運用テストとは

運用テスト(Operational Testing)とは、開発されたソフトウェアシステムが、実際の運用環境下で、性能、信頼性、セキュリティ、保守性などの非機能要件を満たしているかを確認するテストのこと。

運用テスト(うんようテスト、Operational Testing)は、ソフトウェアテストの一種であり、開発されたソフトウェアシステムが、本番環境またはそれに極めて近い環境において、その運用に必要な品質特性を十分に備えているかを評価するプロセスです。

機能的な振る舞いだけでなく、システムの安定性、性能、セキュリティ、バックアップ・リカバリの能力、保守性、監視性など、非機能要件に焦点を当てて検証が行われます。運用テストは、システムが実際の運用に耐えうることを保証し、リリース後のトラブルを未然に防ぐために重要な段階です。

運用テスト の基本的な概念

ソフトウェアが期待通りに機能することは当然として、実際の運用においては、様々な非機能的な側面も重要になります。例えば、多数のユーザーが同時にアクセスした場合の性能、長期間にわたる連続稼働における安定性、不正アクセスに対するセキュリティ、障害発生時の迅速な復旧能力などが挙げられます。運用テストは、これらの運用環境下での品質特性を評価し、システムが本番環境での利用に適切であることを確認することを目的とします。

運用テストは、システムテストの最終段階として位置づけられることが多く、受け入れテストの前、または受け入れテストと並行して実施されることもあります。テスト環境は、本番環境のハードウェア、ソフトウェア構成、ネットワーク環境などを可能な限り忠実に再現することが望ましいです。

運用テスト の主要なテスト項目

運用テストでは、以下のような項目を中心に検証が行われます。

  1. 性能テスト(Performance Testing): システムが、想定される負荷条件下で、応答時間、スループット、リソース使用率などの性能要件を満たしているかを確認します。
    • 負荷テスト(Load Testing): 想定される通常の負荷をシステムにかけ、性能特性を評価します。
    • ストレステスト(Stress Testing): 想定を超える過負荷をシステムにかけ、システムの限界点や耐障害性を評価します。
    • 耐久テスト(Endurance Testing): 長時間にわたる連続稼働におけるシステムの安定性やリソースリークの有無などを確認します。
  2. 信頼性テスト(Reliability Testing): システムが、特定の期間、特定の条件下で、故障せずに動作し続ける能力を評価します。平均故障間隔(Mean Time Between Failures, MTBF)などの指標を用いて評価されます。
  3. セキュリティテスト(Security Testing): システムの機密性、完全性、可用性を保護するためのセキュリティ機能が適切に実装され、機能しているかを確認します。脆弱性診断、侵入テストなどが含まれます。
  4. 保守性テスト(Maintainability Testing): システムの変更、修正、拡張などが容易に行えるかを評価します。ドキュメントの整備状況、コードの可読性、モジュール性などが評価の対象となります。
  5. 監視性テスト(Monitorability Testing): システムの稼働状況、リソース使用状況、エラー発生状況などを適切に監視できる仕組みが整っているかを確認します。ログ出力、アラート機能などが評価の対象となります。
  6. バックアップとリカバリテスト(Backup and Recovery Testing): システムのバックアップ機能が正常に動作し、障害発生時にデータを損失することなく迅速にシステムを復旧できるかを確認します。
  7. フェイルオーバーとリカバリテスト(Failover and Recovery Testing): システムに冗長化構成がある場合に、障害発生時の自動的な切り替え(フェイルオーバー)が正常に行われ、その後の復旧(リカバリ)プロセスが適切に機能するかを確認します。
  8. インストールと構成テスト(Installation and Configuration Testing): システムのインストール手順が適切であり、運用環境への導入がスムーズに行えるか、また、構成変更が正しく反映されるかを確認します。

運用テスト の実施

運用テストは、本番環境を模したテスト環境で、実際の運用手順やシナリオに基づいて実施されることが重要です。テストには、運用チームのメンバーやシステム管理者などが参加し、実際の運用を想定した操作や負荷をかけながら、システムの挙動や性能を評価します。

テストの結果は詳細に記録され、不具合や改善点が見つかった場合は、開発チームにフィードバックされ、修正が行われます。修正後には、再度運用テストを実施し、問題が解決されたことを確認します。

運用テスト の重要性

運用テストは、ソフトウェアシステムが本番環境で安定かつ安全に稼働するために不可欠なプロセスです。適切な運用テストを実施することで、以下のようなメリットが得られます。

  • リリース後のトラブル削減: 本番環境で発生する可能性のある性能問題、セキュリティ脆弱性、運用上の課題などを事前に発見し、対策を講じることができます。
  • システムの信頼性向上: 長期間にわたる安定稼働や障害からの迅速な復旧能力を確認することで、システムの信頼性を高めることができます。
  • ユーザー満足度の向上: 安定したシステム運用により、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
  • ビジネス継続性の確保: 障害発生時の影響を最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保することができます。
  • 運用コストの最適化: 効率的な運用体制を確立し、運用にかかるコストを最適化することができます。

運用テストは、開発されたソフトウェアシステムが、実際の運用環境下で、性能、信頼性、セキュリティ、保守性などの非機能要件を満たしているかを確認する重要なテストです。

性能テスト、信頼性テスト、セキュリティテスト、バックアップとリカバリテストなど、多岐にわたるテスト項目を通じて、システムが本番環境での利用に耐えうる品質を備えているかを検証します。適切な運用テストの実施は、リリース後のトラブルを未然に防ぎ、システムの安定稼働とビジネスの継続性を確保するために不可欠です。

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