リスク評価とは

リスク評価は、ITシステムやプロジェクトにおいて、潜在的な脅威や脆弱性を特定し、それらがもたらす影響の重大性と発生確率を分析・評価するプロセス全体のことです。

リスク評価の概要と目的

リスク評価(Risk Assessment)は、セキュリティ、プロジェクト管理、ITガバナンスなど、IT分野の多くの側面で不可欠なプロセスです。これは、単に「危険を見つける」だけでなく、その危険が実際にどの程度の損失をもたらす可能性があるのかを定量的に、または定性的に判断することを目的とします。

リスク評価を体系的に行うことで、限られたリソースを最も効果的に配分し、ビジネス目標を達成するための意思決定をサポートします。

主な目的は、潜在的なリスクを事前に特定し、それらに対処するための優先順位を決定することです。これにより、予期せぬ問題による損害を最小限に抑え、サービスの継続性を確保します。

リスク評価の3つのステップ

リスク評価は、通常以下の3つの主要なステップで構成されます。

1. リスクの特定(Risk Identification)

  • 概要: 組織やシステムが直面する可能性のあるすべての潜在的なリスクを洗い出す段階です。
  • 動作: 脅威(Threats)と脆弱性(Vulnerabilities)を特定します。脅威とは、情報漏洩やサイバー攻撃、自然災害など、システムに損害を与える可能性のある外部または内部の事象です。脆弱性とは、その脅威が悪用できる、システムの弱点や欠陥を指します。
  • :
    • 脅威: フィッシング攻撃
    • 脆弱性: 従業員のセキュリティ意識の低さ

2. リスクの分析(Risk Analysis)

  • 概要: 特定されたリスクの重大性を評価する段階です。
  • 動作: 以下の2つの側面から分析が行われます。
    • 発生確率(Likelihood): リスクが実際に発生する可能性の高さ。
    • 影響度(Impact): リスクが現実のものになった場合に、ビジネスや資産に与える損害の大きさ(経済的損失、評判の低下など)。

3. リスクの評価(Risk Evaluation)

  • 概要: リスク分析の結果に基づいて、どのリスクに優先的に対処すべきかを決定する段階です。
  • 動作: 分析で得られた発生確率と影響度の情報を基に、各リスクの重要度を判断します。一般的には、発生確率が高く、影響度も大きいリスクが最も高い優先順位に置かれます。

リスク対応

リスク評価が完了した後には、評価結果に基づいてリスクへの対応策を講じます。一般的な対応策は以下の4つです。

  • リスク回避(Avoidance): リスクの原因となる活動を中止します。
  • リスク低減(Mitigation): 脆弱性に対処し、リスクの発生確率や影響度を減らします(例: セキュリティパッチの適用)。
  • リスク移転(Transfer): リスクを第三者(例: 保険会社)に移転します。
  • リスク受容(Acceptance): リスクを認識した上で、あえて特別な対策を講じないことを選択します。

リスク評価は、単なる一度きりの作業ではなく、IT環境の変化に応じて継続的に実施されるべき、システムの健全な運用に不可欠なプロセスです。

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