双対シンプレックス法とは
双対シンプレックス法(Dual Simplex Method)とは?線形計画問題(LP)を解くためのアルゴリズムの一つであり、実行可能解ではない基底解から出発し、目的関数値を改善しながら実行可能解へと近づいていく手法のこと。
双対シンプレックス法(そうついシンプレックスほう、Dual Simplex Method)は、線形計画問題(Linear Programming, LP)を解くためのアルゴリズムの一つです。標準的なシンプレックス法が実行可能解である基底解を維持しながら目的関数値を改善していくのに対し、双対シンプレックス法は、実行可能解ではない(ただし、双対許容性を持つ)基底解から出発し、反復計算を通じて実行可能解へと移行しながら目的関数値を最適化していくという特徴を持ちます。
双対シンプレックス法 の基本的な概念
線形計画問題の主問題とその双対問題の間には、密接な関係が存在します(双対定理)。双対シンプレックス法は、この双対関係を利用して問題を解きます。具体的には、主問題が実行不可能であっても、その双対問題が最適解を持つ場合に有効なことがあります。
双対シンプレックス法の各反復では、現在の基底解が実行可能でない制約式(基底変数が負の値をとる制約式)の中から、基底から外れる変数(ピボット行を選択)を決定します。次に、目的関数値を悪化させない範囲で、基底に入る変数を決定します(ピボット列を選択)。このピボット操作を繰り返すことで、徐々に実行可能解へと近づき、最終的に最適解に到達します。
双対シンプレックス法 が有効なケース
双対シンプレックス法は、特に以下のような場合に有効です。
- 初期基底解が実行不可能だが、双対許容である場合: 例えば、制約条件に人工変数を導入した後に、それらの人工変数が基底に残っているような状況で、双対シンプレックス法を用いることで、実行可能解を効率的に見つけることができます。
- 制約条件が後から追加される場合: すでに最適解が得られている線形計画問題に、新たな制約条件が追加された場合、最初からシンプレックス法を適用するよりも、双対シンプレックス法を用いて既存の最適解を基点に再最適化を行う方が効率的な場合があります。なぜなら、追加された制約条件によって現在の最適解が実行不可能になる可能性はありますが、双対許容性は維持されていることが多いからです。
- 下界値・上界値制約: 変数に下界値や上界値の制約がある場合、双対シンプレックス法を効率的に適用できることがあります。
双対シンプレックス法 のアルゴリズムの概要
双対シンプレックス法の基本的なアルゴリズムのステップは以下の通りです。
- 初期化: 問題を適切な形式(通常は不等式制約を等式制約に変換し、スラック変数を導入した形式)に変換します。初期基底解が双対許容であることを確認します(目的関数の係数が非負または非正)。
- 実行不可能性のチェック: 現在の基底解が実行可能であるか(全ての基底変数の値が非負であるか)を確認します。もし実行可能であれば、現在の基底解は最適解です。終了します。
- 基底から外れる変数の選択: 実行不可能な基底変数(負の値を持つ基底変数)の中から一つを選択します。通常、最も負の値を持つ基底変数に対応する行(ピボット行)を選択します。
- 基底に入る変数の選択: ピボット行に対応する非基底変数の中から、目的関数値を悪化させない範囲で、基底に入る変数を選択します。これは、目的関数の係数とピボット行の係数の比率を用いて決定されます。具体的には、比率の絶対値が最小となる非基底変数に対応する列(ピボット列)を選択します。
- ピボット操作: 選択されたピボット要素(ピボット行とピボット列の交点の要素)を用いて、ガウスの消去法と同様の操作を行い、基底変数の入れ替えを行います。
- 反復: ステップ2に戻り、実行可能解が得られるまで繰り返します。
主シンプレックス法との比較
主シンプレックス法と双対シンプレックス法の主な違いは以下の点です。
特徴 | 主シンプレックス法 | 双対シンプレックス法 |
---|---|---|
初期解 | 実行可能基底解 | 双対許容基底解(実行不可能でも良い) |
各反復での改善 | 目的関数値の改善(最小化なら減少、最大化なら増加) | 実行不可能性の解消(基底変数の負の値を減らす) |
終了条件 | 最適性条件の充足(相対費用が非負または非正) | 実行可能性条件の充足(全ての基底変数が非負) |
有効なケース | 実行可能な初期基底解が容易に得られる場合 | 初期解が実行不可能だが双対許容である場合、制約追加時 |
双対シンプレックス法は、線形計画問題を解くための重要なアルゴリズムの一つであり、主シンプレックス法とは異なるアプローチで最適解を探索します。初期基底解が実行不可能であっても、双対許容性を持つ場合に特に有効であり、制約条件の追加後の再最適化など、特定の問題構造に対して効率的な解法を提供します。
主シンプレックス法と双対シンプレックス法を理解し、問題の特性に応じて適切なアルゴリズムを選択することが、線形計画問題を効率的に解くための鍵となります。
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