フェンシング(Fencing)とは
フェンシング(Fencing)は、分散システムやクラスター環境において、共有リソースへのアクセス競合を防ぐため、障害が発生したノードを隔離・排除するプロセスです。
フェンシングの概要と目的
フェンシング(Fencing)は、特に高可用性(High Availability: HA)クラスターシステムで重要な役割を果たす概念です。
障害が発生したノード(コンピュータ)が、あたかも正常に動作しているかのように見せかけて、共有ストレージなどのリソースを操作し続けると、データ破損やシステムの不安定化を招く可能性があります。このような状態をスプリットブレイン(Split-Brain)といいます。
フェンシングは、このスプリットブレイン現象を防ぐために、問題のあるノードが共有リソースに一切アクセスできないようにする仕組みです。
主な目的は、データの整合性を確保し、クラスター全体の可用性を維持することです。フェンシングにより、障害ノードは共有リソースから強制的に切り離され、システムが正常な状態に復旧するのを妨げないようにします。
フェンシングの主要な手法
フェンシングには、その目的を達成するために様々な手法があります。
1. ディスクフェンシング
- 概要:
- 共有ディスクへのアクセスを物理的に遮断する手法です。
- 動作:
- 障害ノードが共有ストレージに接続できないように、SCSI予約やファイバーチャネルスイッチのポートを無効化するなどの操作を行います。これにより、障害ノードが共有ディスクに書き込みを行うことを防ぎ、データ破損を回避します。
2. 電源フェンシング
- 概要:
- 障害ノードの電源を強制的に遮断する手法です。
- 動作:
- IPMI(Intelligent Platform Management Interface)や専用の電源管理機器(PDU)を通じて、障害ノードを強制的に再起動またはシャットダウンします。これにより、ノード上のプロセスがすべて停止し、共有リソースへのアクセスが物理的に不可能になります。
3. I/Oフェンシング
- 概要:
- 障害ノードのI/Oを停止させる手法です。
- 動作:
- SAN(Storage Area Network)環境などでは、障害ノードからのデータ読み書きの要求をブロックすることで、共有ストレージへのアクセスを無効化します。これは、より粒度の細かい制御を可能にします。
スプリットブレイン問題とフェンシングの役割
スプリットブレインは、クラスター内の通信が途絶え、ノードが互いの状態を正しく認識できなくなることで発生します。
このとき、両方のノードが「自分だけが正常なノードである」と誤解し、同じ共有リソースを同時に操作しようとすることがあります。
フェンシングは、この誤解を解消し、一方のノードがもう一方のノードを確実に隔離することで、データの整合性を守ります。フェンシングが成功すると、隔離されたノードは共有リソースにアクセスできなくなり、残りのノードが正常なサービスを継続できます。このため、高可用性クラスターの設計と運用において、フェンシング機構の適切な実装とテストは極めて重要です。
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