順序尺度とは

順序尺度(Ordinal Scale)とは、統計学における測定尺度の種類の一つであり、対象の属性に関して順序関係(大小関係や優劣関係など)を捉えることができるが、その間隔の大きさは一定ではない尺度

順序尺度(じゅんじょしゃくど、Ordinal Scale)は、名義尺度、間隔尺度、比例尺度と並ぶ、統計学における基本的な測定尺度の一つです。順序尺度は、測定対象が持つ属性に関して、大小、優劣、順位などの順序関係を識別できる尺度です。しかし、この尺度で得られる数値やカテゴリ間の間隔は等しいとは限らず、その差の大きさ自体には意味を持ちません。

順序尺度 の基本的な概念

順序尺度は、対象を何らかの特性に基づいて順位付けしたり、カテゴリ分けしたりする際に用いられます。この尺度で得られるデータは、順序を持つカテゴリや数値で表現されますが、これらのカテゴリや数値間の距離は定義されていません。

例えば、以下のような変数は順序尺度で測定されます。

  • 商品の満足度: (1: 非常に不満, 2: 不満, 3: 普通, 4: 満足, 5: 非常に満足)
  • 学業成績の評価: (A, B, C, D, F)
  • マラソンの順位: (1位, 2位, 3位, …)
  • 顧客のロイヤルティレベル: (低, 中, 高)
  • 地震の震度階級: (1, 2, 3, 4, 5弱, 5強, 6弱, 6強, 7)

これらの例では、カテゴリや数値には順序関係が存在しますが、「非常に満足」と「満足」の満足度の差が、「不満」と「非常に不満」の満足度の差と等しいとは限りません。同様に、学業成績の「A」と「B」の差が、「D」と「F」の差と同じ学力差を表しているとは限りません。

順序尺度 の特性

順序尺度には、以下の特性があります。

  1. 分類可能性: 測定対象を異なるカテゴリに分類できます。
  2. 順序付け可能性: 分類されたカテゴリ間には、大小、優劣、順位などの順序関係が存在します。
  3. 間隔の非等間隔性: カテゴリ間の間隔や数値の差は一定ではなく、その差の大きさ自体には意味を持ちません。
  4. 絶対的なゼロ点の欠如: 比例尺度のような絶対的なゼロ点は存在しません。

順序尺度 の分析方法

順序尺度で得られたデータに対しては、名義尺度で用いられる分析に加えて、順序関係を考慮した統計的手法を用いることができます。

  • 記述統計:
    • 頻度分布: 各カテゴリの出現回数を集計します。
    • 最頻値(モード): 最も出現頻度の高いカテゴリを示します。
    • 中央値(メディアン): データの中央に位置するカテゴリを示します。順序データの中央値を計算する際には、順序を考慮して中央の値を特定します。
    • パーセンタイル: データ全体を順序に基づいて等分した位置を示す値です。
  • 推測統計:
    • ノンパラメトリック検定: 順序データは、分布に関する仮定を必要としないノンパラメトリック検定が適しています。例:マン・ホイットニーのU検定、クラスカル・ウォリス検定、ウィルコクソンの符号順位検定、スピアマンの順位相関係数など。

順序尺度で得られたデータに対して、平均値や標準偏差といった間隔尺度以上を前提とする統計量を計算したり、パラメトリック検定を適用したりすることは、尺度水準の誤用にあたります。

順序尺度 の例

以下に、順序尺度の具体的な例をいくつか示します。

  • 嗜好度調査: (非常に嫌い, 嫌い, どちらでもない, 好き, 非常に好き)
  • 製品の品質評価: (非常に悪い, 悪い, 普通, 良い, 非常に良い)
  • サービスの評価: (1: 全く不満, 2: やや不満, 3: どちらでもない, 4: やや満足, 5: 非常に満足)
  • ハリケーンの勢力: (カテゴリー1, 2, 3, 4, 5)

これらの例では、カテゴリ間には明確な順序がありますが、その間隔が均等であるとは言えません。

順序尺度は、対象の属性に関して順序関係を捉えることができる測定尺度であり、社会調査や心理学研究など、様々な分野で用いられます。順序尺度で得られたデータを分析する際には、その尺度水準の特性を理解し、適切な統計的手法を選択することが重要です。順序関係を考慮した記述統計やノンパラメトリック検定を用いることで、データの持つ情報を適切に引き出すことができます。

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