ファットプロビジョニングとは

ファットプロビジョニングは、ストレージ管理において仮想ボリュームを作成する際、そのボリュームに割り当てた容量を物理ディスク上に即座、かつ完全に確保する手法のことです。

シックプロビジョニングとも呼ばれ、データの書き込みの有無にかかわらず、定義された全容量が物理リソースとして専有されるため、パフォーマンスの予測可能性と一貫性に優れているという特徴があります。

ファットプロビジョニングの仕組みと特徴

ファットプロビジョニングでは、例えば1TBの仮想ボリュームを作成した場合、ストレージプールから1TBの物理領域が直ちに切り出され、他の用途には使用できなくなります。

1. 領域の先行確保

ボリューム作成時に物理的なセクタがすべて割り当てられるため、ホストOS側からは常に安定した物理リソースが背後に存在することが保証されます。

2. パフォーマンスの安定性

データの書き込みが発生した際、その都度物理領域を検索して割り当てるプロセス(メタデータの更新など)が不要です。このため、書き込みの遅延(レイテンシ)が最小限に抑えられ、高い入出力性能が求められるデータベースなどの用途に適しています。

比較項目ファットプロビジョニングシンプロビジョニング
物理領域の確保ボリューム作成時に全量を確保実際の書き込み時に都度確保
利用効率低い(空き領域も専有される)高い(必要な分だけ消費)
書き込み負荷低い(オーバーヘッドがない)やや高い(割り当て処理が発生)
容量管理容易(枯渇リスクが低い)複雑(監視が必要)
ファットプロビジョニングとシンプロビジョニングの比較

種類による挙動の違い

ファットプロビジョニングには、主に以下の2つの形式が存在します。

1. Lazy Zeroed(レイジー・ゼロド)

ボリューム作成時に領域だけを確保し、以前のデータが残っている可能性のある領域をそのままにします。データの書き込みが発生した直前に、そのブロックをゼロ消去(初期化)します。

2. Eager Zeroed(イーガー・ゼロド)

ボリューム作成時にすべての領域をゼロで初期化します。作成には時間がかかりますが、運用開始後の書き込み時に初期化処理が発生しないため、最も高いパフォーマンスを発揮します。また、古いデータの残留によるセキュリティリスクも排除できます。

効率性とコストの計算

ファットプロビジョニングにおけるストレージ利用効率

E_{fat}

は、物理容量に対する実データ量の比率として考えられます。 全物理確保容量を

C_{total}

、実際に保存されているデータ量を

D_{actual}

とすると、効率は以下の式で表されます。

E_{fat} = \frac{D_{actual}}{C_{total}}

この手法では、

D_{actual}C_{total}

に比べて極端に小さい場合、利用効率が著しく低下し、物理ディスクコスト(ストレージ単価)を押し上げる要因となります。

運用上の留意点

ファットプロビジョニングを導入する際は、以下の点に配慮が必要です。

  • 投資計画:将来のデータ増加を見越して最初から物理ディスクを大量に購入する必要があるため、初期投資額(CAPEX)が大きくなる傾向にあります。
  • 断片化の抑制:物理領域が連続して確保されやすいため、ファイルシステムレベルでの断片化によるパフォーマンス劣化を抑制しやすいというメリットがあります。
  • 確実なリソース確保:他の仮想マシンのデータ急増によって自システムが容量不足に陥る「リソース争奪」が発生しないため、基幹系システムなどのミッションクリティカルな環境において推奨されます。

ファットプロビジョニングは、ストレージの利用効率よりも、安定稼働と絶対的なパフォーマンスを最優先とするインフラ設計において、現在も重要な選択肢となっています。

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