オートスケーリングとは

オートスケーリングは、システムへの負荷(トラフィック、CPU使用率など)の変動に応じて、サーバーやその他のコンピューティングリソースの台数や容量を自動的に増減させる機能または技術のことであり、常に適切なリソースを維持することで、サービスのパフォーマンス、可用性を最大化しつつ、リソースの利用効率を高め、コストを最適化するためのクラウドコンピューティングにおける主要な運用自動化技術のことです。

オートスケーリングの概要と必要性

オートスケーリング(Auto Scaling、自動スケーリング)は、特にクラウド環境(AWS, Azure, GCPなど)において、サービスの需要変動に柔軟に対応するために不可欠な機能です。従来のオンプレミス環境では、ピーク時の負荷を想定して常に最大の容量を確保する必要があり、リソースの多くがアイドル状態になるという非効率性がありました。

オートスケーリングは、この非効率性を解消し、以下の二つの主要なアクションを通じて、サービスレベルを維持します。

  • スケールアウト(Scale-out): 負荷が増加した際に、リソースの台数(インスタンス数)を増やすこと。水平スケーリングとも呼ばれ、キャパシティを分散します。
  • スケールイン(Scale-in): 負荷が低下した際に、リソースの台数(インスタンス数)を減らすこと。これにより、アイドル状態のリソースに対する課金を停止し、コストを削減します。

主な目的は、ユーザー体験を損なうことなく、必要な時に必要な分だけリソースを供給し、クラウドコンピューティングの経済的なメリットを最大化することです。

オートスケーリングの主要な方式

オートスケーリングは、リソースの増減を決定するトリガーの方式によって、主に以下の三つに分類されます。

1. 動的スケーリング(Dynamic Scaling)

最も一般的でリアルタイム性の高い方式です。定義されたメトリクス(指標)が閾値を超えた場合に自動でスケーリングを実行します。

  • スケーリングポリシー:
    • ターゲット追跡スケーリング: 特定のメトリクス(例:平均CPU使用率)を、目標値(例:50%)に維持するように動作します。例えば、CPU使用率が50%を超えればインスタンスを追加し、下回ればインスタンスを削除します。
    • ステップスケーリング: メトリクスが閾値を超えた度合いに応じて、増減させるインスタンス数を段階的に決定します。
  • トリガーメトリクス: CPU使用率、ネットワークI/O、ロードバランサーのリクエストキューの長さなどが用いられます。

2. 予測スケーリング(Predictive Scaling)

過去の負荷履歴データ(例:曜日ごとのパターン、時間帯のパターン)を機械学習モデルで分析し、将来の負荷増加を予測して、実際に負荷が増加する前にリソースを事前にスケールアウトする方式です。

  • 利点: 負荷が増加してからリソースが利用可能になるまでの遅延(ウォームアップ時間)を排除できるため、急激なトラフィック増加に対するサービスの応答性を高めます。

3. スケジュールスケーリング(Scheduled Scaling)

予測可能で定常的な負荷変動(例:毎週月曜日の朝9時にアクセスが集中する、季節的なイベント期間など)に合わせて、事前に定義された日時でリソースの容量を増減する方式です。

  • 利点: 予測が確実な変動に対しては、最も確実でシンプルな方法で対応できます。

オートスケーリングの構成要素

オートスケーリングを機能させるためには、以下の主要なコンポーネントが連携する必要があります。

  1. ロードバランサー(Load Balancer, LB): 外部からのトラフィックを一連のサーバーインスタンスに均等に分散します。オートスケーリングによってインスタンスが増減しても、ロードバランサーがトラフィックを自動的に新しいインスタンスに振り分けます。
  2. オートスケーリンググループ(Auto Scaling Group, ASG): スケーリングの対象となるインスタンスの論理的な集合体です。このグループに対して、最小インスタンス数、最大インスタンス数、そして希望するインスタンス数(Desired Capacity)が設定されます。
  3. モニタリングシステム: CPU使用率やネットワークトラフィックなどのメトリクスを継続的に収集し、設定された閾値と比較します。このメトリクスがスケーリングのトリガーとなります。
  4. 起動テンプレート: 新しくインスタンスを起動する際に使用される設定(OSイメージ、インスタンスタイプ、ネットワーク設定など)のテンプレートです。

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