ベクトルの正規化とは
ベクトルの正規化(Vector Normalization)とは?与えられたベクトルを、その方向を保ちつつ、大きさが1の単位ベクトルへと変換する操作のことです。
ベクトルの正規化(ベクトルのせいきか、Vector Normalization)は、線形代数学やその応用分野において、ベクトルが持つ方向の情報を維持したまま、その大きさを一定の値(通常は1)に調整する重要な操作です。
正規化によって得られたベクトルは単位ベクトル(Unit Vector)と呼ばれ、ベクトルの方向のみに着目したい場合や、異なる大きさのベクトルを比較する際などに役立ちます。
ベクトルの正規化 の基本的な概念
ベクトル v を正規化するとは、v と同じ方向を持ち、大きさが1である新しいベクトル v^ を求める操作です。これは、ベクトル v をその大きさ(ノルム、または絶対値)∣∣v∣∣ で割ることで実現されます。
数学的には、ベクトルの正規化は以下の式で表されます。
ここで、v^ は正規化された単位ベクトル、∣∣v∣∣ はベクトル v のノルムを表します。ベクトルのノルムは、そのベクトルの「長さ」または「大きさ」を示す非負のスカラー値であり、通常はユークリッドノルム(ℓ2ノルム)が用いられます。n次元ベクトル v=v1v2⋮vn
のユークリッドノルムは、以下の式で計算されます。
ベクトルの正規化は、ベクトルがゼロベクトルでない場合にのみ定義できます。ゼロベクトルのノルムは0であるため、ゼロベクトルで除算することはできません。
ベクトルの正規化 の手順
ベクトル v を正規化する手順は以下の通りです。
- ベクトルのノルムを計算する: 与えられたベクトル v のノルム ∣∣v∣∣ を計算します。通常はユークリッドノルムを用いますが、問題によっては他のノルムを用いることもあります。
- ベクトルをノルムで割る: ベクトル v の各成分を、ステップ1で計算したノルム ∣∣v∣∣ で割ります。これにより、新しいベクトルが得られ、その大きさは1になります。
例として、ベクトル v=(34) を正規化する手順を示します。
- ノルムの計算:
- ベクトルをノルムで割る:
得られたベクトル v^=(0.60.8) のノルムを計算すると、以下のようになり、大きさが1であることが確認できます。
ベクトルの正規化 の応用
ベクトルの正規化は、様々な分野で重要な役割を果たしています。
- 機械学習:
- 特徴量スケーリング: 機械学習モデルの学習前に、入力特徴量のスケールを揃えるために正規化が用いられます。これにより、特定の大きな値を持つ特徴量が学習に過度に影響を与えるのを防ぎ、アルゴリズムの収束を速める効果が期待できます。
- コサイン類似度: ベクトル間の類似度を測る際に、ベクトルの大きさの影響を排除し、方向のみに基づいて比較するために、事前にベクトルを正規化することが一般的です。
- 情報検索: 文書をベクトル空間モデルで表現する際に、文書の長さを正規化することで、長い文書と短い文書が不当に異なる類似度を持つことを防ぎます。
- コンピュータグラフィックス: 3D空間における方向ベクトル(法線ベクトル、視線ベクトルなど)は、通常、単位ベクトルとして扱われます。これにより、ライティング計算や幾何学的計算が簡略化されます。
- 物理学・工学: 単位ベクトルは、方向を特定するためによく用いられます。例えば、力の方向、電場の方向などを表現する際に便利です。
- 数値解析: ベクトルの方向のみが必要な反復計算などにおいて、計算の安定性や収束性を向上させるために正規化が用いられることがあります。
ベクトルの正規化は、ベクトルを単位ベクトルに変換する基本的な操作であり、ベクトルの方向という重要な情報を維持しつつ、その大きさを1に揃えることで、様々な分野における解析や計算を容易にします。機械学習における特徴量スケーリングやコサイン類似度の計算、情報検索における文書ベクトルの処理、コンピュータグラフィックスにおける方向ベクトルの扱いなど、その応用範囲は広範にわたります。ベクトルを扱う上で、正規化は不可欠なツールの一つと言えるでしょう。
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