フィードフォワードネットワークとは

フィードフォワードネットワークは、入力層から出力層へデータが一方向に流れる、最も基本的な形式の人工ニューラルネットワークのことです。

フィードフォワードネットワークの概要と目的

フィードフォワードネットワーク(Feedforward Network)は、パーセプトロンと呼ばれる人工ニューロンを階層的に配置した構造を持ちます。このネットワークでは、データは入力層から始まり、中間にある隠れ層を通過して、最終的に出力層へと一方向に伝播されます。データが逆方向に流れる(フィードバック)ことはありません。

フィードフォワードネットワークの主な目的は、入力データから特定のパターンや特徴を学習し、その情報に基づいて分類や回帰といったタスクの予測を行うことです。例えば、手書き数字の画像を認識する場合、画像データが入力層に入り、隠れ層で特徴が抽出・処理され、最終的に出力層がどの数字であるかを予測します。

フィードフォワードネットワークの構造

フィードフォワードネットワークは、以下の3つの主要な層で構成されています。

  1. 入力層(Input Layer)
    • ネットワークに外部データを取り込む最初の層です。
    • ニューロンの数は、入力データの次元数に対応します。例えば、28×28ピクセルの画像を入力する場合、入力層のニューロンは784個となります。
  2. 隠れ層(Hidden Layer)
    • 入力層と出力層の間にある層で、データの複雑なパターンや特徴を抽出・学習する役割を担います。
    • 複数の隠れ層を持つネットワークは、多層パーセプトロン(Multilayer Perceptron: MLP)と呼ばれます。
  3. 出力層(Output Layer)
    • ネットワークの最終的な予測結果を出力する層です。
    • ニューロンの数は、解決したいタスクによって異なります。
    • 分類問題: クラス数に対応します。例えば、猫か犬かを分類するならニューロンは2個です。
    • 回帰問題: 予測したい数値の数に対応します。例えば、株価を予測するならニューロンは1個です。

各層のニューロンは、前の層のすべてのニューロンと結合しており、その結合には重み(Weight)が設定されています。データは、この重みを介して次の層へと伝播されます。

学習の仕組み(順伝播と誤差逆伝播)

フィードフォワードネットワークは、以下の2つのフェーズを通じて学習が行われます。

  1. 順伝播(Forward Propagation):
    • 入力データが入力層から出力層まで一方向に伝播され、予測結果が計算されます。
    • 各ニューロンでは、前の層からの入力と重みを掛け合わせた値の合計に活性化関数を適用し、その結果を次の層へ出力します。
  2. 誤差逆伝播(Backpropagation):
    • 順伝播で得られた予測結果と、実際の正解ラベルとの間の誤差を計算します。この誤差を、出力層から入力層に向かって逆方向に伝播させ、各層の重みを誤差が最小になるように調整します。
    • このプロセスは、勾配降下法などの最適化アルゴリズムによって実行されます。

この順伝播と誤差逆伝播を繰り返すことで、ネットワークは徐々に正確な予測ができるように学習していきます。

フィードフォワードネットワークの応用

フィードフォワードネットワークは、シンプルでありながら様々なタスクに適用可能です。

  • 画像認識:
    • 手書き文字の認識や、特定のオブジェクトの識別。
  • 自然言語処理:
    • テキストの感情分析や、スパムメールの分類。
  • データ分析:
    • 住宅価格の予測や、顧客の購買傾向の予測。

「ニューラルネットワーク」の省略: 「フィードフォワードニューラルネットワーク」は、その構造がニューラルネットワークであることを明示的に示しています。しかし、文脈上明らかである場合や、シンプルに表現したい場合に「ニューラルネットワーク」の部分を省略して「フィードフォワードネットワーク」と呼ぶことがあります。

フィードフォワードネットワークは、より複雑なリカレントニューラルネットワーク(RNN)や畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの基盤となる、人工知能の基礎的な構成要素の一つです。

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