点ごとのフィードフォワードネットワークとは
点ごとのフィードフォワードネットワーク(Point-wise Feedforward Network)とは、Transformerモデルなどの深層学習アーキテクチャにおいて、自己注意機構の後に続く、各位置(トークン)に対して独立に適用される全結合層からなるネットワークのこと。
点ごとのフィードフォワードネットワーク(Point-wise Feedforward Network, PFFN)は、主に自然言語処理の分野で高い性能を発揮するTransformerモデルや、それに類似する深層学習アーキテクチャにおいて、自己注意(Self-Attention)機構の後に配置される重要な構成要素です。このネットワークは、入力シーケンスの各位置(例えば、テキスト中の各単語やトークン)に対して、他の位置の情報とは独立に、同一の全結合層(Fully Connected Layer)を適用する点が特徴です。これにより、各位置における特徴量の次元数を変換し、非線形性を導入することで、より複雑な表現力をモデルに与えます。
点ごとのフィードフォワードネットワーク の基本的な概念
Transformerモデルのエンコーダおよびデコーダブロックは、一般的に自己注意機構と点ごとのフィードフォワードネットワークという二つの主要なサブ層で構成されています。自己注意機構が入力シーケンス内の異なる位置間の依存関係を捉えるのに対し、点ごとのフィードフォワードネットワークは、各位置で得られた特徴表現を個別に処理します。
点ごとのフィードフォワードネットワークは、通常、二つの線形変換(全結合層)と、その間に挟まれた非線形活性化関数(例えばReLU関数)によって構成されます。
入力シーケンスのある位置 i における特徴ベクトル xi が与えられた場合、点ごとのフィードフォワードネットワークによる処理は、以下のように表すことができます。
- 第一の線形変換: 入力特徴ベクトル xi を、より高次元の中間表現 hi へと射影します。この変換は、重み行列 W1 とバイアスベクトル b1 によって定義されます。
- 非線形活性化関数: 中間表現 hi に対して、非線形活性化関数 σ を適用します。ReLU関数が一般的に用いられます。
- 第二の線形変換: 活性化された中間表現 ai を、最終的な出力特徴ベクトル yi へと射影します。この変換は、異なる重み行列 W2 とバイアスベクトル b2 によって定義されます。通常、出力の次元数は入力の次元数に戻されます。
この一連の処理は、入力シーケンスの各位置 i に対して独立に適用されます。つまり、位置 i の出力 yi は、同じブロック内の他の位置 j=i の入力 xj に直接依存することはありません。
点ごとのフィードフォワードネットワーク の役割と重要性
点ごとのフィードフォワードネットワークは、Transformerモデルにおいて以下の重要な役割を果たします。
- 特徴量の次元変換: 自己注意機構によって得られた特徴表現の次元数を一時的に拡張し、その後に元の次元数に戻すことで、より複雑な非線形変換を可能にします。この次元拡張は、モデルの表現能力を高める上で重要です。
- 非線形性の導入: 活性化関数を線形変換の間に挟むことで、モデルに非線形性を導入します。これにより、線形モデルでは捉えきれない複雑なデータのパターンを学習できるようになります。
- 各位置における独立した処理: 各位置の特徴ベクトルを独立して処理することで、位置ごとの固有の情報を捉え、シーケンス全体の文脈を考慮した自己注意機構の出力をさらに精緻化します。
点ごとのフィードフォワードネットワークは、比較的単純な構造を持ちながらも、Transformerモデル全体の表現力を大きく向上させる不可欠な要素です。自己注意機構がシーケンス内の関係性を捉えるのに対し、フィードフォワードネットワークは各位置における情報の変換と非線形な処理を担当することで、両者が相補的に機能し、高い性能を実現しています。
点ごとのフィードフォワードネットワーク のバリエーション
基本的な構造として二つの線形層と一つの活性化関数を持つ点ごとのフィードフォワードネットワークですが、モデルによっては活性化関数の種類が異なったり、層の数が変更されたりする場合があります。例えば、Swish関数などの他の非線形活性化関数が用いられることもあります。
点ごとのフィードフォワードネットワークは、Transformerモデルをはじめとする多くの深層学習アーキテクチャにおいて、自己注意機構の後に配置され、入力シーケンスの各位置に対して独立に適用される全結合層からなるネットワークです。特徴量の次元変換と非線形性の導入を通じて、モデルの表現力を高め、複雑なデータパターンの学習に貢献します。自己注意機構と連携することで、シーケンスデータの効果的な処理を実現する上で、極めて重要な役割を果たしています。
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