プロトコルフィルタリングとは

プロトコルフィルタリングは、コンピュータネットワークを流れるデータ通信を、使用されているプロトコルの種類に基づいて識別し、通信の許可または拒否を行う技術のことです。

プロトコルフィルタリングの概要と目的

プロトコルフィルタリング(Protocol Filtering)は、ネットワークセキュリティの重要な要素の一つです。これは、特定のプロトコル(例:HTTP、FTP、SMTPなど)に属するパケットのみを通過させ、それ以外のパケットをブロックすることで、ネットワークへの不正アクセスや脅威の侵入を防ぎます。

主な目的は、不必要なプロトコルを制限することで、ネットワークのセキュリティを強化することにあります。例えば、社内ネットワークでウェブ閲覧のみを許可し、他のプロトコルを用いた外部との通信をすべて遮断することで、マルウェアの感染経路や情報漏洩のリスクを低減できます。

プロトコルフィルタリングの仕組み

プロトコルフィルタリングは、主にファイアウォールやルーターといったネットワーク機器で実装されます。これらの機器は、通信パケットのヘッダー情報を検査し、どのプロトコルが使用されているかを判断します。

フィルタリングの主要な要素

  1. プロトコル識別
    • 通信パケットのヘッダーには、そのパケットがどのプロトコルに属するかの情報(例:TCP/UDPポート番号)が含まれています。フィルタリング機器は、この情報を用いてパケットを識別します。
      • HTTP通信: TCPポート80
      • HTTPS通信: TCPポート443
      • FTP通信: TCPポート21
  2. ルールベースの判断
    • あらかじめ設定されたフィルタリングルール(ポリシー)に基づいて、識別したプロトコルを許可するか、拒否するかを決定します。
    • ルールは、通常、以下のような形式で定義されます。
      • [送信元IP] -> [宛先IP]:[宛先ポート番号] を許可/拒否
      • 特定のプロトコル(例:SMTP)を許可/拒否
  3. アクションの実行
    • フィルタリングルールに従い、パケットを目的地に転送するか、あるいは破棄します。

プロトコルフィルタリングの活用例と課題

活用例

  • 企業のセキュリティポリシー
    • 企業内ネットワークで、業務に不必要なプロトコル(例:P2P通信、特定のゲーム用プロトコルなど)をすべてブロックし、情報漏洩や帯域幅の無駄遣いを防ぎます。
  • 家庭でのセキュリティ
    • 家庭用ルーターで特定のポートを閉じることで、外部からの不審なアクセス(例:ポートスキャン)を阻止します。
  • DDoS攻撃対策
    • ネットワーク層でのDDoS攻撃(大量のトラフィックを送りつける攻撃)において、特定のプロトコルに偏った攻撃を検出し、そのプロトコルからの通信を一時的に制限することで、被害を最小限に抑えます。

課題

  • 通信の複雑化
    • 近年、アプリケーションが使用するプロトコルやポートが多様化しており、単純なポート番号によるフィルタリングでは対応が難しくなっています。
  • 暗号化通信の増加
    • HTTPSのように通信が暗号化されている場合、パケットの中身を検査できないため、プロトコルフィルタリングだけでは不審な通信を特定することが困難です。このため、より高度なセキュリティ技術(例:DPI: Deep Packet Inspection)が必要となります。

プロトコルフィルタリングは、ネットワークセキュリティの第一歩として、シンプルかつ効果的な防御策を提供しますが、現代の複雑な通信環境に対応するためには、他のセキュリティ技術と組み合わせて運用されることが不可欠です。

関連用語

平文解析フィルタリング | 今更聞けないIT用語集New!!
プロトコル | 今更聞けないIT用語集New!!
クラウドソリューション

お問い合わせ

システム開発・アプリ開発に関するご相談がございましたら、APPSWINGBYまでお気軽にご連絡ください。

APPSWINGBYの

ソリューション

APPSWINGBYのセキュリティサービスについて、詳しくは以下のメニューからお進みください。

システム開発

既存事業のDXによる新規開発、既存業務システムの引継ぎ・機能追加、表計算ソフトによる管理からの卒業等々、様々なWebシステムの開発を行っています。

iOS/Androidアプリ開発

既存事業のDXによるアプリの新規開発から既存アプリの改修・機能追加まで様々なアプリ開発における様々な課題・問題を解決しています。


リファクタリング

他のベンダーが開発したウェブサービスやアプリの不具合改修やソースコードの最適化、また、クラウド移行によってランニングコストが大幅にあがってしまったシステムのリアーキテクチャなどの行っています。