プライベートAIとは

プライベートAIとは

今回は、企業や組織が自社の機密情報や独自のデータを使ってAIを安全に活用するための仕組みとして注目されている「プライベートAI」についてのご紹介です。

一般的なパブリックなAIサービス(ChatGPTなど)が、不特定多数のユーザーによって共有される大規模なデータセットで学習しているのに対し、プライベートAIは特定の環境内で閉じた形で運用されるのが大きな特徴です。

今後、日本国内でも導入が進むと思われる「プライベートAI」についての基本から応用まで解説していきますので、是非、ご覧ください。

では、さっそくはじめていきましょう!

プライベートAIとは

プライベートAIは、企業や組織が自社の機密情報や独自のデータを使ってAIを安全に活用するための仕組みということは記事の冒頭に書きましたが、もう少しまとめた言い方をすると、プライベートAIは「データの主権と制御を自社で完全に保持する」をそもそもの根本としていています。

多くの企業が生成AIの導入を検討する際、最も大きな懸念となるのが「機密情報や個人情報を外部のAIサービスに送信してしまって、情報漏洩のリスクが高まるのではないか」という点です。

いかに便利で業務が高効率化されるといっても、ここから機密情報が筒抜けになってしまったので、まったく意味がありません。

プライベートAIは、この課題を根本から解決します。

プライベートAIの主な構成要素

プライベートAIを実現する方法はいくつかありますが、代表的な構成要素は以下の通りです。

  1. オンプレミス環境

オンプレミス環境とは、自社でサーバーやネットワークなどのインフラを構築し、AIモデルを導入・運用する形態です。オフィスの中にコンピュータールームをつくり、そこで環境を構築したり、またはデータセンターをレンタルし、レンタルしたラックの中に環境を構築するなどの方法です。

  1. プライベートクラウド環境

パブリッククラウド(AWS, Azure, GCPなど)の内部に、特定の企業専用の仮想ネットワーク(VPC)などを構築し、その中でAIモデルを運用する形態です。パブリッククラウドの柔軟性やスケーラビリティを活用しつつ、外部との接続を制限することで、セキュリティを確保します。

Kyndryl Private Cloud AI Servicesのようなサービスは、このプライベートクラウド環境でのAI活用を支援するものです。

但し、単にパブリッククラウド環境を構築してしまうと、クラウドコストが急上昇し、予算があっという間になくなってしまいますので、要注意です。

  1. エッジコンピューティング

エッジコンピューティングとは、データが生成される場所(工場のセンサー、店舗のカメラなど)の近くでAIを動かす形態です。全てのデータをクラウドに送る必要がないため、データの漏洩リスクを低減できるほか、リアルタイム処理が必要な場面で威力を発揮します。

データが企業の物理的な管理下に置かれるため、最も高いセキュリティとデータ保護が実現できます。ただし、インフラ構築や運用に多大なコストと専門知識が必要となります。

プライベートAIのメリット

プライベートAIを導入することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

  1. セキュリティとコンプライアンスの強化: 企業は自社のデータがどこに保存され、どのように使われるかを完全に管理できます。これにより、GDPRやHIPAAといった厳しいデータ保護規制への準拠が容易になります。
  2. 独自のカスタマイズと精度向上: 自社の特定の業務データ(顧客情報、製品設計書、トラブル対応履歴など)でAIモデルをファインチューニング(追加学習)することで、汎用的なAIでは得られない、より精度の高い、自社独自のAIソリューションを構築できます。
  3. コストの最適化: 長期的に見ると、外部のAPI利用にかかる従量課金制のコストを削減できる場合があります。また、必要なリソースを柔軟に調整できるため、無駄な支出を抑えることができます。
  4. イノベーションの加速: 機密性を気にすることなく、自由にAIを試行錯誤できる環境が整うため、新しいビジネスモデルやサービスの創出が促進されます。

プライベートAIの課題

一方で、プライベートAIにはいくつかの課題も存在します。

  • 専門人材の不足: AIモデルの構築、運用、チューニングには高度な専門知識を持つデータサイエンティストやAIエンジニアが必要です。多くの企業で、このような人材の確保が大きな壁となっています。
  • 導入・運用コスト: インフラの構築やソフトウェアのライセンス費用、人件費など、初期費用や運用コストが高くなる傾向があります。
  • インフラ管理の複雑さ: オンプレミス環境の場合、ハードウェアの調達から設置、保守まで、全ての管理を自社で行う必要があります。

次回は、プライベートAIについての深いところをいくつかピックアップし、ご紹介できればと思います。

APPSWINGBYは、最先端のデータ管理技術とお客様のビジネスに最適な形で実装する専門知識を有しております。貴社がこの技術革新の波に乗り遅れることなく、競争優位性を確立できるようAIシステムの開発・運用から、業務システムの開発、既存システムの改修、リファクタリング、リアーキテクチャ、ハイブリッドクラウド環境の構築、運用保守・技術サポートなどのサービスを提供しています。

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この記事を書いた人
株式会社APPSWINGBY
株式会社APPSWINGBY マーケティング

APPSWINGBY(アップスイングバイ)は、アプリケーション開発事業を通して、お客様のビジネスの加速に貢献することを目指すITソリューションを提供する会社です。

ご支援業種

情報・通信、医療、製造、金融(銀行・証券・保険・決済)、メディア、流通・EC・運輸 など多数

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監修
APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
Webシステム開発からアプリ開発、AI、リアーキテクチャ、リファクタリングプロジェクトを担当。C,C++,C#,JavaScript,TypeScript,Go,Python,PHP,Vue.js,React,Angular,Flutter,Ember,Backboneを中心に開発。お気に入りはGo。

APPSWINGBY CTO川嶋秀一
株式会社APPSWINGBY  CTO 川嶋秀一

動画系スタートアップ、東証プライム R&D部門を経験した後に2019年5月に株式会社APPSWINGBY 取締役兼CTOに就任。
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