認証局とは

認証局は、電子証明書の発行や管理を行う信頼された第三者機関のことで、インターネット上の通信において、ウェブサイトやユーザーの身元を保証する重要な役割を担っています。

認証局の概要と目的

認証局(Certificate Authority: CA)は、公開鍵暗号方式を用いた通信において、公開鍵が正当な所有者のものであることを証明する電子証明書(デジタル証明書)を発行します。この電子証明書は、ウェブサイトのサーバーや個人、組織の公開鍵に、その身元情報を紐づけることで、なりすましや改ざんを防ぎ、安全な通信を可能にします。

認証局の主な目的は、インターネットという不特定多数が利用する開かれた空間において、信頼の鎖(Chain of Trust)を構築することにあります。認証局自身が厳格な審査を経て信頼性を証明され、その認証局が発行する電子証明書によって、他のウェブサイトや個人が信頼できることを保証する仕組みです。

認証局が果たす役割

認証局は、通信の安全性を確保するために、主に以下の3つの役割を担っています。

  1. 電子証明書の発行:
    • 認証局は、証明書を申請してきた組織や個人の身元を審査し、問題がなければ電子証明書を発行します。
    • 電子証明書には、証明書の所有者情報、公開鍵、有効期限、そして認証局の署名などが含まれています。
  2. 証明書の管理:
    • 証明書は有効期限が設定されており、期限切れになると更新が必要です。
    • また、秘密鍵が漏洩するなど、何らかの理由で証明書の信頼性が失われた場合、認証局はその証明書を無効化します。
    • この無効化された証明書のリストをCRL(Certificate Revocation List)やOCSP(Online Certificate Status Protocol)で公開し、利用者が証明書の有効性を確認できるようにします。
  3. ルート認証局と中間認証局:
    • 信頼の階層構造を形成するため、認証局は「ルート認証局」と「中間認証局」に分かれています。
    • ルート認証局は、階層の最上位に位置し、自身を証明する証明書(自己署名証明書)を持っています。
    • 中間認証局は、ルート認証局から署名された証明書を持ち、その権限を利用してエンドユーザー向けの証明書を発行します。これにより、ルート認証局の秘密鍵を安全に管理しながら、効率的な証明書発行が可能になります。

電子証明書とSSL/TLS通信の仕組み

私たちがウェブサイトを閲覧する際に、URLが「https://」で始まっている場合、その通信はSSL/TLS(Secure Sockets Layer / Transport Layer Security)によって暗号化されています。この仕組みの根幹に認証局が発行した電子証明書があります。

  1. 接続要求:
    • ユーザーのブラウザがウェブサーバーに接続を要求します。
  2. 証明書の提示:
    • ウェブサーバーは、認証局から発行された電子証明書をブラウザに提示します。
  3. 証明書の検証:
    • ブラウザは、証明書に含まれる認証局の署名を確認します。ブラウザには、主要なルート認証局の公開鍵が事前に組み込まれているため、提示された証明書が信頼できる認証局によって発行されたものかを検証できます。
    • この検証が成功すれば、ブラウザは「このウェブサイトは信頼できる」と判断します。
  4. 安全な通信の開始:
    • 検証が完了した後、ブラウザとサーバーは、証明書に含まれる公開鍵を使って共通鍵を安全に交換し、その共通鍵で通信内容を暗号化します。これにより、第三者による通信内容の盗聴や改ざんが防がれます。

もし、認証局が存在しなければ、ウェブサイトの公開鍵が本当にそのサイトのものであるかをユーザーは確認できず、悪意のあるウェブサイトが正規のサイトになりすますことが容易になります。認証局は、このようなサイバーセキュリティ上のリスクを防ぐための、不可欠なインフラストラクチャとして機能しています。

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