率 $R$ は以下の式で算出されます。

R = \frac{P_{sent} - P_{received}}{P_{sent}} \times 100

一般的に、ウェブ閲覧やメール送受信では数パーセントのロスであればプロトコルによって補完されますが、IP電話やオンラインゲームなどのリアルタイム性が求められる通信では、0.1%から1%程度の微細なロスでも利用体験に大きな支障をきたします。

消失したパケットの補完と制御

ネットワークにはパケットロスが発生することを前提とした、いくつかの救済措置が備わっています。

TCPによる再送制御

TCP(Transmission Control Protocol)を使用する通信では、受信側がパケットの欠落を検知すると、送信側に対して再送を要求します。これによりデータの完全性は保たれますが、再送待ちの時間が発生するため、実効スループットは低下します。

UDPと前方誤り訂正

リアルタイム性を重視するUDP(User Datagram Protocol)では、基本的に再送は行われません。その代わりに、FEC(Forward Error Correction)と呼ばれる技術を用いて、あらかじめ冗長なデータを付加して送信することで、少量のパケットロスを受信側で自己修復する手法が取られることもあります。

パケットロスへの対策

パケットロスを改善するためには、ボトルネックの特定が不可欠です。

  • 帯域の拡張: 輻輳が原因である場合、回線の増強やQoS(Quality of Service)による通信優先順位の設定が有効です。
  • 物理環境の見直し: 有線接続への切り替え、ノイズ対策済みのケーブル(カテゴリーの高いもの)の使用、Wi-Fiルーターの配置変更などを行います。
  • MTU値の最適化: 1パケットの最大サイズ(MTU)が経路上の制限を超えている場合、断片化によるロスが発生しやすいため、適切な値に調整することが推奨されます。

パケットロスはネットワークの「健康状態」を示すバロメーターであり、定期的なモニタリングを通じて安定した通信環境を維持することが、円滑なIT運用の鍵となります。

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