プル(Pull)とは

プル(Pull)は、バージョン管理システムにおいて、リモートリポジトリの最新の変更をローカルリポジトリに取得する操作のことです。

プル(Pull)の概要と目的

プル(Pull)は、Gitなどの分散型バージョン管理システムで、チーム開発を行う上で不可欠なコマンドです。ローカルにあるコードベースを、共有されているリモートリポジトリの最新の状態に同期させることが主な目的です。これにより、他の開発者が行った変更を自分の作業環境に取り込み、コードの整合性を保つことができます。

プルは、厳密にはフェッチ(Fetch)とマージ(Merge)の2つの操作を組み合わせたものです。

  1. フェッチ(Fetch):
    • リモートリポジトリから最新の変更履歴をダウンロードしますが、ローカルの作業ディレクトリにはまだ適用しません。これにより、他の開発者の変更内容を確認することができます。
  2. マージ(Merge):
    • ダウンロードした変更履歴を、ローカルのブランチに統合します。これにより、ローカルのコードが最新の状態に更新されます。

この2つのステップを自動的に実行するのがgit pullコマンドです。

プル(Pull)の動作プロセス

チーム開発環境では、以下のような状況でプルが頻繁に利用されます。

  1. ローカルでの作業開始前:
    • 開発者は、自身の作業を始める前に、リモートリポジトリから最新の変更をプルして、他のメンバーの作業内容を反映させます。
  2. 他の開発者との同期:
    • 複数の開発者が同じファイルで作業している場合、互いの変更をプルして統合することで、**コンフリクト(競合)**を早期に発見し、解決できます。
  3. チームのコードベース更新:
    • メインのブランチ(例: mainmaster)に新しい機能がマージされた際、各メンバーがその変更をプルすることで、自身のローカル環境を最新の状態に保ちます。

プル(Pull)とフェッチ(Fetch)の違い

プルとフェッチは似ていますが、その動作に重要な違いがあります。

特徴プル(Pull)フェッチ(Fetch)
動作ダウンロードとマージを同時に実行ダウンロードのみを実行
ローカルへの影響ローカルのコードが自動的に更新されるローカルのコードは変更されない
使用場面他の変更をすぐに反映させたいとき他の変更内容をまず確認したいとき
プル(Pull)とフェッチ(Fetch)の違い

特に、マージによるコンフリクトを避けたい場合や、他の開発者の変更内容を慎重にレビューしたい場合は、まずgit fetchを実行し、その後に手動でマージを行うのが良いプラクティスとされています。プルは、この作業を簡略化するための便利なコマンドですが、その内部的な動作を理解することが、円滑なチーム開発に不可欠です。

関連用語

リポジトリ | 今更聞けないIT用語集
フェッチ | 今更聞けないIT用語集
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