品質向上へ:コード再生とシステム最適化

貴社の開発現場、こんな課題はありませんか?
「システムが複雑で誰も全体像を把握できていない」
「少し修正を加えるだけで、どこかに予期せぬバグが発生する」
「特定の担当者しかそのコードを理解できないため、異動や退職があると開発が止まってしまう」。
もし、貴社の開発現場でこのような声が聞かれるなら、それはシステムが「技術的負債」を抱えているサインかもしれません。
長年にわたる開発の中で、プログラムのソースコードは、まるで使われなくなった古い書類のように、読みにくく、散らかり、そして動かなくなることがあります。。
その結果、新しい機能の追加や既存機能の改善に時間がかかり、ビジネスの変化に対応できないだけでなく、予期せぬシステムダウンやセキュリティインシデントのリスクも高まります。
今回ご紹介する記事では、貴社の開発現場で頻繁に耳にするであろう、しかし見過ごされがちな「読みにくいコードが蔓延し、新規開発・改修が進まない現状」と、「『動かない』原因が特定できず、システム全体が不安定」という二つの深刻な課題について深く掘り下げていきます。
これらの課題が貴社のビジネスにどのような悪影響を及ぼすのか、その本質的な問題点を明確にすることで、合理的に最適化されたソースコードの重要性をご理解いただければ幸いです。
読みにくいコードが蔓延し、新規開発・改修が進まない現状

開発現場でよくあるのが、「このコードは誰が書いたんだ?」「何をやっているのかさっぱり分からない」といった嘆きです。
これは、コードが読みにくい状態にあることを示しています。
変数名が意味不明だったり、一つの関数が膨大な処理を担っていたり、同じようなコードが何度も繰り返されていたりすると、新しい開発者がそのコードを理解するのに膨大な時間がかかります。
結果として、本来なら数日で終わるはずの機能追加や改修が、調査と解析だけで何週間もかかってしまうことがあります。さらに悪いことには、誤った解釈に基づいた変更が新たなバグを生み出し、さらなる手戻りを発生させる悪循環に陥ることも少なくありません。
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~ ※外部リンク」でも、既存システムのブラックボックス化や複雑化が、日本企業のDX推進を阻む大きな要因の一つとして挙げられています。
実際に、ITシステムの運用・保守に多大なコストがかかり、新規事業への投資が滞っている企業も少なくありません。
「動かない」原因が特定できず、システム全体が不安定
「昨日まで動いていたのに、なぜか今日は動かない」「特定の条件下でしか発生しない謎のバグがある」。
このような状況は、システムの不安定性を示しています。
一見すると動いているシステムでも、その内部のコードが整理されていなかったり、密結合な状態であったりすると、小さな変更が全体に予期せぬ影響を及ぼし、潜在的なバグが表面化しやすくなります。
特に深刻なのは、エラーが発生してもその原因を特定するまでに膨大な労力がかかることです。
ログが適切に出力されていなかったり、エラーメッセージが不明瞭だったりすると、問題の切り分けに時間がかかり、復旧が遅れることでビジネスに大きな損害を与える可能性もあります。
ある調査では、システム障害の約80%は、リリース前のテスト段階で見つけられなかったバグに起因するとも言われています。これは、システムの品質管理が不十分であること、そして根本原因である「読みにくい」「動かない」コードが潜んでいることを強く示唆しています。
不安定なシステムは、企業の信頼性を損なうだけでなく、顧客離れや市場競争力低下にも直結する喫緊の課題なのです。
属人化
貴社の開発現場で、「あの機能の改修は〇〇さんにしか頼めない」「このシステムは△△さんしか分からないから、彼がいないと何もできない」といった声が聞こえることはありませんか?
これは、まさにコードの属人化が起きている典型的な兆候です。
属人化とは、特定の個人やごく少数のメンバーしか、特定のプログラムやシステムの内容を理解・修正できない状態を指します。このような状況は、以下のような深刻なリスクを貴社にもたらします。
開発の停滞
その担当者が不在の場合(病気、休暇、退職など)、システム改修やバグ修正が一切できなくなります。これは、ビジネスチャンスの逸失や、緊急時のシステム復旧の遅れに直結します。
品質の低下
担当者一人に依存していると、コードレビューの機会が失われ、バグが入り込むリスクが高まります。また、新しい知見や技術が取り入れられにくくなり、システムの陳腐化を招きます。
人材リスクとコスト増
担当者が退職した場合、その知識と経験が失われるため、新しい担当者がコードを理解し、引き継ぐまでに膨大な時間とコストがかかります。場合によっては、システムをゼロから再構築せざるを得ないケースも発生し、数千万円から数億円規模の損失に繋がることもあります。
組織全体の成長阻害
知識が共有されない環境では、チームとしての学習機会が失われ、開発者全体のスキルアップが妨げられます。結果として、組織全体の生産性や競争力が低下していくのです。
実際に、ソフトウェア開発の現場では、ベテランエンジニアの退職が原因で、システムが塩漬けになったり、稼働停止に追い込まれる事例も少なくありません。
コードの属人化は、単なる技術的な問題に留まらず、貴社の事業継続性や将来の成長に直結する、極めて重要な経営課題なのです。
これらの課題が引き起こすビジネス損失とは

これまで見てきた「読みにくい・動かない・属人化された」コードは、単なる開発現場の問題に留まらず、貴社のビジネスに多大な損失をもたらします。
市場機会の逸失
競合他社が新サービスを投入する中、既存システムの改修に手間取り、新しい機能やサービスをタイムリーに提供できないと、顧客を逃し、市場シェアを失うことになります。
運用・保守コストの増大
読みにくいコードや不安定なシステムは、日々の運用監視やバグ修正に膨大な工数を要します。これにより、本来ならば新しい事業やイノベーションに投入できるはずの貴重なIT予算が、既存システムの維持費にばかり消費されてしまいます。ある調査では、企業のIT予算の7割以上が既存システムの維持・管理に費やされているという報告もあります。(出典例:IDC Japan, Software and IT Services Markets, 各種レポート)
従業員のエンゲージメント低下と離職
古く、複雑で、問題の多いシステムでの開発は、エンジニアのモチベーションを著しく低下させます。やりがいを感じられない環境では、優秀な人材の離職に繋がりやすく、採用コストの増大や技術力低下の悪循環を生み出します。
企業ブランドと信頼の失墜
システム障害やセキュリティインシデントは、顧客からの信頼を大きく損ね、企業ブランドに深刻なダメージを与えます。SNSでの批判やニュース報道は瞬く間に広がり、長期的なビジネスへの悪影響は計り知れません。
DX推進の足かせ
経済産業省が提唱するDX(デジタルトランスフォーメーション)は、データとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、競争優位性を確立することを目指します。しかし、既存のITシステムがこれらの課題を抱えていると、データ活用はおろか、新しい技術の導入すら困難になり、DXの実現は夢物語で終わってしまいます。
これらの損失は、目に見えるコストだけでなく、貴社の将来の成長機会や競争力を大きく損なう「見えざる損失」として蓄積されていきます。今こそ、これらの課題に正面から向き合い、貴社のIT資産を再生し、ビジネスを加速させるための具体的なステップを踏み出す時です。
次回は、そのための具体的な解決策について詳しく解説してまいります。
解説記事「品質向上へ:コード再生とシステム最適化」の続きは
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この記事を書いた人

株式会社APPSWINGBY マーケティング
APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。
ご支援業種
情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

株式会社APPSWINGBY CTO 川嶋秀一
動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。