メモリウォールとは
メモリウォールは、CPUの処理速度が飛躍的に向上した一方で、メモリへのアクセス速度が相対的に遅いことによって、全体的なシステムパフォーマンスがボトルネックとなる現象のことです。
メモリウォールの概要と原因
メモリウォール(Memory Wall)は、コンピュータシステムの設計における根本的な課題の一つです。
CPUの処理能力は、ムーアの法則に従って指数関数的に向上し続けてきましたが、メインメモリ(DRAM)のアクセス速度は、物理的な制約から同じペースで向上していません。
このCPUとメモリの性能差が広がり続けることで、CPUがメモリからのデータ読み書きを待つ時間が長くなり、システム全体のパフォーマンスが頭打ちになる現象を「メモリウォール」と呼びます。
CPUがいくら高速に計算できても、その計算に必要なデータがすぐに手に入らなければ、処理は停滞してしまいます。
主な原因は、CPUのクロック周波数とメモリのレイテンシ(遅延)の間の性能ギャップが拡大していることです。
メモリウォールへの対策
メモリウォールの影響を軽減するために、様々な技術的アプローチが採用されています。
1. キャッシュメモリの利用
- 概要:
- CPUとメインメモリの間に、より高速な小容量のメモリ(キャッシュメモリ)を配置する手法です。
- 動作:
- CPUが次に必要とすると予測されるデータをキャッシュメモリに一時的に格納します。これにより、CPUはメインメモリにアクセスする代わりに、高速なキャッシュからデータを読み込むことができ、待機時間を大幅に短縮できます。キャッシュは階層化されており、CPUに近いL1キャッシュ、L2キャッシュ、そしてL3キャッシュなどが存在します。
2. メモリの高性能化
- 概要: メモリ自体の高速化を図る技術です。
- 例:
- DDR SDRAM:
- データの転送速度を向上させたメインメモリ規格で、世代を重ねるごとに高速化が進んでいます(DDR4、DDR5など)。
- HBM(High Bandwidth Memory):
- 複数のメモリチップを積層し、広帯域なインターフェースで接続することで、データ転送速度を大幅に向上させた技術です。GPUや高性能コンピューティング(HPC)で利用されます。
- DDR SDRAM:
3. 命令レベルの並列処理
- 概要:
- CPUがメモリからの応答を待っている間に、他の独立した命令を実行する技術です。
- 例:
- アウトオブオーダー実行(Out-of-Order Execution):
- プログラムの命令を、元の順序に縛られずに、実行可能な命令から先に実行することで、CPUの遊休時間を減らします。
- アウトオブオーダー実行(Out-of-Order Execution):
メモリウォールは、コンピュータアーキテクチャの根本的な課題として、今後も様々な形で研究と開発の対象であり続けます。
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