シリアライズとは

シリアライズは、データ構造やオブジェクトを、ファイル保存やネットワーク転送に適した形式に変換するプロセスです。このプロセスにより、異なるシステム間でのデータ交換や、プログラム実行状態の永続化が可能になります。

シリアライズの概要

コンピュータープログラムがメモリ上で扱っているデータ構造やオブジェクトは、そのプログラムが実行されている間だけ存在するのが一般的です。しかし、これらのデータを永続的に保存したり、別のプログラムやコンピューターに転送したりする必要が生じることがあります。ここで重要になるのがシリアライズです。

シリアライズとは、メモリ上の複雑なデータ構造(例えば、リスト、配列、クラスのインスタンスなど)を、一連のバイト列やテキスト形式(JSON、XMLなど)といった、より単純で線形的な形式に変換する操作を指します。この変換された形式は、ファイルに書き込んだり、ネットワークを通じて送信したりすることが容易になります。

シリアライズの目的と利点

シリアライズが活用される主な目的と、それによって得られる利点は以下の通りです。

1. データの永続化

プログラムが終了しても、その時点で扱っていたデータを失いたくない場合があります。シリアライズすることで、メモリ上のデータをファイルシステムやデータベースに保存し、後でプログラムを再開した際に元の状態を復元できます。

  • : ゲームのセーブデータ、アプリケーションの設定ファイル。

2. ネットワーク転送

異なるコンピューター間でデータをやり取りする際に、メモリ上のオブジェクトをそのまま送信することはできません。シリアライズにより、データを共通の形式に変換し、ネットワーク経由で送信できます。受信側では、デシリアライズ(後述)によって元のデータ構造に復元されます。

  • : Web APIによるデータ送受信、分散システムにおけるプロセス間通信。

3. プロセス間通信

同じコンピューター上であっても、異なるプロセス間でデータを共有する場合にシリアライズが用いられることがあります。

  • : 共有メモリやメッセージキューを介したデータ交換。

4. 異なるプログラミング言語間でのデータ交換

シリアライズされたデータは、特定の言語に依存しない標準的な形式(例: JSON、XML)で表現されることが多いため、異なるプログラミング言語で書かれたアプリケーション間でもデータをやり取りできます。

  • : Pythonで作成されたバックエンドがJSON形式でデータをシリアライズし、JavaScriptで書かれたフロントエンドがそれをデシリアライズして表示する。

デシリアライズ(逆シリアライズ)

デシリアライズ(または逆シリアライズ)は、シリアライズの逆のプロセスです。ファイルやネットワークから受け取ったシリアライズされたデータ(バイト列やテキスト形式)を解析し、元のプログラミング言語のデータ構造やオブジェクトとしてメモリ上に復元する操作を指します。

シリアライズとデシリアライズは、ペアで機能することで、データの保存、転送、復元の一連のライフサイクルを可能にします。

シリアライズの具体的な形式

シリアライズの形式には、以下のような種類があります。

1. JSON (JavaScript Object Notation)

人間が読み書きしやすいテキストベースのデータ形式です。軽量で、多くのプログラミング言語でサポートされており、特にウェブAPIでのデータ交換に広く利用されています。

JSONの例:

{
  "name": "山田",
  "age": 30,
  "isStudent": false,
  "courses": ["数学", "情報"]
}

2. XML (Extensible Markup Language)

構造化されたデータを表現するためのマークアップ言語です。JSONよりも冗長ですが、複雑な階層構造やメタデータの記述に適しており、エンタープライズシステムなどで利用されることがあります。

XMLの例:

<person>
  <name>山田</name>
  <age>30</age>
  <isStudent>false</isStudent>
  <courses>
    <course>数学</course>
    <course>情報</course>
  </courses>
</person>

3. バイナリ形式

特定のプログラミング言語やライブラリに特化した、効率的なバイナリ形式でシリアライズされることもあります。テキスト形式よりもデータサイズが小さく、読み書きが高速ですが、人間が直接読み取ることは困難です。

  • : Javaの Serializable インターフェース、Pythonの pickle モジュール、Protocol Buffers、MessagePackなど。

シリアライズは、プログラミングにおけるデータの取り扱いにおいて非常に重要な概念です。メモリ上の複雑なデータを、永続化やネットワーク転送に適した形式に変換することで、異なるシステム間でのデータ連携やアプリケーションの状態管理を可能にします。

利用目的に応じて適切なシリアライズ形式を選択することが、効率的かつ堅牢なシステム構築に繋がります。

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