ホワイトボックステストとは

ホワイトボックステストは、ソフトウェアの内部構造やソースコードのロジックを理解した上で、意図した通りに動作するかを検証するテスト手法のことです。

ホワイトボックステストの概要と目的

ホワイトボックステスト(White-box Testing)は、テスト対象を「中身が透けて見える白い箱」に見立てて行われることに由来します。このテストでは、開発者が記述したソースコードを直接参照し、その内部的な処理の流れ、アルゴリズム、データ構造、そして条件分岐やループの網羅性などを検証します。

主な目的は、内部の欠陥(バグ)や潜在的な脆弱性を早期に発見し、コードの品質を高めることにあります。特に、仕様書だけでは見つけられないような、プログラミング上の論理的なミスや、特定の条件でのみ発生するバグの発見に有効です。

ホワイトボックステストの主な手法

ホワイトボックステストは、テストの網羅性を高めるために、様々な基準に基づいてテストケースを作成します。

1. ステートメントカバレッジ(命令網羅)

  • 概要:
    • プログラム内のすべての命令(ステートメント)が、少なくとも一度は実行されるようにテストケースを作成する手法です。

カバレッジ率 = \frac{実行された命令数}{全命令数}

  • 利点:
    • 最も基本的な網羅性の指標であり、テストが不足している箇所を簡単に特定できます。

2. ブランチカバレッジ(分岐網羅)

  • 概要:
    • if文やwhile文などのすべての分岐(ブランチ)において、TrueFalseの両方の経路が少なくとも一度は実行されるようにテストケースを作成する手法です。
    • これにより、特定の条件でのみ実行される処理のテストが可能になります。

3. コンディションカバレッジ(条件網羅)

  • 概要:
    • 論理式(例: A && B)を構成する個々の条件式(例: A, B)が、それぞれTrueFalseの両方を経験するようにテストケースを作成する手法です。
    • ブランチカバレッジよりもさらに詳細なテストが可能です。

ホワイトボックステストのメリットとデメリット

メリット

  • 網羅性の高さ:
    • 内部構造に基づいているため、ロジックのすべてのパスを網羅的にテストできます。
  • 欠陥の早期発見:
    • 主に開発の初期段階(単体テスト)で実施されるため、バグを早期に発見・修正でき、手戻りのコストを削減できます。
  • パフォーマンスの最適化:
    • 処理速度が遅い原因となるコードのボトルネックを発見し、改善するのに役立ちます。

デメリット

  • 専門知識が必要:
    • テストを実施するには、プログラム言語やアルゴリズム、システムの内部設計に関する深い知識が必要です。
  • コストと工数:
    • 複雑なロジックを持つプログラムの場合、テストケースの作成に膨大な時間と労力がかかります。
  • 仕様外のバグを見逃す可能性:
    • ソースコードの記述通りにテストを行うため、仕様書自体に誤りがある場合や、仕様外の挙動については発見しにくいという側面があります。

ホワイトボックステストとブラックボックステスト

ホワイトボックステストは、ブラックボックステスト(内部構造を考慮しないテスト)と対になる概念です。

ホワイトボックステストブラックボックステスト
観点内部の構造やロジック外部から見た機能や仕様
担当者開発者、専門のテスター開発者以外(QAエンジニアなど)
目的内部の欠陥(バグ)を発見仕様通りに機能するかを確認
実施時期主に単体テスト主に結合テスト、システムテスト
ホワイトボックステストとブラックボックステスト

これらのテストは対立するものではなく、それぞれの役割を補完し合うことで、ソフトウェアの全体的な品質を確保するために不可欠な手法です。通常、開発者がホワイトボックステストを行い、QAチームなどがブラックボックステストを行うことで、多角的な検証が実現されます。

関連用語

ブラックボックステスト | 今更聞けないIT用語集
ソフトウェアテスト | 今更聞けないIT用語集
ソフトウェアエンジニアリング

お問い合わせ

システム開発・アプリ開発に関するご相談がございましたら、APPSWINGBYまでお気軽にご連絡ください。

APPSWINGBYの

ソリューション

APPSWINGBYのセキュリティサービスについて、詳しくは以下のメニューからお進みください。

システム開発

既存事業のDXによる新規開発、既存業務システムの引継ぎ・機能追加、表計算ソフトによる管理からの卒業等々、様々なWebシステムの開発を行っています。

iOS/Androidアプリ開発

既存事業のDXによるアプリの新規開発から既存アプリの改修・機能追加まで様々なアプリ開発における様々な課題・問題を解決しています。


リファクタリング

他のベンダーが開発したウェブサービスやアプリの不具合改修やソースコードの最適化、また、クラウド移行によってランニングコストが大幅にあがってしまったシステムのリアーキテクチャなどの行っています。