「人工知能(AI)ハイプサイクル」 気になるワードを解説2

「人工知能(AI)ハイプサイクル」 気になるワードを解説2

これまで、ガートナー社が2025 年8月5日に公開した「AIハイプサイクル」から気になるワードの解説を2回記事にしてきました。

ガートナー社が公開した「人工知能(AI)ハイプサイクル」

「人工知能(AI)ハイプサイクル」 気になるワードを解説

今回は、AIハイプサイクル気になるワードシリーズの最後となります。8月7日(現地時間)にOpenAIがCPT-5を発表し、AI関連の話題で盛り上がっていますが、様々なテクノロジーが研究開発され、業務に取り入れられていく中で、企業がこの進化し続けるAIをどのように活用していくのか、これまで以上の議論とトライが必要だなぁと感じました。

さて、話は本題に戻り、「AIハイプサイクル」から気になるワードをご紹介していきます。

では、さっそくはじめていきましょう!

Embodied AI:エンボディドAI

Embodied AI(エンボディドAI)は、物理的な身体を持つAIのことを指します。簡単に言うと、ロボットやドローンなど、物理的な身体に統合されたAIシステムのことです。

「Embodied」を直訳すると「具現化された」「身体を持つ」という意味ですので、パソコンやクラウド上で動作する従来のAIとは異なり、ロボットやスマートデバイスなどのハードウェアに組み込まれて、現実世界と直接的に相互作用しながら学習し、判断を下すことができるAIのことです。

間違った方向にいくと人間に危険を及ぼす可能性があるような気がしないでもないEmbodied AIですが、現実世界とインタラクションし、環境を感知し、物理的なタスクを実行することができるAIとして注目を集めています。

従来AIとの決定的な違い

知能の獲得方法

従来のAIは、主にデータセットから知識を学習します。

一方、エンボディドAIは、自身の身体(カメラ、センサー、マイクなど)を使って物理世界を認識し、移動や物体操作といった行動を通じて、試行錯誤しながら学習を進めます。これは、人間が身体を通じて世界を学び、知能を発達させる過程と似ています。

物理世界との関係

従来のAIはサイバー空間でのデータ処理に特化していますが、エンボディドAIは現実の環境に適応し、物理的なタスクを実行します。

これにより、単純な情報処理だけでなく、具体的な作業や人との物理的なコミュニケーションが可能になります。

具体的な応用例

エンボディドAIは、一部の分野ではありますが、活用され始めています。

  • 人型ロボット: テスラの「Optimus(オプティマス)」や、米スタートアップFigure社の人型ロボットなどが代表例です。これらのロボットは、単にプログラムされた動作を繰り返すのではなく、自然言語の指示を理解し、周囲の環境を認識して、自律的にタスクを遂行します(例:リンゴを認識して人に手渡す、工場での作業など)。
  • 自動運転車: 車両自体が物理的な身体であり、カメラやLiDARなどのセンサーで周囲の環境を認識し、リアルタイムに判断を下しながら走行します。
  • 介護支援ロボット: 高齢者や障害者の身体的サポートを行うロボットは、利用者の動きや声に応じて、適切な行動を取ることが求められます。
  • 物流・製造現場のロボット: 倉庫内の商品を自律的に搬送したり、生産ラインで繊細な部品を組み立てたりするロボットは、物理的な環境の変化に柔軟に対応する必要があります。

Artificial General Intelligence:汎用人工知能(AGI)

人工汎用知能(AGI)とは、人間と同等、あるいはそれ以上の知的能力を広範なタスクにおいて持つ、自己学習・自己思考が可能なAIのことです。

現在、私たちが日常的に利用しているAI(例:ChatGPT、画像認識AI、音声アシスタントなど)は「特化型AI(Artificial Narrow Intelligence: ANI)」と呼ばれています。これは、特定のタスクに特化して高い性能を発揮しますが、それ以外のタスクは実行できません。

一方、AGIは、特定のタスクに限定されず、人間のように未知の状況や課題に対しても、自律的に学習し、推論し、解決策を見つけ出すことができるAIです。

AIシステムが理解、学習し、その知能を適用することで、人間が解決できるあらゆる問題を解決できるという仮説的な能力を得ることを意味しています。特定のタスク(画像認識やチェスなど)向けに設計された狭義のAIとは異なり、AGIは人間と同等の幅広い知的タスクを実行できるようになるのです。

AGIの主な特徴

AGIが特化型AIと区別される主な能力は、以下の通りです。

  1. 汎用性(Generality): 特定の分野に限定されず、さまざまなタスクを理解し、実行する能力。
  2. 自己学習能力(Self-Learning): 外部からの明示的なプログラムやデータセットなしに、自ら新しい知識やスキルを獲得する能力。
  3. 推論・抽象化能力(Reasoning and Abstraction): 複雑な概念を理解し、異なる分野の知識を結びつけて、論理的に思考する能力。
  4. 創造性(Creativity): 新しいアイデアや解決策を生み出す能力。

AGIの実現はいつか?

AGIの実現は、AI研究における究極の目標とされていますが、その具体的な時期については専門家の間でも意見が分かれています。

楽観的な見方

近年の大規模言語モデル(LLM)の急速な進化は、AGIへの道を開く可能性があると考える研究者もいます。LLMは、膨大なテキストデータから汎用的な知識を学習しており、推論や創造的なタスクで驚くべき能力を発揮し始めています。

慎重な見方もある

しかし、現在のAIにはまだ限界が多く、特に「常識的な理解」や「感情」といった、人間が自然に持っている知能を再現することは依然として困難だとも言われています。

AGIがもたらす影響

もしAGIが実現すれば、社会に計り知れない影響を与えると考えられています。科学、医学、環境問題など、人類が抱えるあらゆる課題の解決を加速させる可能性があります。

しかし、当然ながらネガティブな側面も予想されており、AGIの制御や倫理的な問題、人類の存在意義などなど、まだまだ議論を深めていかなければならない余地が残っているのが現状です。。

AGIはまだSFの世界の出来事かもしれませんが、多くの研究者や企業がその実現に向けて研究を進めており、今後の動向が注目されています。

今後、ますます研究開発がすすみ、これまでご紹介したテクノロジーが一般化され、誰でも、簡単にこれまで以上のAIを利用することができる社会が訪れることはもはや否定することはできな状況になってきました。

これまでご紹介してきたワードの中に、もし、気になるワードがありましたら、是非、深堀してみてください。

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株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

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情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
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動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
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