データオーナーとは

データオーナー(Data Owner)とは、データガバナンスの枠組みにおいて、特定のデータ資産に対する戦略的な責任と意思決定権限を持つ役割を指します。

彼らは、通常、組織の特定のビジネスドメインや機能部門のリーダーシップ層に位置し、そのドメインに関連するデータの定義、品質、セキュリティ、コンプライアンス、および利用方法について最終的な責任を負います。

データオーナーは、データがビジネス価値を最大化し、関連する全てのポリシーや規制に準拠することを保証する上で不可欠な存在です。

データオーナーの基本的な概念

データオーナーは、技術的な日々のデータ管理業務を直接行うわけではありませんが、データ戦略とビジネス目標を整合させ、データに関する重要な意思決定を行う役割を担います。

主な概念は以下の通りです。

  1. 最終的な説明責任: 特定のデータドメインに関する全てのデータ関連事項について、最終的な説明責任を負います。これには、データの定義の承認、品質基準の設定、アクセス権限の承認、セキュリティポリシーの決定などが含まれます。
  2. ビジネスとデータの橋渡し: ビジネス目標とデータがどのように連携するかを理解し、データがビジネスプロセスを効果的にサポートするようにします。データがどのように収集され、利用され、保護されるべきかについて、ビジネスの視点から指導を行います。
  3. データスチュワードとの協力: データオーナーは、自身が定めた戦略やポリシーの実践をデータスチュワードに委任し、密接に協力します。データスチュワードは、日々のデータ管理業務や品質維持の活動を担います。

データオーナーの主な職務と責任

データオーナーの職務は、組織の規模や構造によって異なりますが、一般的に以下の責任を負います。

  1. データ定義と標準化の承認:
    • 担当するデータドメインにおける主要なデータ要素のビジネス定義を承認し、組織全体での一貫性を保証します。
    • データの命名規則、データ型、意味論などのデータ標準を確立し、その遵守を推進します。
  2. データ品質基準の設定と監視:
    • 担当データの品質目標基準(正確性、完全性、一貫性、適時性など)を設定し、その達成度を監視します。
    • データ品質に関する主要な問題やリスクに対して、是正措置の優先順位を決定し、必要なリソースを承認します。
  3. データセキュリティとアクセス権限の決定:
    • 担当データの機密性完全性可用性を確保するためのセキュリティポリシーとコントロールを承認します。
    • データの利用用途とユーザーの役割に基づき、データへのアクセス権限に関する最終的な意思決定を行います。特に、機密情報や個人情報の保護に関する承認は、データオーナーの重要な責任です。
  4. コンプライアンスと規制遵守の確保:
    • 担当データが、GDPR、個人情報保護法、HIPAAなどのデータプライバシー規制や、業界固有のコンプライアンス要件に適合していることを保証します。
    • 監査や法規制対応において、データの適切な管理を証明する責任を負います。
  5. データ利用の推進と価値創出:
    • 担当データが組織内で効果的に活用され、ビジネス価値を最大化するように戦略的な方向性を示します。
    • 新しいデータ利用シナリオやデータプロダクトの提案を評価し、承認します。
  6. データライフサイクル管理の監督:
    • データの生成、保存、利用、アーカイブ、廃棄といったデータライフサイクル全体を通じて、適切な管理プロセスが実施されていることを監督します。

データオーナーに求められるスキルと特性

効果的なデータオーナーは、以下のスキルと特性を兼ね備えていることが望ましいです。

  • ビジネス戦略の深い理解: 担当するビジネスドメインの目標、課題、およびデータがそれらにどのように貢献できるかを深く理解していること。
  • リーダーシップと意思決定能力: データに関する複雑な課題や対立する意見に対して、明確な意思決定を行い、組織を導く能力。
  • コミュニケーションと影響力: 経営層、IT部門、データスチュワード、およびデータ利用者といった多様なステークホルダーと効果的に連携し、影響を与える能力。
  • リスク管理の視点: データに関連する潜在的なリスク(セキュリティ、プライバシー、品質)を識別し、軽減策を講じる能力。
  • データガバナンスへのコミットメント: データの健全な管理に対する強いコミットメントと、それを組織全体に浸透させる意欲。

データオーナーは、データガバナンスの枠組みにおいて、特定のデータ資産に対する戦略的な責任と意思決定権限を持つ、組織のリーダーシップ層に位置する重要な役割です。彼らは、データ定義の承認、品質基準の設定、セキュリティポリシーの決定、アクセス権限の管理、コンプライアンスの確保、そしてデータのビジネス価値最大化の推進を通じて、組織のデータ資産が適切に管理・活用されることを保証します。

データスチュワードと連携し、ビジネスとデータの橋渡し役を担うデータオーナーは、データドリブンな組織の成功に不可欠な存在です。

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